オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』が3月31日ごろ出ます

AUTOMATIC1111版Stable Diffusion WebUI(以下SD/WebUI)の解説書、『Stable DiffusionAI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)を執筆して編集しました。3月31日ごろから書店に並びます。

画像生成AIのしくみを解説し使い道を紹介したあと、Stable Diffusionを使える各種サービスを紹介し、SD/WebUIのセットアップ(パソコン上とGoogle Colaboratory)と使い方、プロンプトで実際にいろいろな画像を生成する解説、弁護士の先生による著作権関係の解説、そして深津貴之さんのインタビューという構成です。そしてプロンプト単語帳が巻末に収録されています。

いろいろな画像を出力するプロンプトの書き方については、多くを「Stable Diffusion入門 - ISID テックブログ」のシリーズを発表していた比嘉康雄さん(id:higayasuo)に執筆いただきました。プロンプト解説は、女の子のイラストだけでなく、さまざまな風景や人物の写真や絵、商品写真ぽい画像の出力などを扱っています。

また著作権関係の解説は、「専門家から見た画像生成AI」というclusterのオンラインイベント(動画もあります)に登壇なさっていた五十嵐良平弁護士(@Reihoxy)に担当していただいています。

SD/WebUIはとても機能が多く、全部は説明しきれませんでした。追加学習関係は新技術がどんどん出てくるので割愛したほか、img2imgの一部、「その他」タブの解説も省略しています。便利な拡張機能の紹介もできませんでした。特にControlNetは革新的な拡張機能なのですが、刊行時期やページ数のかねあいでほぼ触れられなかったのが心残りです。

それでも288ページとけっこう厚くなりました。

サンプラーの分類と出力例、気付きにくい便利な操作、ファイル名の命名に使えるタグ一覧、おもな設定項目などなど、基本的な知識から使っている人にはわかる便利な情報をたくさん詰め込んでいます。

パソコンだけでStable Diffusionを使おうとすると、今はミッドレンジ以上のNVIDIAGPUを積んだビデオカードがあるのが望ましいとされています。特にRTX3060 12GBは価格のわりにVRAMが多くておすすめです。そしてそんなつよつよGPUがなくてもStable Diffusionを使うやり方として、WebサービスGoogle Colaboratoryを介する方法も解説しています。そのためのGoogle Colabノートブックも用意しました。

GPUがない人向けのセットアップ記事
Stable Diffusion WebUI(1111)をGoogle Colabで使うノートブック【画像も設定も自動保存】
GPUがある人向けのセットアップ記事
Stable Diffusion WebUI(1111)のインストールがとても簡単になっていた【令和最新版】
セットアップせずにStable Diffusionを使えるサイトの例(SD/WebUIではありません)
Mage 🧙 | Free, Fast, Unfiltered Stable Diffusion

画像生成AIは話題になっていますが、実際に使ってみたという人はまだ少ないと感じます。言葉を与えると画像が出てくる、言葉を工夫して思い通りの画像が出るのを目指す。これは魔法のようで本当に楽しく、AIに渡す言葉(プロンプト)が「呪文」と呼ばれるのも使ってみるとよくわかります。

みなさんもぜひ、上の記事からStable Diffusionを始めてみてください。そして詳しい使い方を知りたくなったら本を読んでいただけると幸いです。

書籍のサポートページ
『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)サポートページ

目次

はじめに
第1章 Stable Diffusionとは何か(p9)
  • 1-1 Stable Diffusionは画像生成AI
  • 1-2 Stable Diffusionが画像を作るしくみ
  • 1-3 Stable Diffusionのデモページで画像を作ってみる
  • 1-4 テキストからの画像生成、画像とテキストからの画像生成
  • 1-5 こんなことにも使えるStable Diffusion
  • 1-6 Stable Diffusionを用いたサービスやプログラム
第2章 Stable Diffusion WebUIをセットアップする(p51)
  • 2-1 AUTOMATIC1111版Stable Diffusion WebUIを使う2つの方法
  • 2-2 SD/WebUIのセットアップ
  • 2-3 Google ColaboratoryでSD/WebUIを使う
  • 2-4 SD/WebUIを日本語化する
第3章 Stable Diffusionで画像を出力してみよう(p85)
  • 3-1 txt2imgの操作画面
  • 3-2 プロンプトの入力
  • 3-3 3つのパラメータとサンプリングアルゴリズム
  • 3-4 画像の生成
  • 3-5 画像の保存と保存先
  • 3-6 大きな画像を出力する
  • 3-7 複数の画像を一度に生成する
  • 3-8 学習モデルの追加と変更
  • 3-9 img2imgの操作画面
  • 3-10 画像を別の画像に変換する
  • 3-11 インペイントで画像の一部を修正する
  • 3-12 SD/WebUIの設定①「設定」タブ
  • 3-13 SD/WebUIの設定②そのほかの設定
第4章 こんな画像を出力するには(p173)
  • 4-1 ほかの人の作品とプロンプトを見てみよう
  • 4-2 人物のイラストを出力する
  • 4-3 アニメ風の人物イラストを出力する
  • 4-4 さまざまな画材で描かれた絵を出力する
  • 4-5 人物の写真を出力する
  • 4-6 自然の風景を出力する
  • 4-7 都市の風景を出力する
  • 4-8 建築物の画像を出力する
  • 4-9 ファンタジー世界の画像を出力する
  • 4-10 商品の画像を出力する
第5章 AI生成画像の権利と未来(p245)
  • 5-1 弁護士が解説する画像生成AIと著作権
  • 5-2 深津貴之氏インタビュー「Stable Diffusionは何を可能にするのか」
付録 プロンプト単語帳(p268)
奥付など(p288)

表紙に使われている画像(一部)のプロンプト

本に出てくる画像については、プロンプトをなるべく開示していきたいと思っています。

画像の下に3行あるプロンプトやパラメータの部分をプロンプト欄に転記して、「生成」ボタンの下にある↙ボタンをクリックするとパラメータがその通りにセットされます。

または、画像を「PNG内の情報を表示」欄に直接ドラッグ&ドロップしても生成パラメータを取得できます(その際ブラウザに、画像だけが表示されるタブが作られることがあります。そのタブは閉じてかまいません)。「txt2imgへ転送」ボタンをクリックすれば、プロンプトやパラメータがセットされます。

