小惑星探査機「はやぶさ2」記者説明会(地球帰還)

日時

  • 2020年7月14日(火)13:30~14:30

前回の記者説明会

登壇者

はやぶさ2」プロジェクトチーム

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(左から津田氏、中澤氏、吉川氏)

中継録画

関連リンク

カプセル帰還日の公表について

本日の内容

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目次

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はやぶさ2」概要

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ミッションの流れ概要

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.地球帰還日の決定について

(津田氏から)

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3.地球帰還に向けた探査機の運用計画

帰還フェーズ軌道計画

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地球帰還最終誘導フェーズ

カプセル分離時刻などは未定。

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4.再突入カプセル改修計画

(中澤氏から)

再突入飛行の概要

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回収オペレーションの概要

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マリンレーダはビーコンを受信できないときのバックアップにもなる。

基本的には初号機と同じ仕立て。「★」がついているところがはやぶさ2で新規に用いる方法。

ウーメラでの回収作業

方向探索

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光学観測

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マリンレーダシステム

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ドローン

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発見後の作業

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経緯と海外関係機関

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新型コロナウイルス関連事項

(津田氏から)

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地球帰還は一大イベントで、当初の希望としてもできるだけリアルタイムの形で帰還を伝えたかった。しかし誰でも現地へ見に来てくださいという状況ではない。制約が大きい中での帰還となる点をご理解いただきたい。

5.地球帰還に関する広報・アウトリーチの計画

(吉川氏から)

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6.今後の予定

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参考資料

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オーストラリア宇宙庁とJAXAの共同声明

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帰還巡航運用計画

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質疑応答

ビーメディア倉澤:カプセル分離のとき、地球との距離はどのくらいか。またカプセル分離後、地球に戻ってくる間に回収不能になるリスクにどんなものがあるか知りたい

津田:カプセル分離時の距離は調整中で現在未定。月よりは内側。できるだけ地球に近づいたときに分離。着陸許可を得られたときに計画が確定する。

倉澤:数千キロ、数万キロのオーダー?

津田:地球半径が6,000キロなので数千キロはない。月までの距離は38万キロで、その内側。静止軌道(36,000キロ)の内側か外側かは未定。

中澤:たとえばビーコン送信機は打ち上げてから6年ちかく経っているが(宇宙では機能を確認できないので)チェックアウトできていない。なにかがあっても大丈夫なように対策をしている。

フリーランス秋山:資料9ページ。TCM5は初号機にない要素ということで詳しく知りたい。青い点線は高度200キロとのことだが宇宙機の高度としてはずいぶん地表に近い。そこからの分離となると化学推進の燃料は多く使うのでは。また、帰還時のウーメラは天候が悪い時季なのか

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津田:カプセルを分離するタイミングと地球離脱はセットで考える。
探査機を地球から離脱させるには地球から遠い方がいい。一方でカプセルを精度よく分離するにはできるだけ地球の近くとなる。
スラスターの噴射は分単位。スラスターの性能は目安として30秒連続噴射が可能。それ以上となるといったん休む必要がある。(それ以外の噴射方法もあるが割愛)
30秒噴射はクレーターを作るときにも使ったことがある。小分けに噴射することを考えている。

中澤:12月のオーストラリアは夏で雨が少ない。またウーメラは砂漠というか荒野で雨が少ない地域。とはいえたまに天気が悪いこともあるので対策をしている。

共同通信須江:帰還日が決まったことについて津田さんの感想、思いを。また新型コロナウイルス対策について具体的に教えてほしい

津田:はやぶさ2を打ち上げてから5年半飛行して、あと半年で帰還ということで長い旅の終着点が見えてきた。最後の一歩が当初より難しくなった(新型コロナウイルスで)が着実に進めたい。
はやぶさ2は人工クレーターを作るなどチャレンジングだった。その集大成。着実に進めたい。リュウグウの星のかけらをみなさんに見せることができるのを願っている。

中澤:現地へ行く人数を増やすとリスクが増えるので最小限で。回収に影響しないよう後方支援を少々削る計画を考えている。
移動の途中でも感染影響がないよう隔離することも考えている。

