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こうの史代展はなんだかこうの史代っぽかった

佐倉市立美術館で「漫画家生活30周年 こうの史代展」が開かれている。10月2日まで。行ってみた。

チケットの窓口は係の人が一人だったので、開館時間に行って行列ができると入場までにけっこう時間を取られてしまうかも。土日の開館時も一人でさばいているのだろうか?

そして展示はなかなかのボリュームだった。マンガの展覧会では展示されているマンガを読んでしまう。全部読んで映像作品(執筆の様子を撮影した20分ほどのもの)も見たら4時間以上かかった。

会場は2階と3階に分かれていて、3階は写真撮影可だった(「作品を全ページ撮影するようなのはダメ」とあった)。2階が商業作品で3階がデビュー前とかいうこともなく、写真撮影の可不可をどういうルールで分けているのかはわからなかった。とはいえ会場でシャッター音を聞くことはほとんどなかった。

上の写真は「描く人へ」。こうの史代はときどきこういう怖いマンガを描く。

自分が好きな作品は『この世界の片隅に』や『夕凪の街 桜の国』はもちろんなんだけど『長い道』もお気に入り。基本的にコメディで、お話はしっかりありつつ実験的な表現も楽しめる。しかし今は紙の本は品切れのようだ。

実験的な作品というと『平凡倶楽部』がさまざまな素材や手法で描かれていて、これは生原稿を見る価値があった。

デビューのころや、それより前の作品をいろいろ見られたのもよかった。中学のころからマンガを描いて徹夜をしていたそうで、高校で同人誌に描いた作品も展示されていた。この年齢ですでにちゃんとしたマンガを描いていたんだな。このころの笑いの作り方はまだ定型的にも見えつつ、一方でこうの史代らしくもある。顔の描き方や、等身が低めで手足が大きい画風は大学入学ごろには定まっていたようだ。カケアミの多用もそのころからずっと続いている。

会場の床には順路がテープで示してある。この点線の律儀な感じがなんだかこうの史代っぽいなーと感じた。

3階には「こうのさんにお手紙が書けるよ!」のコーナーがあった。マンガ原稿用紙のようにトンボが切られた色紙と色鉛筆が置かれていて、こうの史代にファンレターを書くことができる。書いた手紙は横にでんと置かれている巨大なぴっぴらさんのポストに投函するようになっていた。このユーモア感覚もこうの史代っぽい。

1階のショップコーナーで売られていたのは図録や既刊のほか、Tシャツ(このコマを使うんだ)、キャップ(後頭部にもネタあり)、ぼおるぺん(商品についている宣伝文句がよい)、巾着袋、複製原画、ポストカード、クリアファイルなど。なかなか充実していた。

図録は会場だけでなく書店でも売られているようだ。お高いけれど300ページ以上のボリュームでテキストも多くて盛りだくさん。

ところで会場のすぐわきにトマソンがあった。守るものがないガードレール。