学習モデルを合わせれば同じ画像が出るはずです。


  • 1girl school uniform looking at viewer
  • Negative prompt: flat color flat shading retro style, 1980s, 1990s, 2000s, 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
  • Steps: 50, Sampler: DDIM, CFG scale: 20, Seed: 2, Size: 768x768, Model hash: eee110cb, Model: derrida_final, Denoising strength: 0.7, First pass size: 0x0

  • cornfield, modern style, bustup portrait, detailed face, beautiful face, by Greg rutkowski and alphonse mucha, d & d character, in front of an urban background, digital painting, concept art, smooth, sharp focus illustration, artstation hq, artstation deviantart behance dribbble
  • Negative prompt: ((((mutated hands and fingers)))), lowres blurred
  • Steps: 60, Sampler: Euler a, CFG scale: 12, Seed: 661376459, Size: 512x512, Model hash: 0acc70d6a5, Model: trinart2_step60000, Denoising strength: 0.5, Hires upscale: 2, Hires upscaler: Latent

  • high mountain, Alps Himalaya in the early morning, illustration concept art anime key visual trending pixiv fanbox by wlop and greg rutkowski and makoto shinkai and studio ghibli and kyoto animation, alphonse mucha and caravaggio
  • Steps: 80, Sampler: Euler, CFG scale: 7, Seed: 2112682449, Size: 512x512, Model hash: 7460a6fa, Model: sd-v1-4

そのほか最近出力した画像

下の4枚は同じプロンプトで、シード値だけが違います。

学習モデルには「Nostalgia-clear」を使っています。VAEは確か「vae-ft-mse-840000-ema-pruned.ckpt」です。

「bad_prompt_v2」は「bad_prompt」からダウンロードして「embeddings」フォルダに入れた「bad_prompt_version2」なのですが、「v2」は「version2」の書き間違いですね。

またアップスケーラーの「4x_fatal_Anime_500000_G」は「model」-「ESRGAN」フォルダに入れます。

  • (masterpiece, best quality, ultra detailed sharp focus illustration:1.2), large-scale factory, where the light shines and the plants grow
  • Negative prompt: (worst quality:1.3), (low quality:1.3), (bad_prompt_v2:0.8)
  • Steps: 40, Sampler: UniPC, CFG scale: 10, Seed: 2133825908, Size: 640x448, Model hash: 80b64299af, Model: nostalgiaClear_nostalgiaClear, Denoising strength: 0.53, Clip skip: 2, Hires upscale: 2.1, Hires steps: 20, Hires upscaler: 4x_fatal_Anime_500000_G

  • (masterpiece, best quality, ultra detailed sharp focus illustration:1.2), large-scale factory, where the light shines and the plants grow
  • Negative prompt: (worst quality:1.3), (low quality:1.3), (bad_prompt_v2:0.8)
  • Steps: 40, Sampler: UniPC, CFG scale: 10, Seed: 1269183820, Size: 640x448, Model hash: 80b64299af, Model: nostalgiaClear_nostalgiaClear, Denoising strength: 0.53, Clip skip: 2, Hires upscale: 2.1, Hires steps: 20, Hires upscaler: 4x_fatal_Anime_500000_G

  • (masterpiece, best quality, ultra detailed sharp focus illustration:1.2), large-scale factory, where the light shines and the plants grow
  • Negative prompt: (worst quality:1.3), (low quality:1.3), (bad_prompt_v2:0.8)
  • Steps: 40, Sampler: UniPC, CFG scale: 10, Seed: 1465811741, Size: 640x448, Model hash: 80b64299af, Model: nostalgiaClear_nostalgiaClear, Denoising strength: 0.53, Clip skip: 2, Hires upscale: 2.1, Hires steps: 20, Hires upscaler: 4x_fatal_Anime_500000_G

  • (masterpiece, best quality, ultra detailed sharp focus illustration:1.2), large-scale factory, where the light shines and the plants grow
  • Negative prompt: (worst quality:1.3), (low quality:1.3), (bad_prompt_v2:0.8)
  • Steps: 40, Sampler: UniPC, CFG scale: 10, Seed: 1717840909, Size: 640x448, Model hash: 80b64299af, Model: nostalgiaClear_nostalgiaClear, Denoising strength: 0.53, Clip skip: 2, Hires upscale: 2.1, Hires steps: 20, Hires upscaler: 4x_fatal_Anime_500000_G

以下は画像のALTにプロンプトを入れてあります。

Stable Diffusion WebUI(1111)のインストールがとても簡単になっていた【令和最新版】

GPUを搭載したWindowsマシンへのAUTOMATIC1111版Stable Diffusion WebUI(以下SD/WebUI)のインストールは、今はダウンロードしたファイルを解凍したら2つのバッチファイルを順に実行するだけですむようになっていた。

①SD/WebUIの公式サイトへ行く
Releases · AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui
②「sd.webui.zip」をダウンロード
③解凍したら「update.bat」を実行
(解凍先のフォルダは、ここではCドライブのルートに作った「sd.webui」フォルダにした。解凍先は日本語やスペースを含まないフォルダが望ましい)
④黒い画面が出てきてメッセージがすぐに止まるので、なにかキーを押すとウィンドウが閉じる
⑤「run.bat」を実行
⑥またコマンドプロンプトのウィンドウが出てくる。今度はしばらく待つ。止まっているように見えても内部ではインストールが進行している。5分から10分くらい待つと下の画面になる
⑦ブラウザで「http://127.0.0.1:7860/」へアクセスするとSD/WebUIの操作画面が表示される

なんとこれだけ。Pythonやgitの事前インストールは不要。コマンドプロンプトの黒い画面からコマンドを打ち込む必要もなし。以前はgit clone後、学習モデルのファイルを所定のフォルダに入れてからインストールを始めないとエラーになっていたが今はStable Diffusionの公式学習モデル(v1.5)が自動で入るようになっている。

