「はやぶさ2」帰還サンプルの初期分析チーム・Phase2キュレーションチームへの引き渡し記者会見

日時

  • 2021年6月17日(木)13:00~14:00

前回の記者説明会

中継録画

中継はありません。後日JAXAのYouTubeチャンネルにアップロードされたらここに貼り付けます。

登壇者

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(image credit:JAXA

JAXA 宇宙科学研究所地球外物質研究グループ

  • グループ長 臼井寛裕(うすい・ともひろ)(JAXA 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 教授 「はやぶさ2」プロジェクトチーム 統合サイエンスチームメンバー)

はやぶさ2」プロジェクトチーム

  • プロジェクトマネージャ 津田雄一(つだ・ゆういち)(JAXA 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授)

キュレーションチーム

  • 高次(Phase 2)キュレーション三朝みささチームリーダー 中村栄三(なかむら・えいぞう)(岡山大学惑星物質研究所 教授)
  • 高次(Phase 2)キュレーション高知チームリーダー、初期分析・化学分析チーム 伊藤元雄(いとう・もとお)(国立研究開発法人海洋研究開発機構・高知コア研究所 同位体地球化学研究グループ グループリーダー代理 主任研究員)

初期分析チーム

  • 初期分析チーム統括 橘省吾(たちばな・しょうご)(東京大学大学院理学系研究科 教授/JAXA 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 特任教授)

(写真左から津田氏、臼井氏、中村氏、橘氏、伊藤氏)

津田プロマネから

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(image credit:JAXA

サンプルの観察とカタログ化、キュレーション作業の第一段階が終了。いよいよ相模原の外に出して外部で高度な分析を行っていく。

はやぶさ2の宇宙飛行パートは終了しているが、プロジェクトとしては帰ってきたサンプルを初期分析していく。JAXA外にサンプルを出して詳細な組成や物性の分析を行っていただく。

リュウグウのサンプルからは有機物や水がどうやらあると示唆する情報が集まってきている。リュウグウのサンプルは期待を裏切らない、わくわくする物質。

岡山、高知、東大の先生方にも登壇していただいている。がんばって持ち帰ってきたサンプルの初見や期待を聞けるのを楽しみにしている。

プレスリリース

配付資料

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記者会見の概要と目次

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(image credit:JAXA

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(臼井氏より)

サンプルを約半年前に無事に完璧に届けていただいた。Phase2のキュレーション、初期分析チームに渡せることをほっとしている。分析はまだまだ続く。

キュレーションのチームからの報告

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リュウグウ試料のキュレーション作業の方針

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世界初、真空下で小惑星試料の試料分取・保管を達成

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ぼくの大好きな写真です。

キュレーションによる初期記載

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集合体試料と個別試料の選別

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サンプルを破壊することなく選別を行っている。時間がかかったのはこれをしていたから。

試料の量・分配比率・分配スケジュール

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試料分配の様子

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今日全部渡せばいいと思うかもしれないが、マージンをもって分配計画を立てている。準備ができたものから早くお渡ししていった。

キュレーションチームの紹介

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(image credit:JAXA

中村氏から:詳細な解析をできるということで選ばれている。三朝では総合解析ができる。1つの屋根の下でどんな物質も分析できる体制ができている。学生から教員、教授が毎日取り組んでいる。6/2にサンプルが渡された。その日のうちに三朝(鳥取県)に運び解析を始めた。
Phase1で選んでいただいたものについて密度などを測定。はやぶさ2は現地で地質学をしている。どういう特徴があるところから採取したものかわかっている。地球でよくやっていることと同じ。そしてコンタミがない。
サンプルには大量の水が入っている。有機物も。その分子も確認できている。
はやぶさ2がこれまでに獲得した地質学的な情報、物質的な情報にどうこたえていくか行動している。
初号機では5マイクログラムのサンプルが5つ。フラストレーションがあった。
生命物質の期限を確実に理解できるようになるだろう。はやぶさ2の偉業は間違いなく歴史に残るマイルストーンになる。
こういうことはチームでないとできない。カタログの基本的なものはJAXAで、詳細なカタログを作って方向性を作る。Phase1にフィードバックしなにができるか示す。
はやぶさ2が国際的なイニシアチブを取れると思う。集中してがんばっていきたい。毎日がわくわくする。

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(image credit:JAXA

伊藤氏から:サンプルをここまで持ってくることができた。すごいことを日本の工学の方々、やろうとした人たちの思いを我々が受け取った。高知の一番の特徴はキュレーション技術を底上げする。科学だけでなく工学の人も交えて物質科学を高めていく。
この貴重なサンプルを輸送する方法を考える。分析するときにどうやって機械に入れる方法を考える。そういうチームを作ってきた。
自分はNASAのスターダストに関わった。地球外物質を地球に持ってきていかに効率よく分析するかの体制作りに取り組んできた。
2時間前にキュレーションの方々から試料を受け取った。一番大きいものは4ミリくらい。重さは20ミリグラム弱。これからSPring-8に向かい分析に入る。
1つは極地研、1つは岡崎の分子研、首都大学東京などそれぞれの得意分野で有機物や水について分析していく。

