相模原市にあるJAXA/ISAS(宇宙科学研究所)の一般公開が金曜と土曜に開催されたので金曜に行ってきた。
前回行ったのは2002年。まだはてなダイアリーがないころだ。なんで行こうと思ったんだろう。プラネタリウム「メガスター」の大平貴之さんの本を作っていて、宇宙への興味が戻りつつあったからかも。
- 作者: 大平貴之
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
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当時の写真から。イオンエンジンをよくわからないまま撮っていた。「はやぶさ」が打ち上げられたのは翌2003年。
さて今年はどんな感じだろうか。
淵野辺駅の改札を出るといきなり「はやぶさの故郷さがみはら」。無料のシャトルバスが出ていて助かった。
去年は6月13日のはやぶさ帰還から1か月半しか経っておらず、帰還したカプセルが初公開されることもあってものすごい混雑だった由。今年は「去年ほど混んでなくていい」という話をあちこちで聞いた。
展示ではそれぞれごとにリーフレットが配られていて、集めると宇宙研のすべてがわかる趣向になっていた。こりゃあいいね。
- ISAS | ミニミニ図鑑(2011年版) / JAXA相模原キャンパス特別公開(http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2011/0729_open/picturebook/index.shtml)
ISASの中庭に展示されているM-Vロケットは本物。荷物(ペイロード)である月探査機LUNAR-Aの開発中止で打ち上げられなかった。
そのLUNAR-Aに使う予定だったペネトレーターは開発が続けられ2010年10月についに完成、実際に使われる予定となっている。
左側の白い円錐形はRVTという再利用型ロケット。このままの姿勢で浮き上がり、このままの姿勢で戻ってくる。右端の気球の奥にある白くとがっているのはM-Vロケットのフェアリング(先端部分)。この中に宇宙機がおさめられる。
イオンエンジンコーナーは長蛇の列で、見るのはあきらめた。はやぶさ人気に感心しきり。
はやぶさ2のスタッフが顔写真つきで意気込みを語っている。顔が見える宇宙開発。いいね。
こちらは、はやぶさの帰還があやぶまれていた2009年の公開のときに来場者に書いてもらった、はやぶさへの応援メッセージ。「がんばれ!」とたくさん書かれていた。そして翌年6月、はやぶさはやりました。これを今年掲示するというのがまたにくい。
はやぶさでサンプル回収機構を担当した矢野創さんにお話をうかがうことができた。
矢野さんは、はやぶさ2計画では一歩引いて若手にまかせているという。もちろん後ろからアドバイスはしまくるけれど、それははやぶさで自分が置かれた立場に立ってもらいたいから。「はやぶさ2でも自分が前に出てしまうと後進が育たない」。
そして自分がこれからなにをやっていくか、いろいろアイデアを練っているそうだ。研究者として今後20年を見すえ、その時にふさわしい計画を立てなければならない。まだ構想どころか妄想の段階だけれど、すごいことをやるつもりだそうだ。「でないと研究者をやっている意味がありませんし、一度きりの人生ですからね」。探査機の計画は20年スパンだから、一生のうちに関われるのはせいぜい2機しかない。そう思うと人生は短いものだ。
今のところ「はやぶさ2」と呼ばれている2号機の正式な名前はなんになるだろうか。今まで宇宙研が打ち上げてきた宇宙機は、同じ目的のものでもすべて違う名前がつけられてきた。一方NASDAはそういうこだわりはない。気象衛星はすべて「ひまわり」であり、今はひまわり7号が活躍中だ。同じ名前をつけるのは目的がわかりやすくてよい。
はやぶさは宇宙研の宇宙機では初めて、同じ名前の2号機になる気がする。小惑星探査機のシリーズとしてそう期待されているのではないか。そう水を向けると矢野さんは「はやぶさ2号」という名前には反対だという。「同じ名前をつけると、はやぶさに引きずられてしまいかねないから」だという。何かがあったとき「はやぶさなんだから大丈夫だろう」のようになってしまうといったことを心配している様子だった。
「探査機は高校野球のようなもの。はやぶさは初出場で優勝してしまった。次は当然優勝するものと期待されているが前回優勝したときのメンバーはもういない」とたとえてくれた。なるほど、新しいチームでより大きなプレッシャーに立ち向かわなければならないのだな。
はやぶさ2の計画概要は以下に。