SD/WebUIを使っている間はコマンドプロンプトのウィンドウを閉じないこと。これを閉じるとSD/WebUIが終了する。次回起動時は「run.bat」を実行する。

プログラムをアップデートするときは「update.bat」を実行。でもこれは1か月に1~2回程度でよいと思う。

日本語化の方法は以下をご覧ください。

ちょっと画像を生成してみましょう

SD/WebUIが起動したので、せっかくだから画像を生成する方法を。

プロンプト欄に「beach」(砂浜)と入力して、「生成」ボタンを押してみると、下のような砂浜の画像が生成される。

(生成される画像は人それぞれ。出力された画像は「sd.webui」-「webui」-「outputs」-「txt2img-image」に保存されている)

「beach」を「sunset beach」(夕方の砂浜)にした作例。ちゃんと夕方になった。

さらに「sunset beach couple silhouette」(夕方の砂浜、カップルのシルエット)にした作例。これもその通りになった。

とまあ、こんな感じで入力した言葉に対してそれらしい画像が生成されるのだった。

楽しい!

Stable Diffusionの公式学習モデルは、アニメ調のかわいい女の子を出力するのはとても苦手である。そういうのが得意な学習モデルを見つけたら「sd.webui」-「webui」-「models」-「Stable-diffusions」にダウンロードすると使えるようになる。ダウンロード後はSD/WebUIの左上にある🔄をクリックしてから隣の「Stable Diffusion checkpoint」メニューで学習モデルを切り換えられる。


起動時のオプションを指定する

起動時に毎回「http://127.0.0.1:7860/」へアクセスするのが面倒という人は、ブラウザを自動起動する起動オプションを指定するとよい。

「sd.webui」-「webui」にある「webui-user.bat」を「メモ帳」などのテキストエディタで開く(ダブルクリックすると実行されてしまうので、右クリックから「編集」を選ぶ)。

set COMMANDLINE_ARGS=

この行に「--autolaunch」を追加する。

set COMMANDLINE_ARGS=--autolaunch

これで、SD/WebUIが起動すると自動的にブラウザが起動し、http://127.0.0.1:7860/へアクセスしてくれる。

起動オプションの一覧は以下のページに。

「--xformers」は同じパラメータで出力される画像が毎回微妙に変化する代わりに消費するVRAMが減るのでつけておくとよい。その場合こういう書き方になる。

set COMMANDLINE_ARGS=--autolaunch --xformers

そのほか、ビデオカードのVRAMが8GB以下など少なくて画像が生成されない場合には生成が遅くなる代わりに省メモリになる「--medvram」、それでもだめなら「--lowvram」をつけるなどもある。

Stable Diffusion WebUI(1111)をGoogle Colabで使うノートブック【画像も設定も自動保存】

いきなり追記(4月22日)

Google Colaboratoryの無料プランではSD/WebUIを使えなくなったようです。以下の記事をご覧ください。

(追記は以上)

パソコンにGPUがない人向けに、AUTOMATIC1111版Stable Diffusion WebUI(以下SD/WebUI)をGoogle Colaboratoryで使うノートブックを作りました。下のGithubからどうぞ。

この種のノートブックはいろいろあるのですが、自分が考える仕様を満たすものがなかったため自分で作った次第です。

特徴は、生成した画像やSD/WebUIの設定がGoogleドライブに保存されることと、Googleドライブの容量をなるべく圧迫しないよう、プログラム本体や学習モデルのファイルは起動するたびにダウンロード、インストールすることです。

生成される画像や設定ファイルはGoogleドライブにありますので、GPU時間がなくなったりランタイムと接続解除されたりしても消えませんし、次回起動時に設定し直す必要もありません。

引き換えに、起動には7分から10分ほどかかります。

読み込む学習モデルは公式学習モデル(v2.1)でりだモデルです。

ほかの学習モデルを使ってみたい方は、ノートブックを自分のGoogleドライブにコピーしてソースコードを編集してください。「# でりだモデルのダウンロード」のあたりの行を複製して、ダウンロードしたい学習モデルのURL、ダウンロードして保存するときのファイル名を書き替えればよいでしょう。学習モデルに対応するVAEは「学習モデルのファイル名.vae.pt」というファイル名でダウンロードします。

SD/WebUIの日本語化についてです。このノートブックでは日本語化の拡張機能はインストール済みですので、以下のように操作します。

  1. 「Settings」タブをクリック
  2. 左ペインの「User Interface」をクリック
  3. 一番下の「Localization(requires restart)」を「ja_JP」にする
  4. ページ上部の「Apply Settings」をクリックする(忘れがち!)
  5. 「Reload UI」をクリック

日本語化のちょっと詳しい話は以下をご覧ください。

SD/WebUIの起動時間を短くするために、Stable DiffusionをGoogleドライブにインストールしてしまう方法もあります。そうすれば本体だけで5GBほど容量を食いますが起動はずっと早くなります。そういうノートブックも作りたい。Google Colaboratoryはダウンロードがとても早いので、学習モデルを毎回ダウンロードする方式でも待ち時間はそう長くならないでしょう。

Google Colaboratoryの基礎と使うときのポイント

Google Colaboratoryは機械学習の研究用にGoogleが提供しているPythonの実行環境です。無料でGPUも使えるなんてすごい、でもいいの? みたいな人向けのFAQがあります。「話がうますぎるように思えます。」のフレーズが最高です。

SD/WebUIのノートブックを開くと4つの枠があります。うち[SD/WebUIの起動/停止]、[設定のバックアップ]、[再起動]は「コードセル」といい、●に囲まれた▶がついています。一番下の「このノートブックについて」はテキストを書く専用の「テキストセル」です。

コードセルにある(▶)をクリックするとランタイム(仮想マシン)に接続します。このノートブックの場合GPU込みのランタイムで、無料ユーザーの場合のべ3時間ほど使うことができます。この時間を過ぎると下のようなダイアログボックスが出ます。

こうなると、次にGPUを使えるようになるまで12~24時間ほど待たなければなりません。SD/WebUIの実行にはGPUが必須ですのでなにもできなくなります。

(リソースがなくなるまでの時間や回復するまでの時間は非公開かつ不定です)