JAXAのサンプルリターン探査・キュレーションの将来

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今日はひとつのマイルストーンだが、我々は次を見据えている。サンプルリターン探査の優位性を確固たるものにする。
これまでの技術ではやぶさ2のサンプル分析をする。火星圏から持ち帰ってくるサンプルリターン計画を推進中。アメリカ、中国、ヨーロッパが火星探査を行っている。次は2030年代にサンプルリターン計画を立てるだろう。
その前に日本が2020年代にサンプルリターンを行いたい。

初期分析チームからの報告

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(image credit:JAXA

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橘氏より)

サンプラーチーム(石を取るチーム)のとりまとめをしている。物質を分析する立場の研究者がミッションに関わり、欲しいものを取って帰ってくることがサンプルリターンには必要と感じている。工学チームと共同で進めてきて5グラム以上採取できている。
最初にしたいと思ってきた分析をする機会がやってきてほっとすると同時に楽しみ。

3.初期分析概要

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我々はミッションのサクセスクライテリアで埋まっていないところを補完する。

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6つのチームが並行に走ることで目標の達成を目指す。
世界的な地球外物質の分析チームで進めていく。すでに一部の試料は分析を始めている。各チーム一生懸命、かつ楽しく分析をしている。

4.初期分析チーム紹介(化学分析チーム)

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リュウグウの材料がどんなものか、ひいては太陽系の物質について知見を得る。

4.初期分析チーム紹介(石の物質分析チーム)

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元素が集まっていくと鉱物、結晶を作っていく。結晶が集まった岩石の中には石がかかわってきた歴史が残っている。リュウグウの起源や歴史をひもとく。

4.初期分析チーム紹介(砂の物質分析チーム)

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小さい粒子は宇宙空間にさらされる量が多い。宇宙風化のプロセスがリュウグウで起きているのかを明らかにする。

4.初期分析チーム紹介(揮発性成分分析チーム)

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C型小惑星には水や有機物のような揮発性成分が多いと期待されている。その分析を行う。生命や海の材料が地球にもたらされたか分析する。

4.初期分析チーム紹介(固体有機物分析チーム)

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固体有機物の分析を行い、天文学につながる。太陽系の起源が銀河系において普遍的なのか特殊なのかに踏み込みたい。

4.初期分析チーム紹介(可溶性有機物分析チーム)

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生命に関連するアミノ酸や糖などの分析を行う。

「どの分析が楽しみですか」「なにの分析でなにがわかるのが楽しみですか」と聞かれる。分析はオーケストラのようなもので、それぞれがそろってハーモニーとなる。なのでこの1つが楽しみ、重要ということはなくすべてが重要。すべてで科学目標を達成したい。

参考資料

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キャッチャー開封作業

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質疑応答

毎日新聞池田:大量の水や有機物を確認とのことだが、水はどのような状態なのか。含水鉱物ということか。岡山大学ではどういう分析をしたのか

中村:水素原子を測っています。イオンでその分布を観ています。水素の量から水に換算したものを量っています。有機物も多いです。

読売新聞中居:有機物はどういう分析でわかったのか、どういう分子なのか

中村:どういう分子なのかはこれから論文になるので今は言えません。分析方法は総合的な解釈。
有機物は3つのやりかた。まず1つの物質からC、H、O、Nを正確に測る。次にイオンからC、Nの同位体を比較。
最後に分子の決め方。HPLC…液体にしてクロマトグラフィに入れて質量分析計に入れる。ガスクロマトグラフィを使う方法も。
空間的に見る方法も。空気を吹きかけて溶けるものかどうかで有機物の特定を行う。

TBSテレビ宮:今回渡した試料は8チームに渡すということか。先ほど写真を撮った試料はどこへいくのか

臼井:8チームに渡すというのは正しいです。各チームに先行して渡したり、今日伊藤さんのチームに渡したり今度渡したりします。

日刊工業新聞いいだ:この分析はいつまで行われて、いつ結果を公表していただけるのか

臼井:遅くて1年後までにデータを論文化して公表するミッション。そこがデッドライン。

時事通信神田:チームごとにこういう試料がほしいとか、このチームにはこの試料を優先してといった選別はあったのか

臼井:各チームに特徴があるので、データが出るたびにみんなで議論をしながら量と種類を決めた。

神田:典型的な例を挙げてほしい

臼井:有機物の特徴が強く見られたものは有機物チームに渡すといったことをしている。

フリーライター荒舩:203個の個別試料はいくつくらい初期分析やPhase2にわたったのか。また有機物の特徴などは一様だったのか

臼井:200個のうち50個くらいを渡した。有機物の分布はデータを見る限り、そんなに局在化はしていない。数十ミクロンのオーダーで見ると見つかったりはしている。

(以上)