慣用句やことわざ、その他の表現の覚え違いで、独特な日本語になっていることがある。たとえば「うる覚え」とか(正しくは「うろ覚え」)。そういうのを見つけるたびにメモしていたらけっこう集まったので披露したい。
間違っていることをばかにしたいとか、こちらの知識をひけらかしたいわけではない。どれも独特の趣や面白さがある。これはリスト入りかなと調べると実は正しいなんてこともあった。お互い気をつけましょう。そしてこの種の「うる覚え」表現がほかにあったらブコメやTwitterで教えてください。追記します。
あ行
- 青色吐息→青息吐息
- 挙げ連ねる→あげつらう+言い連ねる/書き連ねる
- あたな→あなた(なぜかちょくちょく見かける)
- 辺り来たり→ありきたり
- あぶり出てくる→あぶり出されてくる
- あまりものインパクトに→あまりのインパクトに
- あらよあらよという間に→あれよあれよという間に
- 怒り立つ→いきり立つ
- 意思を突き通す→意思を貫き通す
- いたいけない→いたいけな
- 一糸まとわぬ演奏→一糸乱れぬ演奏
- (状況が)一転する→(状況が)一変する
- 一髪触発→一触即発
- 今だに→未だに
- 上に下にの大騒ぎ→上を下への大騒ぎ
- 伺った見方→穿った見方
- うず高く→堆く
- 鬱蒼とした気分→「陰鬱な気分」など
- うる覚え→うろ覚え
- 永遠と→延々と
- エスケープゴート→スケープゴート
- おおっぴろげ→大っぴら+あけっぴろげ
- 押しも押されぬ→押しも押されもせぬ
- 落とし入れる→陥れる
- 思い入れ深い→思い出深い
か行
- 怪文章→怪文書
- 考え深い→感慨深い
- 兼ね揃えた→兼ね備えた+取り揃えた
- (〜を)かんがみ→(〜に)かんがみ
- 気が気でならない→気が気でない
- きめ細やかな→きめ細かな+細やかな
- 驚異深い→興味深い
- 狂気の沙汰ではない→正気の沙汰ではない
- 凶弾する→糾弾する
- 玉石混交→玉石混淆
- 玉石混合→玉石混淆
- 食うや食わざるや→食うや食わず
- 苦肉の選択→苦肉の策/苦渋の選択
- 組みやすし→与しやすし
- 繰り替えす→繰り返す
- けんもほろほろ→けんもほろろ
- 傲慢不遜→傲岸不遜
- 興奮冷めやまず→興奮冷めやらず
- ご教授ください→ご教示ください
- 語気を荒げた→語気を強めた+声を荒げた
- こけおとす→こき下ろす
- 固定概念→固定観念+既成概念
さ行
- 差し違いない→差し支えない
- 瑣末な作り→粗末な作り
- 座右の目→座右の銘
- 惨憺たる気持ち→暗澹たる気持ち
- 時期早々→時期尚早
- じゃぁ→じゃあ(なぜかよく見かける)
- 趣向返し→意趣返し
- 趣味趣向→趣味嗜好
- 趣味に高じる→趣味に興じる/趣味が高じて
- 少数先鋭→少数精鋭
- 知ら無い→知らない(参考:「ない」をなんでも「無い」と書か無いでほしい)
- 心機一変→心機一転
- 水泡と化す→水泡に帰す
- スッタフ→スタッフ(なぜかよく見かける)
- (それは)晴眼→(それは)慧眼
- 聖人君主→聖人君子
- 責任転換→責任転嫁
- せざろう得ない→せざるを得ない
- 想像を駆り立てられる→想像をかき立てられる
- そぐう→ふさわしい
- そぐわしい→ふさわしい
- それ相当→それ相応
- それともなければ→そうでなければ/さもなくば
た行
- 対処療法→対症療法
- 誰しもが→誰しも
- 遠去ける→遠ざける
- 通り一辺倒→通り一遍+~一辺倒
- 朱鷺の一声→鶴の一声
- 時より→時折
- 突飛もない→突飛な+途方もない
な行
- 鍋ぶたに綴じぶた→割れ鍋に綴じ蓋
は行
- 歯がいじめ→羽交い締め
- (現実と)剥離した→(現実と)乖離した
- ひっぺがえし→しっぺがえし
- 物議を醸し出す→物議を醸す
- 不用の長物→無用の長物
ま行
- 紛いなりにも→曲がりなりにも
- 曲がり間違って→まかり間違って
- ままなっていない→ままならない
- みるみると→みるみる/みるみるうちに
- 向かい入れる→迎え入れる
- 見え見え白々→明々白々
- 門口を開く→門戸を開く
- 門徒を開く→門戸を開く
や行
- 焼き回し→焼き直し+使い回し
ら行
わ行
- 湾曲表現→婉曲表現
記事公開後の追記分
- 辛うじで→辛うじて(@ikishichiさん)
- 通りで→道理で(@ikishichiさん)
- せざる終えない→せざるを得ない
- せざる負えない→せざるを得ない
- 満遍の笑顔→満面の笑顔
- 飛沫候補→泡沫候補
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