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シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇は呪いからの解放だった

(大きなネタバレはありませんがネタバレがまったくないともいえません)

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間があきましたがこの記事の続きです。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」の上映がもうすぐ終わるから、劇場でもらえるおまけもさらにサービスサービスゥ!だそうだ。じゃあやっぱり観ての感想を書いておこう。

さて、劇場へ向かって席に座り、照明が落ちて「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」の上映が始まって終わった。エヴァンゲリオンが終わった。ものすごい勢いで話をまとめて、これでもう続きはないだろうとはっきりわかる形で終わった。

新世紀エヴァンゲリオン」の放送開始から26年、ついに完結したんだなあと思うと感慨深い。

という話をすると、「ガラスの仮面」や「王家の紋章」のファンから26年なんて生ぬるい、ガラスの仮面は1975年連載開始だから46年間、王家の紋章は1976年から45年間完結していない、と言われてしまう。

  • 参考:「続き、しかも終わりを9年間も待たされたエンタメってエヴァの他にあるのかな」とつぶやいたら怒涛のリプが展開された - Togetter(https://togetter.com/li/1680326

(↑は最終巻がなかなか出ない、という話なのでちょっと違うけど、長期連載で完結していない作品がいろいろ出てくる)

でもエヴァンゲリオンはそういう作品とはちょっと違うと思うのだ。

だって「ガラスの仮面」も「王家の紋章」も、一度も完結したことがないじゃないですか。

エヴァンゲリオンは、これで終わりなの? とかこれで終わらなかった、ということがとても多かった。

こんな調子である。3回目の完結でようやく本当に完結した。

前の記事で「庵野秀明にはエヴァンゲリオンを作り続けなければいけない呪いがかけられているのではないかと考えたことがある」と書いた。そして「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」はその呪いを打ち破る作品だった。これでもう庵野秀明エヴァンゲリオンを作らずにすむ。よかったね。我々もモヤモヤしたものを抱えずに生きていくことができる。

欲を言えば今回のエヴァンゲリオンはまとめ力がものすごく発揮されていたぶん勢いがそがれていて、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」のころのとがった感じはずいぶんなくなっていた。そこは監督も年を取ったということかもしれない。

それから1回観ただけだと目の前で起きていることを理解するのが間に合わず、2回目で落ち着いて観られる場面がたくさんあった。脈絡なく旧ソ連の月ロケットが出てきて「なんでこれがいくつもここに?」となったり、終盤に「あれ、この曲のイントロは聴いたことがある。なんだっけ…」となってセリフをちゃんと聞いていなかったりした。

エヴァンゲリオン庵野秀明そのものの作品で、ほかの人が新シリーズを担当したりすることはないだろう。このころユーロネルフでは…とか、マリの新劇場版登場前のエピソードみたいな企画を思いついても、庵野秀明以外に作ることはできない。そして庵野秀明はもうエヴァンゲリオンを作ることはないだろう。長い間楽しませてくれてありがとう。