八王子市夢美術館で開催されている川瀬巴水の展覧会を見に行った。展示は約150点で、ゆっくり見て1時間半くらい。
川瀬巴水は明治末期から昭和32年まで活動した版画家で、旅と東京の風景を多く題材にした。微妙なグラデーションや川面、月明かりの表現が美しい。
月明かりは現代の都会で暮らしていると完全に失ってしまった光なのに、こういう作品として見せられると「知らないのに懐かしい」という不思議な郷愁を覚える。
旅先の川瀬巴水から版元の渡邊庄三郎へ宛てて書かれた手紙も読み方とともに展示されていて、大正時代の言葉遣いや文字の書き方がとても興味深かった。封筒の宛名書きは達筆すぎて、今だと届かなさそうだった。
Wikipediaの川瀬巴水の項目に作品が掲載されていた。今回展示されているものから何点か紹介。
- 大阪 道とん掘の朝
- 深川上の橋
- 芝 増上寺
ここで自分が撮った写真を紹介したい。こういう写真を好んで撮っていると、川瀬巴水と比べるのもおこがましいがシンパシーを勝手に感じる。
ところでスティーブ・ジョブズは川瀬巴水のコレクターとしても知られている。これがMacintoshやiPhoneなど、アップルの製品開発にどう影響を与えたかというテーマをNHKの佐伯健太郎記者は長いこと追いかけていた。記事もいくつも書いている。
会場の最後のコーナーは「スティーブ・ジョブズと巴水」で、ジョブズが所有していた作品と同じものが何点かと、Macintoshを発表した当時の写真が載った雑誌などが展示されていた。
ところでその2。八王子の国道20号沿いにはブックオフやハードオフのほかいろんなオフが集まった「全部オフ」があるそうだ。実際はオフシリーズ全部ではないらしいとはいえものすごい品揃えだというので興味があったが今回は寄れず。いつか行ってみたい。