須江:新型コロナウイルス対策を具体的に

中澤:回収手順は確実性を損なわないよう、新型コロナウイルスの影響がないことを確認しつつ調整している。

フリーライター荒舩:12月6日は目標で不確定要素があるとのことだが具体的には。スケジュールが決定するのはいつか

津田:決まっていないのは着陸許可で今は得られていない。12月6日の帰還を目指して進めていこうという合意があった。着陸許可が得られることがマイルストーン。これがいつになるかは調整の進展によるので具体的なスケジュールは申し上げられない。もちろん帰還の準備に十分な期間を取れるようにする。
着陸許可はオーストラリアに向けて飛行させる計画そのものが「これでいいですよ」となるもの。
リエントリの当日はやぶさ2に問題が起きたとかオーストラリア側に状況の変化があった場合、カプセルを着陸させない決断をする可能性もゼロではない。オーストラリアの国土に被害をもたらさないようにする。
カプセルを着陸させる日が12月6日になることは確定済みで前後にずれることはない。

荒舩:感染症対策を盛り込んだ回収計画を立てるときに一番大変だったことはなにか

中澤:カプセル回収の確実性が減ってはいけないが人員を減らさなければならない。バランスを取るのが難しかった。回収作業の人員は減らさず後方支援を最小限にした。

津田:新型コロナウイルスの状況でどう対策を示せばオーストラリアで安全に作業できるか考えることが初めての経験。我々だけでは片付けられない部分が多くあった。国内・オーストラリアの関係機関との調整で苦労があった。

NHK古市:資料9ページ。分離時のカプセルの速度は。また分離日は12月6日なのか。またこの日の理由は。

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津田:分離時の速度はだいたい秒速4キロメートル強。接近するほど地球の重力に引っ張られて加速し大気圏再突入時には秒速12キロメートルになる。
分離日は申し上げられないが技術的には12月6日の何日も前に分離することはない。日付をまたぐかはわからないが5日か6日で、12月4日になることはない。
いくつかの計画があった中でウーメラ地区の使い方も含めて現地と調整し12月6日と決定。到着しやすい日が選ばれている。

古市:「到着しやすい」というのはどういうことか

津田:イオンエンジンで軌道修正して地球軌道とはやぶさ2の軌道が交差するように噴いている。できるだけ噴かずに軌道を交差させるのが燃料を節約できてよい。その中で決まってくる。

毎日新聞池田:高度200~300キロで発光するときの明るさは。初号機のカプセル回収から改善したことを知りたい

津田:発光するときの明るさは数字をいま覚えていない。あとで数字をお知らせします。初号機の帰還の時カプセルが先行して突入し後ろから探査機が突入した。そのときのカプセルだけの明るさ。

中澤:回収はとても順調に進んだと聞いている。トラブルがなかったため、トラブルが起きたときどうするかを考えるのが難しかった。

読売新聞伊藤:再突入が昼間になるのか夜になるのかで難しいことはあるのか。またカプセル再突入後の探査機の計画は

津田:再突入は日が出ていない時刻、6日未明になる。初号機と似た時刻。
探査機本体は地球圏を離脱してどうするか、次回の22日の記者説明会で検討状況をご説明したい。

伊藤:暗い方が探しやすいので夜にする?

津田:因果関係は逆。12月6日に再突入させようとすると幾何学的に時刻が未明になる。

ライター林:資料16ページ。ガス採取と簡易解析の内容は。初号機で行わず今回これを行う理由は

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津田:初号機を設計した時点ではガスを採取するという考えがなかった。はやぶさ2が向かったのはC型小惑星なので揮発性成分があるかもしれずガスも含めてカプセルに入れる工夫がされている。メタルシールがある。

中澤:分析については検討中。

林:入っていたガスの量はこの時点でわかるのか

津田:ガスが入っていたかどうかを見る感じ。詳細は後日。

林:カプセルを6日に回収したとして日本到着はいつごろか

中澤:カプセルの探索にかかる時間にもよる。初号機ではすぐに見つかったが今回はわからない。回収後、日本に100時間以内に届けることを目標にしている。

(以上)

次回の記者説明会