GPUリソースをなるべく長持ちさせるには、こまめにランタイムへの接続を解除(仮想マシンを停止)します。SD/WebUIのノートブックでは[SD/WebUIの起動/停止]の(▶)をもう一度クリックしてSD/WebUIを停止し、その次のコードセル[設定のバックアップ]を実行してください。

その上で「ランタイム」メニューの「ランタイムを接続解除」を選ぶと、ランタイムやGPUのリソース消費が止まります。

次にもう一度SD/WebUIを使いたいときは[SD/WebUIの起動/停止]のコードセルを実行します。ランタイムへの接続を解除すると、インストールしてあったSD/WebUIのプログラムやダウンロードした学習モデルはすべて消えるため、再接続してSD/WebUIを起動するとダウンロードするところからやり直しになり、また7分から10分ほど待つことになります。

そのほか、基本的な使い方はGoogle Colaboratoryのトップページ(https://colab.research.google.com/)へアクセスすると出てくる「ようこそ」のノートブックでもわかります。

つい先日公開されたPC Watchの記事も参考になるでしょう。

以下は、この次の記事(Stable Diffusion WebUIのインストールがとても簡単になっていた【令和最新版】)に書いた「画像を生成してみましょう」です。こちらにも載せておきます。

ちょっと画像を生成してみましょう

SD/WebUIが起動したので、せっかくだから画像を生成する方法を。

プロンプト欄に「beach」(砂浜)と入力して、「生成」ボタンを押してみると、下のような砂浜の画像が生成される。

(生成される画像は人それぞれ。出力された画像は「sd.webui」-「webui」-「outputs」-「txt2img-image」に保存されている)

「beach」を「sunset beach」(夕方の砂浜)にした作例。ちゃんと夕方になった。

さらに「sunset beach couple silhouette」(夕方の砂浜、カップルのシルエット)にした作例。これもその通りになった。

とまあ、こんな感じで入力した言葉に対してそれらしい画像が生成されるのだった。

楽しい!

Google Colaboratoryの場合、画像はGoogleドライブの「Colab Notebook」-「Stable Diffusion」-「outputs」に保存されます。

ところで我が家のパソコンにはRTX3060が入っています。ビデオカードとしてはミッドレンジながらVRAMが12GBあり、Stable Diffusionのような画像生成AIによいとされているモデルです。それならわざわざ時間制限があるGoogle Colaboratoryを使わなくてもいいのでは。はいその通りで、我が家では好きなときに好きなだけ画像を生成しています。ではなぜこういうノートブックを用意しているのか。それはまた今度記事にします。

追記(3月23日)

「また今度」の記事を書きました。SD/WebUIの解説本が出ます。よろしくお願いします。

書籍のサポートページ
『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)サポートページ

H3ロケット試験機1号機打ち上げ中止の原因調査と対応に関する記者会見

日時

  • 2023年3月3日(金)15時~

登壇者

  • 岡田匡史(おかだ・まさし) JAXA H3 プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

中継録画

配付資料


発生事象


【参考】H3ロケットの電気系システム構成(イメージ)


原因調査の状況


原因調査の結果


対応策と今後の予定


【参考】アンビリカル離脱(イメージ)

※動画

【参考】試験機1号機と移動発射台(ML5)


打上げ当日(L-1、L-0)主要スケジュール


飛行計画


打上げ制約条件


気象予報


【別紙】用語解説

(多忙のため今回は質疑応答の書き起こしはありません。中継録画をご覧ください)

H3ロケット試験機1号機打ち上げ中止に関する記者会見

開催日時

  • 2月17日(金)14時~

登壇者

  • 岡田匡史(おかだ・まさし) JAXA H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

プレスリリース

JAXA | H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の本日の打上げ中止について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構JAXA)は、種子島宇宙センターから先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載したH3ロケット試験機1号機の打上げを2023年2月17日10時37分55秒(日本標準時)に予定し、作業を進めておりましたが、ロケットの自動カウントダウンシーケンス中に、1段機体システムが異常を検知し、固体ロケットブースタ(SRB-3)の着火信号を送出しなかったため、本日の打上げを中止することといたしました。

現在、詳細状況を確認中です。

JAXA | H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の本日の打上げ中止について

配付資料


中継録画

質疑応答

MBC・濵田:率直な受け止めを

岡田:…………今日の日を待っておられた方、見守ってくださっていた方が大勢いる。申し訳ないと思っているし我々もものすごく悔しいです。(涙を拭く)

産経新聞伊藤:先日の会見でおっしゃっていたがまだ足りないことがあったと

岡田:初めての打ち上げはこういうこともあると実感。100パーセントとはなかなかいかないと思っていたので万全の体制で臨んだが中止になってしまったのは残念。

伊藤:原因究明しての対策のスケジュール感は

岡田:数時間前に起きたことなのでまだわからない。できるだけ早く原因を究明し打ち上げに臨みたい。

NHKの堀川:部品を交換するようなことが発生するのか、その場で修正できるのか

岡田:まだ見きわめがついていない。原因の切り分けをしているところ。結果を早く出してどうリカバーするかを大至急検討する。

堀川:打ち上げ中止であり失敗ではないと言う認識?

岡田:失敗にはいろいろ定義があるがカウントダウンシーケンスの途中で止まったものは打ち上げ中止。

堀川:Xマイナス6.3秒で止まったとのことだがトラブルなのか

岡田:ロケットがスタートして打ち上げの時は安全第一。安全に止まった状態。異常を検知して止まるシーケンスが働いて安全に止まった。LE-9エンジンは正常に立ち上がっていると思われるし停止シーケンスもきちんと働いた。

堀川:年度内の打ち上げは可能か

岡田:それを目指します。

読売新聞笹本:SRBに電気信号を送るシステムの異常?

岡田:そこがまだわからない。一段の制御用機器が異常を検知したのは事実。検知のトリガーにSRB-3への信号送出を行わなかったのもこれ。異常がどこで起きたのかはこれから調べる。制御用機器の異常はないと考えている。

笹本:電気信号を送らなかった異常ではなく、異常を検知したから信号を送らなかった?

