外出時にテキストデータを入力できるデバイスとして、今持ち歩いているのはCLIE(PEG-T650C)とPHS(WX310K)である。
以前はシグマリオン、さらにその昔はモバイルギアなどを持ち歩いていた。これらのキーボードつきデバイスが手元にあれば、電車の中で日記用の文章などを入力できていいなと考えたからだ。
CLIEやPHSでも文字は入力できるが、普通のキーボードと比べればスピードはぐっと落ちる。思考の速度に入力がまったく追いつかないのはストレスだから、普段の打鍵速度になるべく近づけたい。そこでシグマリオンなどを持って出ていた。
このようなキーボードつきのデバイスを鞄に入れておく習慣は、数年間は続いたと思う。それだけの期間持ち歩く程度には便利だったことになる。でも、これは確かに便利ではあるが、やっぱりパソコンのキーボードと同じ速度では入力できない。同じ文章をタイプするのなら、今電車の中で書くよりも、パソコンに向かって打つ方が明らかに早い。
ほかの場所なら効率よくできることを、わざわざ電車の中でする必要はない。たとえば本を読む効率は、電車の中でも家でも同じである。ならば電車の中ではそういうことをしよう。ある日そう考えて、シグマリオンは必要なときだけ鞄に入れることにしたのだった。
今は、出先でネタが浮かんだらPHSに入れている。テンキーでメモ的に入力してメールで自分に送り、パソコン上で文章に仕上げている。PHSには推測変換も一応あるし、入力が遅くてもそういうものだと割り切れば、これはこれでなかなかよい。
一方、PHSでそれなりにちゃんとした文章を書かなくてはならないこともたまにある。これが面白いことになる。あとでその文章を読み返すと、パソコンで書くのとは文体が微妙に違う。テンキーでの入力がもどかしいことが、句読点の量や言い回しに影響を与えているのだ。
そういえば、手で文章を書くのはキーボードより圧倒的に遅い。しかしそのぶん、一字一字をゆっくり書くことになる。パソコンで推敲した文章を手書きで清書するときなど、表現や語尾をその場でちょっと変えたりする。そうしたくなる何かの違いが、キーボードと手書きの間にはよく起きる。
同じように、テンキーで書く文章でも、仕上がりはキーボードとはちょっと変わるようだ。ならば、たまにはわざわざテンキーで長文を入力するのも面白い結果になるかもしれない。
そういえばキーボードが同じでも、ローマ字入力と親指シフト入力では明らかに感覚が変わる。これもバイリンガルみたいで面白い。