核つながりで紹介。このすばらしいマンガについてはじっくり触れたいと思うのだが、こういう機会がないと結局紹介せずじまいになってしまいそうだ。もうあちこちでさんざんほめられているマンガだが、ここでもほめさせて下さい。
原爆を題材にした、こうの史代の作品。枠線以外は定規を使わず、スクリーントーンも使わない。ふかしたじゃがいものような、ほこほこした味わいの絵。しかし内容はあくまで重く、核の惨禍が現在に至るまで尾を引いていることが丁寧に示される。
マンガ表現としてはとてもコンテクストが高いのが特徴で、読み直すたびに細かい隠喩やつながりに気づく。そしてより印象深くなっていく。
100ページ程度の薄さに対して840円は割高に思えるかもしれないけれど、そこで買うのをためらっている人にはまあいいから、悪いようにはしないからと言いたい。