岡田:いろいろなところからの入力信号がある。その中のなにかが原因になったと思うが具体的には調査中。

笹本:LE-9はおそらく正常に立ち上がったとのことだが

岡田:自分自身が全部のデータを見ていないため確定的なことは申し上げたくなかったが、正常に立ち上がったことは検知している。ロケットはそこは正常だったと認識している。

笹本:自動車部品が9割入っているとのことだがここも?

岡田:自動車部品を使っている装置ではある。

KYT磯脇:LE-9の立ち上がりからSRBへの点火の間の中止ということで、SRBに異常があった?

岡田:まずないと思っている。SRBに信号が送られなかったために点火しなかった。

磯脇:第一段部分の制御機器について。ほかの段も制御する?

岡田:おもに第一段を制御する。

磯脇:異常は第一段のどこかで間違いない?

岡田:そう考えている。

朝日新聞玉木:何らかの異常を検知したとのことだが、どこに異常があった可能性が高いのかなど分析は進んでいるか

岡田:まだそこまでは至っていない。検討中。

玉木:つながっている電子機器の数は

岡田:ひと箱を1と数えると5から10くらい。大きい箱も小さい箱もある

玉木:それぞれ可能性を分析し調べていく?

岡田:全体がシステムとして構成されている。ここに異常が検知されるのはどういう状況が考えられるのか、エンジニアは回路図を見て危機のつながりを想定し当たりをつける。箱を開けてみるわけではなく回路を見る。自分は電気は専門ではないが、一般的にはそうする。

玉木:予備期間の中で打ち上げるのが目標?

岡田:それが第一歩。

毎日新聞垂水:SRB-AからSRB-3への変更点で接続部分の簡素化で点検が減ったとのことだがそれが原因としてありそうか

岡田:そこが原因ではないと考えている。接続の方法などはあるかもしれないが、設計を変更したからということはないと考えている。

JSTサイエンスポータル草下:一段エンジンに着火後燃焼も始まっていた?

岡田:その通りです。推力が立ち上がったところを検知している。エンジンは正常だったとみている。

NewsPicks中居:中止で機体や衛星への影響は

岡田:衛星に影響はない。機体も損傷はないし今回の中止を除けば健全とみている。

中居:機体はどうなるのか

岡田:燃料を抜いたあとでVAB(組立棟)へ戻し点検。燃料の抜き取りは今日の午後いっぱいかけて。機体を移動する処置(接続配管の解除など)をし返送は夜8時か9時ごろと思う。

中居:組立棟の中で点検?

岡田:まずは設計的にみて、何が起きているのか追えるのでまずそこを。ハードウェアを見なければならない状況なのかはその次のこと。

共同通信七井:LE-9エンジンは正常に着火し燃焼したとのことだが再打ち上げで使える?

岡田:こういうことも想定して設計してある。打ち上げが一度中止しても次に使える設計。点検はしてその結果次第だが今のデータ的には問題がなく、次も使えるものと思っている。

NHK鹿児島放送局平田:延期で機体が長く置かれていたことの影響はあるか

岡田:原因がわからないのでなんとも言いにくいが、種子島に来てからきちんと保管されているし機器の保管期限を決めている中で待機しているため問題はないと考えている。原因の究明次第。

共同通信社鎮目(しずめ):中止と失敗について、モヤモヤするので。一般的に、意図的に計画を途中で止めることを中止という。飛ぶはずの機体が飛ばない、意図しない異常による中断、中止は一般的にいう失敗ではないか

岡田:こういうことはときどきあるが、こういう状況で失敗とは言わない。

鎮目:みなさんの中では失敗とは言わないが、失敗と言われることも甘受しなければならないのではないか

岡田:解釈は受け止め方がある。ロケットは安全に止まる状態で設計している。設計の範囲内で止めている。「意図しない」は設計の範囲を超えること。想定している中の話なので失敗とはいいがたいと思う。

鎮目:システムで対応できる範囲内の異常で止まったということか

岡田:検知できる異常によって安全に止まっているという状況です。

鎮目:それを一般に失敗という。ありがとうございました

日刊工業新聞加藤:エンジンを一度着火した。安全なところで止まった?

岡田:安全に止まるよう設計していてエンジンは通常通り止まった。止める信号が機体から来て、止まるべくして止まっているため問題はないと考えている。ロケットの打ち上げ中止はひと通り点検しその中で判断する。

南日本新聞五反田:一段の制御用機器やその他の機器で、H-IIAとの違いは

岡田:なかなか一言では説明しづらい。ロケットの機能はだいたい決まっている。それをどう一つの箱に機能を割り当てるか、どういうつなぎ方をするのかなどの違いはある。一段エンジンの舵角を振る、首振り運動をさせる機器はH-IIAでは油圧だったがH3は電動という違いがある。全体にいろいろ違っている。

五反田:電気信号を送るところに省電力化などはあるのか

岡田:それが今回の現象とどうつながるのかわからないのでどう答えればいいか難しいが、
機器の機能の配分を変えている、電動の制御装置がつながっているなどの違いがある。

アラフネ計画荒舩:今回の不具合はロケットを打ち上げする状態に組み立てて初めて起こることという理解でよいか。また、SRB-3を着火する際のチェック項目は何項目くらいあるのか

岡田:模擬的に負荷をかけることはこれまでもあった。シーケンスを流すのは何度かしているが実際に現物で動作させるのは初めてのところもある。だいたいのところは模擬できていると考えている。SRBに信号を送るところで止まっているためSRBそのものに原因はないと考えている。詳細は原因を究明しつつ。
チェック項目の数はどう答えたらいいか…カウントダウンシーケンスは順次進んでいく。LE-9の立ち上がりがどこまで進んでいるか、推力がどのくらい立ち上がったかなどを見るし各機器の状態も見ている。オールグリーンならSRB-3の着火に入る。その間に割り込みで信号が入ってくる。

読売新聞渡辺:再打ち上げについて改めて。予備期間のうちにとのことだが少なくともどのくらい時間が必要なのか。数日か数週間か、現実的にどのくらいかかるものか

岡田:原因次第。ロケット本体を外に出して、燃料を充填したあとでも再打ち上げは数日でできる。原因によって日程が見えてくる。原因究明中なのでわかり次第考えていく。

渡辺:新規の1号機だが信頼性への影響はどう考えているか

岡田:原因がどこかをはっきりさせた上で、信頼性が高いH-IIAの後継機なのでそれ以上にしていきたい。原因を究明してから評価していただければ。

産経新聞伊藤:異常検知部分、第一段ロケットを制御するシステムの中で異常が起きたということ?

