Twitterに投げ銭機能が仮実装されたそうだ。今はテスト的に一部の人が使えるようになっているという。
- Twitterが“投げ銭”機能をテスト Twitter上でお金のやり取りができる - ねとらぼ(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2105/07/news050.html)
お金を簡単に贈ったりもらったりできるようになると、Twitterはブログのように衰退していく気がする。ユーザーは何を書いてもお金儲けが目的と思われてしまうからだ。
その昔、個人サイトやブログが出てきたころは広告を載せるプラットフォームが発達していなかった。だから書きたいことがある人だけが書いていた。
今はGoogle AdSenseを始めさまざまな広告プラットフォームやアフィリエイトプログラムがあり、ネットになにかを載せるときには手軽に広告をつけられる。その結果、今のブログはお金儲けのために運営する人が増えすぎて、書きたいことがある人の割合が少なくなっている。
いわゆる「いかがでしたかブログ」は収入目的で運営されるブログの最たるものだ。読んでも有益な情報はほぼないが、SEOが強くて検索で上位に出てきてしまう。ブログの広告は誰かが見るだけで収入になるものが多いから中身はどうでもよく、とにかくページを開いてもらうことに特化している。
もちろんTwitterでも、ツイートがきっかけで収入を得られることはある。ツイート内のURLにアフィリエイトのリンクを入れることもできるし、上げたマンガが評判になって書籍化なんてこともある。
でもツイートをたくさんの人が見るだけで即収入にはならない。その点でTwitterは、ブログと比べると商売っ気がありすぎる人はまだ多くない気がする。
ブログはもはや広告が載っていることが当たり前になった。はてなブログ含め、外部のサービスを使ってブログを書くと、多くは運営が広告を載せてくる。広告のないブログにするにはお金がかかる。レンタルサーバでブログを運営するならサーバの使用料金がかかる。いずれにしてもブログは完全に無料で書くことは難しく、たいていお金がからんでくるものとなっている。
言いたいことはTwitterに書き捨てることもできる時代にわざわざブログを書くのは、収入が目的だと受け取られやすくなったと思う。Twitterで話題になっているトピックに「その話は以前ブログにまとめた」とブログのURLをツイートしたとき、「話題に便乗して金儲けしたいんだな」と思われても不思議はないと感じるようになった。そのブログの記事から書き手が収入を得ることがないとしても、そうでないブログが世の中に増えすぎた結果である。
一方、noteは投げ銭の機能や記事の販売機能があるのに、あまりお金にがつがつしている印象がないのが面白い。noteは最初から課金の機能がついていたから、noteを使うことイコールお金儲けというイメージがかえって少ないのかもしれない。
広告つきのブログがそれを主な収入や生活の足しにしてはいけないとは思わない。しかし「いかがでしたかブログ」を量産してネットを汚染していくと、そもそもWebが情報収集に向くメディアであるという信頼がなくなっていく。目先のお金儲けだけを考えていると、長い目で見て自分の首も絞める行為だとは思ってほしいものだ。
Twitterの投げ銭機能にはすでにいろいろな懸念が表明されている。いわゆる「パクツイ」で目立って投げ銭を求めるケースや、虐待から逃れるために家出した未成年者を装い援助を求めるケースが出るのではないかといった具合である。
- Twitterの“投げ銭”機能で「パクツイ増えるのでは」と懸念の声 Twitter社に対策について聞いた - ねとらぼ(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2105/07/news138.html)
こういった懸念はもっともだと思う。今のTwitterでさえ、耳目を集めようとして強い表現が使われがちなところがある。それが収入に結びつくかもしれないとなれば、より過激になったりデマ寸前のことを書いたりする動機付けになる。UGC(User Generated Contents:一般ユーザーが作るコンテンツでできた)のサービスにユーザー間でお金のやりとりが手間なくできる機能が追加されると、不健全なプラットフォームになっていってしまうのではないだろうか。