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『Make: Electronics第2版』で電子工作のことがちょっとわかった

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電子工作の基礎を独習したい人向けの本、『Make: Electronics』が第2版になりました。わたしはこの本の編集をお手伝いしています。

本書は「発見による学習(Learning by Discovery)」というプロセスを通じて学ぶ、新しい世代のためのエレクトロニクス入門書です。最初に実験または製作を行い、その後、理論を解説するという構成で、退屈になりがちな学習をより深く心に残る「体験」にします。本書で行う実験は「電気を舌で味わう」「電子部品の分解」「LEDを焼き切る」など。作例としては、侵入アラーム、反射速度計測タイマーなど、エレクトロニクスの重要な要素を理解するのに最適なものを取り上げました。また本書では、ホビーとしてのエレクトロニクス(電子工作)を楽しむための実践的なアドバイスや、さまざまな法則や電子部品にまつわるコラムも収録。中・上級者でも楽しめます。第2版は、全面的にアップデート。さらに新たにArduinoの解説が加わりました。

O'Reilly Japan - Make: Electronics 第2版


新版とのことでどのくらい修正が入るのかなと思っていたら、なんと本文は全部書き直されていました。初版と同じ実験をするところももちろんありますが(電池をなめたり!)、作例も初版のフィードバックを受けて修正されています。しかもフルカラーになりました。改訂版ですが完全に新しい本として生まれ変わった感じです。

こういう本を編集しておいてなんですが、自分は電子工作に詳しいわけではありません。Maker Faire Tokyoをその前身から10年以上見てきて、いろいろな電子工作の作品はどれも楽しいなあ、すばらしいなあと思いはするものの、自分でやってみようという気分には全然ならないまま来ています。

以前こんなことを書いていました。

それにしても、いろいろ見ても自分でやろうという気持ちにまったくならないのが我ながら不思議だ。アイデアが出れば作るだろうが電子工作でどんなことができるかを理解していないからアイデアも出ないという循環になっている。

Maker Faire Tokyo 2013に行ってきた - ただいま村

これを書いた2013年から少しずつ手を動かすようになってはいて、知識もゆっくり身についてきています。はんだづけを習ってキットを作ったり、はんだごてなどを一式揃えたり、3Dプリンタを作ったりしてきました。自作キーボードのキットを買うのももう抵抗はありません。

それでも、これらは指示された通りの工作ができるようになっただけであって、自分でなにかを設計できるわけではありません。本を編集すれば自動的にその分野の勉強になるので、これで電子工作の理解が進むといいなという気持ちもありました。

Make: Electronics第2版』の仕事が終わって、さてどうなったでしょうか。さすがに「電子工作完全に理解した」とはなりませんでしたが、電子回路がどうやって設計されているのかはわかった気がします。

電子回路はさまざまな部品で構成されています。LED、抵抗、コンデンサトランジスタダイオード、リレー、ロジックIC、タイマーICなどなど。これらがどういう役割を持っているのかはこの本でしっかり説明されています。そしてこれらをもとに目的の回路を組み上げるまでの流れが詳しく解説されています。

なるほど、電子回路はこうやって作るのかということはわかりました。そしてそれは思った以上に泥臭く、自分で作り上げるのは試行錯誤やノウハウが必要そうなものだということもわかりました。

本書の終盤では、Arduinoを使った電子回路の作り方も解説されています。それまでの学習をふまえてArduinoを知ると、この種のマイコンボードがいかに便利なものかがわかります。LEDを光らせるだけでも、マイコンボードを使えば回路の組み替えなしにさまざまなパターンを試すことができます。Arduinoのおかげで、電子工作に詳しくない人でもアイデアを手軽に実現できるようになりました。いい時代になったものです。その一方、本書で学ぶことでArduinoに頼らない回路設計も可能になるでしょう。

Make: Electronics第2版』は電子工作を始めたい人向けの入門書です。ぜひ手に取ってみてください。

追記

応用編の『Make: Electronics実践編』が刊行されました。