岡田:広い意味で全体の機能を制御する中で異常があった。

伊藤:検知されるべき異常はどういうことが対象として考えられるのか

岡田:たとえば回路内の電圧の問題、来るべき信号が来ない、電気的にはそういうこと。

伊藤:第一段の動作がおかしいなども検知されるのか

岡田:機能動作をチェックしている

伊藤:エンジンの噴射口の向きの制御のほかには

岡田:エンジンに電源を供給している部分、つながっている電池からどういう系統で回路がつながっているかなどを見ている。第一段ロケット全体をコントロール、エンジンのノズルの向きを制御する、エンジン自体にも搭載されている電気箱(エンジンの中のバルブをコントロール)などがつながっている。

伊藤:異常を知らせる信号の中に「どこが悪い」という情報は乗っていないのか

岡田:たどっていかなければわからないこともあると思うがわかると思う。エンジニアが回路を今たどっている。ここに異常を検知した、その原因はなんなのかを調べている。
設計者自身が見ているのでなにもわからないわけではなく、技術者同士で議論している。
1秒の1/100単位で動作している回路の中でなにが起きているのか、タイミングも見ていかなければわからないところがある。データを追いながら分析している。

フリーランス鳥嶋:LE-9の立ち上がりは正常だったとのことだが性能の100パーセントまで達していたのか

岡田:100パーセントに近いが100パーセントではない。

鳥嶋:離床に問題のないところまでは来たのか

岡田:はい。機体で判断する限りLE-9は正常です。

鳥嶋:ホールド解除されたのか

岡田:解除されている。ホールドダウンはSRBがないと必ずしなければならない。SRBがついていれば本当の直前でなくてもよく、今回はカウントダウンで18秒前に解除。

鳥嶋:SRBの重みで安定している?

岡田:はい。

鳥嶋:あとはVABに戻す前に固定する?

岡田:いえ、固定せずに戻します。それは問題ありません。

フリーランス大塚:さっきの質問と同じだが、異常が見つかった場所はログを見ればすぐわかるわけではない?

岡田:かなりの短時間でいろいろな信号のやりとりがある。ていねいに追いかけていかないと見誤ることがあるかもしれない。機体の中のデータを吐き出して分析しながら原因がわかってくると想像している。

大塚:ログはまだダウンロードしていない?

岡田:ログはあるのでそのログと回路やロジックを付き合わせながら、おおもとの原因を探っていく。

大塚:どの機器で異常があったかは数日でわかるか

岡田:電気の専門家ではなく感覚で申し上げられないが、こういうことが起きたときの経験では、ある程度の追い込みはわりと短時間でできていたと思う。今回も期待している。

ニッポン放送畑中:カウントダウン0のときに出ていた煙は正しい現象?

岡田:正しい現象です。ロケットエンジンが燃焼するときは煙道に水を噴射していることもあり、高温のガスと水が混ざって全体が雲のように出てくる。

畑中:エンジンには魔物がというがエンジンだけではないのか

岡田:ロケットというのはエネルギーが凝縮されているシステムであり複雑な現象も起こりうる。だからこそ打ち上げの瞬間まで、ぬかっているところはないかとエンジニアたちが考えている。その結果としてこのような事実がある。■

サイエンスポータル草下:打ち上げシーケンスについて。Xマイナス6.3秒がLE-9のスタート、SRBがXマイナス0.4秒といった計画値だったが、今回の速報値は出ているか

岡田:今はまだ出ていない。信号なので計画値からずれることは考えづらい。

草下:LE-9はエンジンスタート、SRBは点火となっているが理由はあるのか

岡田:特にない。液体燃料エンジンに「点火」とは言わないのでこう書いている。「着火」なら使う。

草下:点火と着火の使い分けはあるのか

岡田:なんとなく使い分けている。火薬系は点火と書きたい。

読売新聞笹本:LE-9着火からSRB点火までの間に何かがあったと思うが今わかっていることは

岡田:いつかわかると思うが今はわからない。

笹本:CFTで問題が見つかって修正されている。制御機器は動きも見ると思うが事前点検でどこまで見るのか

岡田:CFTでは今回と同じ現象は起きていない。CFTとの違いを含めて、どんなことがあったのかこれから究明する。

笹本:CFTではどんなところまで見るのか

岡田:シーケンス、コンピュータをどこまで動作させるのか、変な動作をしないのかはいろいろなパターンでチェックしている。ただ実際に着火しているわけではないし、本番と同じだけの電気的負荷はかかっていない。そのあたりも原因究明の材料になる。

ネコビデオNVS金子:機体移動から打ち上げまでの作業について。6時間の余裕を見ているとのことだったが順調だったか

岡田:まあまあ順調だったと思う。1つのマイルストーンとして…ロケットは燃料を充填しつつ機能点検をする。それをレビューするタイミングがある。そのタイミングはずれなかった。おおむね順調だったといっていいと思う。

日経クロステック斉藤:過去に日本の宇宙開発で、今回のようなSRBが点火せず延期になったことはあるのか

岡田:一番近いパターンはH2ロケット2号機。メインエンジンは着火したがSRBに点火しなかった。ただしどこから信号が出るかなどは設計が違う。パターンとしては似ている。

斉藤:1994年8月くらいと思うが

岡田:その年の後半ですね。初号機が年初だったので。

毎日新聞池田:説明図で確認したい。第一段制御用機器がその他の機器で発生した異常を検知して着火信号を出さなかった?

岡田:異常が発生した部位は特定できていない。第一段制御機器本体かその他の機器かは特定できていない。全体に網をかけながら分析していく。両方の可能性がある。

池田:対一段制御用機器は姿勢制御や電源制御の機器?

