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東京都の緊急事態宣言は5月31日の解除も難しそう【追記あり】

この記事の続きです。

前回の記事を書いたのは4月30日。そこから5月11日までに新規感染確認者数を1日100人にまで減らすには今までにないほど早い減少ペースになる必要がある、だから11日には宣言を解除できないだろうと予想した。

そのときのグラフはこんな感じ。

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これが今日はこうなった。(新規感染確認者数の7日間平均と、その数の1週間前との比を追加した)

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予想通り、新規感染確認者数を1日100人に減らすことはできず、緊急事態宣言は延長になった。

さて、延長された緊急事態宣言は5月31日までだという。では31日までに1日100人に減るだろうか。上のグラフを5月31日まで広げてみた。

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(※「今日を起点に」の「今日」の数字は、その日の新規感染確認者数ではなくその日の7日間平均に変更した。4月25日を起点にする線は比較のため、その日の7日間平均ではなく新規感染確認者数のままにしてある)

4月25日の新規感染確認者数(635人)から週0.7倍のペースで減っていくと、5月31日には1日101人になることがわかった。つまり4月30日時点で作ったグラフの水色の線を伸ばしていくと、ほぼ100人になるのは5月31日なのだった。これは前回の記事で計算しておけばよかった。

(週0.7倍ペースなのは、1月の緊急事態宣言で1月下旬から2月中旬ごろまでこのペースで新規感染確認者数が減っていったため)

4月25日を起点に、5月31日にぴったり100人になるようにするには、週0.698倍のペースで減っていく必要がある。週0.7倍のペースとほぼ同じで、グラフの線は重なっている。

そして今日の7日間平均(824.3人)から週0.7倍のペースで減っていくと、5月31日までの20日間で298人になるという計算になった。7日間平均の7日前比は、今日はおよそ0.98倍である。これが明日から急に0.7倍で減っていっても、5月31日に298人では十分減るとはいいがたい。

では週0.7倍のペースは維持したまま、新規感染確認者数が100人になるのはいつだろうか。上のグラフの中の「今日の7日間平均を起点に週に0.7倍に減るペース」を100人に減るまで伸ばしていくとこうなった。

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6月21日に102人、22日に97人になるという結果である。今よりずっと早い週0.7倍ペースの減り方でも、新規感染確認者数が100人になるにはこのくらいかかる。

先述の通り、1月から2月にかけては週0.7倍ペースで減らすことができた。しかしそれから3か月経ち、政府は何種類もの変異株の国内侵入を許している。感染力が強いとなれば週0.7倍ペースを維持するのも難しい。この状況で感染者を減らすには、より強い制限をかけた上で経済的な補償をもっと手厚くすべきだろう。

今日はこんなニュースも流れてきた。

目標に向かって力を注ぐのは大事だが、ここまでの計算を見ると達成は難しいのではないかなーと思うと同時に、上のような計算を政府がしていないわけがないと思う。でも月末を期限にしてしまうし、その日に解除したいと言ってしまう。

上の計算では、今日の7日間平均(824.3人)を起点に5月31日に100人まで減らすには、週0.48倍という現状では常識外れの減少ペースになる必要がある。これは前回計算した数字、4月30日の新規感染確認者数698人を5月11日までに100人にするペース(週0.45倍)に近い。「月末で宣言解除」と意気込んでみせるのは結構だが、どうすればそのための数字を達成できるのか教えてもらいたいものだ。

そもそも政府は、なぜ緊急事態宣言の期限を5月31日までとしたのかを説明していない(よね?)。新規感染確認者数がどのくらい減ったら緊急事態宣言を解除するかの目安も示していない(よね?)。やれやれである。感染者が増え続け、大阪や兵庫では治療を受けられないまま亡くなる人がたくさん出ている。ここまで来てもなお、政府はオリンピックをどうしてもやりたいらしいことが国会での答弁から伝わってくる一方、ワクチンの接種はなかなか進まない。これでは国民はますます政府を信頼しなくなり、いろいろ要請されてもばかばかしくて聞いてられるか! になってしまうだろう。そうなれば本当にオリンピックどころではなくなる。政府はそれでいいんでしょうか。

追記:一部訂正します

「新規感染者数の7日間平均の前週比が0.48倍は常識外れのペース」と書いたがそんなことはなかった。もっと前、最初の緊急事態宣言の終盤に2週間ほど、週0.5倍未満というデータが出ていた。当該部分は「現状では常識外れのペース」と修正しました。

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2020年5月10日から25日まで、7日間平均の前週比が0.5倍を切っている。新規感染確認者数が10人を切る日も出てきて、そろそろ緊急事態宣言を解除してもいいんじゃない? という雰囲気のころだ。ニュースで見る都心は行き交う人がほとんどおらずがらんとしていた。家を出る人があのくらい少なくなればこの数字も可能なんだね。

今思えば、5月25日に急いで緊急事態宣言を解除するべきではなかった。新規感染確認者数が10人以下の日をあと2週間、せめて1週間続けていれば第2波はもっと遅くなり、その間に医療提供体制の備えを強化できたかもしれない。しかし25日に緊急事態宣言をあわてて解除したらすぐに数字は上がり始め、28日にはもう7日間平均の前週比が1倍を上回ってしまっている。その後は今年の1月下旬から2月中旬にかけて0.7倍程度だったのが最低で、なかなか数字が下がらない。

もう一度去年の5月の状態にするにはたぶん、人々が仕事のために家を出なくてもすむよう特別定額給付金のおかわりが必須だろう。今の政府はどうしたらそれを決断してくれるだろうか?

追記2:続きを書きました