役に立たないダイエット情報

ちょっとこのグラフを見てみてほしい。半年前からの体重を記録したものである。実際の体重は内緒にしたいので標準体重(BMI22相当)との差を表している。

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半年で標準体重+22キロから+8キロまで、14キロほど減った。これは嬉しい。

どうやって減らしたのか。運動は以前と変わらず、ほぼしていない。ふだんは家で仕事していて通勤はなく、買い物に自転車で出かけるくらいである。

食生活は変わった。お菓子をほぼ食べなくなった。変化はこれだけである。朝昼晩の食事はずっと変わらない。食事はもともと食べすぎずにすんでいる。茶碗の盛りは少なめで炭水化物を減らしている。問題はお菓子だった。

以前はお菓子をついつい食べてしまっていた。特に夜が危ない。もちろん食べない方がいいとはわかっている。ところが恐ろしいことに、そのときだけはほとんど本能のような心境でお菓子に手が出てしまう。喉が渇いたから水を飲むような、自分の中でおかしなことはなにもない行動である。あとでふり返ると、自分でない誰かに操られているような気すらしてくる。そして食べても満腹感はそれほどない。まずいなー、今日も食べてしまったと思いながらもうちょっと食べたりしていた。

そういう生活がここ10年弱続き、それ以前は現在よりさらに体重が軽かったのだがどんどん重くなってきていた。

お菓子を食べなくなったのは薬の効果である。といっても食べずにすむ薬を飲むようになったのではなく、つい食べてしまう薬をやめたのだった。もちろんそれはそういう効能の薬ではない。ずっと飲んでいるメンタルの薬の一つが食欲昂進の副作用を持っていて、その力でお菓子を食べていたのだった。

「薬の副作用で太ってしまった」という人をテレビで見たりすることがある。自分がそれと同じことになっていたのだが、そういう自覚はまったくなかった。お菓子を食べるのが自分にとって不自然なことではないと思っていたからかもしれない。

先生に「最近かなり体重が増えてしまってマズイ」という話をしたところ、薬を変えてみましょうということになった。薬の本来の効果は実感できていたので、安定している状態から薬を変えるのは抵抗がある。しかし当時の体重は自分としても不本意で、改善できるならしたい。「この薬なら変えても本来の治療に悪影響は出ないでしょう」という先生の見立てで飲む薬が変わった。

長いこと飲んでいた薬を急にやめると、それはそれで体に影響が出ることがある。問題の薬は去年の12月から減らし始め、今年の2月にはストップした。食欲が増進してしまう副作用はその後も残っていたが、3月の末になったら急にお菓子を食べなくなった。お菓子に関する食欲が消え失せた感じ。お菓子を食べなくてもまったく問題がなく、見ても食べたいと思わない。お菓子を食べないことに関して意思の力がいらなくなった。今までの「食べちゃだめだ、食べちゃだめだ…」と思いつつ食べてしまっていた心境とはまったく違う、なにかお菓子に対する悟りを開いたような心境になった。

そして体重はするする減り始めた。摂取カロリーが減ったのだから当たり前である。その傾向は今も続いている。この調子で標準体重に近づけていきたい。どうしても減らなくなったら運動することも考えよう。考えよう! 考えるかなあ。たぶん考えるんじゃないかな。

多くの現代人は食べすぎで、食べる量を減らすだけで体重を落とせる。「いま食べた量と同じだけ食べられると感じているときに食べるのをやめるのが健康の秘訣」という意見もある。腹八分目どころか腹五分目である。しかしストレスが多いのも現代社会なので、つい食べすぎてしまう人が多いのだろう。たくさん食べるのはなんとなくよいことのような文化もある。大食いの人がテレビで紹介されたり、定食屋やカレー屋で普通でないボリュームに挑戦するコースが用意されていたりする。過食症ほどでもない食べすぎも精神疾患の一種と考えるようになれば、メンタルがよくなって肥満の人を減らすことができるかもしれない。そうすれば国民が健康になって医療費も削減できそう。

医療費を削減できそうな話題が出てくるエントリ
  • DV関連のニュース…DV加害者に罰を与えるより、ケアプログラムを充実させるほうが効率的という話で、高齢者を健康にしてしまえば医療費も少なく済むと書いている
  • 減塩への長い道…イギリスが医療費削減のため、食品に含まれる塩分を少しずつ減らしていった話。成果は年間2,600億円

メンタルの薬を飲むと、自分の感情に変化が出てくる。苦しい気持ちが緩和されたり、焦ってなにも手につかない状態から落ち着いて仕事をこなせるようになったりする。これは実に不思議な作用で、自分という人間の内側から自然に出てきて変えられないと思っている思考形態や感情ですら、薬で脳内物質の出方を調整すると簡単に変わってしまう。

だいぶ前にメンタルの薬を飲むようになって以来、そういう変化は何度も経験してきた。だから今回のように急にお菓子に対する感覚が変わっても恐ろしくなったりはしない。確固たる自分があると思っていても案外柔軟で変化しやすい。そう思って暮らしていくほうが心身両面で健康に近づくのではないだろうか。

なので、ストレスがたまって心身に不調があると思う人はあまり構えずに心療内科などを受診してみてほしい。眠れない、仕事に身が入らない、涙が出るなど。メンタルのクリニックは今どこも混雑していて、初診の予約は1か月後だったりする。のっぴきならない状態になるまでがまんしていると初診までの期間にもっと悪くなってしまうかもしれない。薬でちょっと気持ちを切り替えるくらいの感覚で受診を考えてみてはいかがだろうか。