岡田:エンジン制御、電池もぶら下がっている、…詳しいものに聞いてあとでお答えします

池田:センサーに異常があった可能性は

岡田:今のところそこまで識別はしていなかった。可能性のないものは調査から外していく。
(紙が差し入れられる)
先ほどの質問。ロケットの第一段には推進系というバルブがついている。そのコントローラー、エンジンを動作させるコントローラー(制御機器)、首振りのためのコントローラーが第一段制御用機器には入っている。

南日本新聞山田:一号機の打ち上げ費用はいくらくらいを見込んでいたのか。また今回のミッション未達成によって生まれる損失額の見積もりがあれば

岡田:一号機は開発品で、これ自体を開発しながら組み立てている。第一段の打ち上げ費用を切り出すのは難しい。直接的には消費した燃料、打ち上げ単位の費用などが追加になっていく。金額は今のところなんとも申し上げられない。

山田:H-IIAの打ち上げ費用は100億円。それより小さいとはいえないか

岡田:本体だけで申し上げると安くなっていると思うが、試験機一号機にはこれ自身をやってきての今の機体なので一号機だとお答えしづらい。

フリーランス林:H-II2号機が同じパターンで停止した。スペースシャトルにも同じような停止があったと記憶している。止めることができたのは(なにも問題なく打ち上げられるのが最善だが)損失を防いだとも考えられる。ロケットエンジニアとしての考え方、「打ち上げ失敗」とも報道されるが聞かせてほしい

岡田:打ち上げの間際まで、いかに安全な状態で、いざとなったら停止させるかということにかなり気を遣っている。何度もいろいろなパターンで訓練したり停止のしかたを検証したりしている。H3の停止は設計通りと考えている。
だからいいと考えているわけではなくしっかり受け止めて次に臨みたい。

林:CFTのときはSRBは燃焼させなかったが、SRBが働いたと考えられる時間まではリハーサルをしたか

岡田:CFTの前のリハーサル? CFTそのものか

林:CFTはエンジン燃焼まではしたと思うが、それ以前のリハーサルでも行われているのか

岡田:やっている。いつどんなコンフィギュレーションで試験したか見直したい。模擬的な止め方、正常に流すといったことをくり返した。今回なぜこのような現象に至ったかをまずは見極めたい。

林:今までは今回のような不具合はなかった?

岡田:ありませんでした。

読売新聞笹本:CFTではSRBに点火信号を送ることに関しては実績があった?

岡田:いえ、その前に止まっています。

笹本:過去のCFTではSRBが燃焼しないとしても点火信号を送っていた?

岡田:おそらく送っていなかったと思う。点火信号を送るのは今回初めてではないが。

笹本:異常の検知タイミングは

岡田:正確なところはまだわからない。次回お伝えしたい。

笹本:第一段の機体システムのどれかが異常を検知したということで…

岡田:異常を検知したのは第一段の制御用機器。異常がどこで起きたかは特定できていない、という状況。
回路内の電圧値がどうだったのかなども含めて詳細に分析しなければいけない。そんなに時間はかからないと思う。

笹本:システムが変わったこと、新規開発のところが原因かはまだわからない?

岡田:電気関係はH-IIAとH3はほぼ違う。新規開発だが新規開発したがために今回の事象に至ったかはわからない。
開発ものはあちらこちらが新しいもので、新しいからどう、継続使用だからどうという見方はしない。

共同通信須江:事象の程度の評価、受け止めは。深刻なものなのか

岡田:ロケットの打ち上げ中止は大きなことと受け止めている。原因が何かはまだ調査中。根深いものがあるのかは次回ご説明の際にはお伝えできると思う。今はなんとも言えない。

須江:第一段と第二段を合わせて第一段という表記を資料で見たことがあるが今回の異常はどこなのか

岡田:第一段と第二段で重なっている部分がある。第一段と第二段の区分けが難しいところもある。場所的には第一段の中でもエンジン部、図の中で拡大しているLE-9周辺で起きている。
まだ原因が特定できていないのでなんとも言えないが、搭載機器はだいたいここなのでここと思う。

須江:SRB-3に点火する自動チェックの中で異常を検知したのか、

岡田:異常を検知したあとSRB-3の点火信号が送出されるタイミングになったため信号を送出しなかった。

NewsPicks中居:LE-9を止めるための装置は一段目制御用機器にないのか

岡田:何かが起きたとき、SRBに点火しないと自動的にLE-9を停止するしかけになっている。短時間の燃焼試験をしたような燃え方になっている。

中居:H-II2号機の中止のときも「失敗」とは言わなかった?

岡田:はい。安全に停止して原因を突き止めてリベンジしたと記憶している。

中居:最初の質問のとき感極まっていたようだが、失敗と受け止めた方もいると思うが失敗ではない?

岡田:失敗したらこんな気持ちにはならないと思うんですけど、打ち上げミッションを待っていた方、一緒にがんばっていただいた方に残念な思いをさせてしまったことが一つと、天気の関係でこの2日間延期したとき、種子島宇宙センターには多くの応援して頂いている方がいらしていていろいろ話もする。…そういうお子さんもいらっしゃいまして、ごめんねという気持ちですかねこれは。すみません。(涙を拭く)

フリーランス秋山:衛星について。だいち3号(ALOS-3)をいったん下ろすのか。その場合衛星分離機構はいったん外してもまた使えるものなのか

岡田:再打ち上げまでの期間によると思う。そういう大きなインパクトがないように備えたい。だいち3号は環境のいい状態でロケットに搭載し次の打ち上げを目指したい。
分離機構の再利用は原理的には可能。

日経クロステック松浦:今後の標準的なトラブルシューティングの手順を教えてもらえますでしょうか。まず機体をVABに返送する。それと並行して電気系の検討を図面レベルで進める。必要に応じて機体の検査を行い真の原因を突き止めて必要に応じて対策を行う。その後に次の打ち上げ日を設定する、というような理解でよろしいでしょうか。

岡田:おおむねその通り。いかに並行して行うかがポイント。

時事通信神田:先ほどの質問で第一段の制御用機器に問題があるかそのほかに問題があるのかわからないとのことだが、異常の誤検知の可能性もあるのか

岡田:その可能性も残しながら検討する。突き詰めていくと誤検知ではなく実現象と見えてくるかもしれない。なんともいえない。その検証はそんなに時間がかからないと思う。
これまでもシーケンスを流して確認しているし、網は広くかけてつぶせるところはつぶしていくのが我々の進め方。急ピッチで進めたい。最初に排除すると見落とすかもしれない。

神田:トラブルの洗い出しに、SRBといういったん点火したら止められないものがからむことは関係するのか

岡田:SRBは主要な登場人物ではないと思う。LE-9も。

日刊工業新聞飯田:打ち上げの予備期間が終わったあと、次の打ち上げ期間はいつなのか

岡田:だいち3号ははやぶさのようにこの期間に打ち上げなければミッションを達成できないものではなく、地元や関係者との調整の中で打ち上げ期間を決めている。技術的にはいつ打ち上げてもよい。

飯田:3月10日以降に延びる可能性はあるのか

岡田:予備期間は決められており、その中で打ち上げを目指す。

宇宙作家クラブ渡部:数字の確認。火工品点火からのシーケンスは

岡田:Xマイナス6.3秒でLE-9エンジンスタート、Xマイナス0.4秒でSRB-3点火。

渡部:LE-9のエンジン停止のコマンドはいつ送出されたか。

岡田:Xプラス何秒で停止のコマンドが入っている。

JAXA広報:今後の予定。原因の究明と対策を鋭意進める。次の説明会がいつになるかは具体的な情報がなく、適宜お知らせしたい。

(以上)

「新しいBing」の中華フォントを日本語フォントにする

チャットAIが組み込まれた「新しいBing」に先行利用を申し込んで、3日ほどで使えるようになった。

さて、なにを聞いてみようかな。そうだ邪馬台国の場所を聞いてみよう。

いい感じの回答が出てきた。先行しているチャットAIの「ChatGPT」だとどうだろうか。

ChatGPTに邪馬台国の場所を聞くとこんな調子である。

「ChatGPTはもっともらしい嘘をつく」の典型である。しかし人間も知らないことをあえて聞くのは意地悪だった。ChatGPTは聞かれたことに「知らない」と返すと鼻が伸びる奇病にかかっているため(嘘)、作り話をしてでもなにか答えを返そうとする。

新しいBingにまじめなことを聞いてみた。

いいですね。特にウクライナ侵攻や、6日に発生したトルコ・シリアの大地震という最新の情報が盛り込まれているのがよい。ChatGPTは2021年までの情報のみから回答するため、最新の情勢について答えるのは苦手だ。

さて、新しいBingは回答はよいがフォントが気に入らない。中華フォントは微妙に日本語と違うので読みづらい。「おれは直角」と入力するとこうなる。漢字の書き取りでは×にされるだろう。

これは変えられるのかな。そうか、直接聞いてみればいいんだ。

望んだ回答ではなかった。Google Chromeはライバル会社のGoogleの製品だから存在しないかのごとく回答するのはわかるけど、Microsoft Edgeでどうすればいいのかも回答しないのね。自分のシェアがとても低いことを理解しているのだろうか。

しかしこのAI入りBingは、自分の環境では今のところEdgeでしか動作しない。マイクロソフトが提供する強力なAIをEdgeというブラウザで囲い込むとシェアが上がるかもしれない。「検索サービスにおいて、マイクロソフトは今さら失敗しても失うものがないので挑戦的なことができる」とも言われている。

それはともかく、表示フォントを変えるためにStylusでスタイルシートを書き替えることにした。Stylusが何かとか使い方は検索してください。チャットAIに聞いてみてもよさそう。

こんなふうにした。

body{
        --cib-font-text: -apple-system, Roboto, SegoeUI, "Segoe UI", "Helvetica Neue", Helvetica, "Yu Gothic", "Microsoft YaHei", "Meiryo UI", Meiryo, Arial Unicode MS, sans-serif;
}

Microsoft YaHei」は中国語のフォントで、これの手前に「"Yu Gothic", 」を入れた。BIZ UDPゴシックが好きな人は「"BIZ UDPGothic", 」にする。

これが
游ゴシックだとこうなった
BIZ UDPゴシックだとこう

読みやすいフォントは生産性に直結する。読みづらいWebページはStylusでフォントを変えていきましょう。

おみくじは中吉

初詣でいつものおみくじを引く。今年は中吉だった。

第四十三番

どんな人生になるかは誰にもわからない
どんな人生にするかはあなただけがわかる
の心を持って位生きよ 嘘やうわべの言葉は自分自身も裏切る

運勢 中吉


  • 願望:欲張らず願い成就するだろう
  • 仕事:人をまとめる役割で評価が高まる
  • 恋愛:焦っても変わらぬ 少しずつ距離を縮めよ
  • 健康:怪我しやすい時期 用心せよ
  • 学業:手が届かぬと思わず挑戦せよ
  • 金運:安定している 商人ならば事業を考えるも吉
  • 旅行:歴史を学ぶ旅で運も開く
  • 出産おさん:大仕事に向け体調管理には気をつけて

縁起物は達磨だった。

達磨だるま
忍耐、人望、福徳をさずける福神 七転八起(何度失敗しても屈しないで奮いたつの意味)人に忍と福と寿命の三徳を与える福神といわれ古くから広く親交を集めています。財布等の中に入れて開運のお守としてたいせつにお持ち下さい。

去年のおみくじを見直してみた。去年の「出産おさん」は「大仕事に向け体調管理には気をつけて 無理は禁物」で今年とほぼ同じだった。

2022年は年初と8月の第6波と第7波、2月からのウクライナ戦争、7月の安倍首相暗殺からの統一教会問題が大きなトピックだったと思う。特にロシアのウクライナ侵攻、そして自民党統一教会の癒着はこんなことがあっていいのかという話で、どちらも歴史の転換点になるだろう。

今年は新型コロナウイルスの心配をもう少し減らしたい。プーチン大統領ウクライナへの侵攻をやめてほしいし、政治家はいくら当選しやすくなるとしても反社会的な団体との関係はきっぱり断ってほしい。

これまでのおみくじ