日時
- 2017年12月14日13時30分~14時30分
配布資料PDF
中継録画
(02:04くらいに始まります。下はそこから再生します)
プロジェクトの現状と全体スケジュール
到着は計画通り来年6月~7月。
今日は運用訓練について詳しく。
2017年7月以降の運用
TIリセットは9月5日に実施。帰還までリセットの必要なし。
小惑星到着に備えて
事前情報がイトカワより少ない。今回は自転軸の向きなどがわかっていない
前回は「こんなこともあろうかと」があったが今回もいろいろ考えている。
トラブル対処あれこれ。
サクセスクライテリアとの関連。可能であればフルサクセス以上のことをやりたい。
リュウグウが予想と異なる場合の対応案の例。行かないとわからないことがたくさん。
運用シナリオにおける対応。行ってみると予定が変わるかもしれない。
運用シナリオにおける対応の方針(案)。リュウグウに衛星があった場合、着陸機を分離できなかった場合など。1回目のタッチダウンができなかった場合原因を調べて再度試みる。
LSS訓練
LSSは着陸点選定(Landing Site Selection)。1か月程度で行う。短期間で的確なLSSができるよう訓練を実施。
出題側と回答側に分かれて訓練。出題側は正解のデータを作りその観測結果を回答側に渡す。
リュウグウは地球に衝突する可能性がゼロではない。直径800メートル台でイトカワの長径の1.6倍くらい。重力も大きいだろう。
メインベルトから外れてきたものと予想。そういう小惑星は1,000万年ほどで他天体に衝突したり太陽系外へ出て行ったりする。
リュウゴイドについて。訓練用の形状モデル。3億ポリゴン。
ONC画像からLSSを行う。
地形の命名ルールはなんでしょう。スノーホワイト(白雪姫)から。
自転周期を知る。LSSまでには確実に。
安全スコアの表面分布。タッチダウン時に地球が真上にあるかどうかなど。青いところが比較的安全、赤いところが危険、灰色は着陸できない。
ボルダーサイズ頻度分布。なるべく岩がごつごつしていないところを探す。
MASCOTはターゲットマーカーと間違える可能性を避けるため、タッチダウン点とは別のところに落とす。
サイエンス
科学目標。理学目標と工学目標。
リモートセンシング。層状含水ケイ酸塩。抜けきらなかった水分が岩石の中に取り残される。詳しくはサンプルリターンまで待たないといけない。
リュウグウ形成衝突。リュウグウは微惑星の衝突破壊で生成された破片天体。
まとめ:地球初期進化への知見を得られる。
国際協力。OSIRIS-RExは来年8月(中旬から下旬)にベヌーに到着予定(はやぶさ2と同時期)。相乗効果を期待。
広報・アウトリーチ
自転パラメータを発表。当選者はWebで。
リュウグウ想像コンテストは今日発表。http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20171214/
新しいトップページ。http://www.hayabusa2.jaxa.jp/ リュウグウまでの距離が出るようになった。
今後の予定
第3期イオンエンジン運転。ここでうまく運転できないと最悪到着できない。開始が1月8日の週くらい、終了が6月4日の週くらい。
6月21日~7月5日ごろホームポジションに到着予定。
来年の春のイオンエンジン運転中に記者説明会を予定。
5月以降は状況に応じて随時報告。
質疑応答
日刊工業新聞:41ページの今後の予定。今までの計画と時期がかわったことはあるか。
吉川:大きく変わったものはない。予定通り。
産経新聞くさか:LSS訓練について。初代はやぶさとの違いは。
渡邊:サイエンスのグループとエンジニアリングのグループが連携していること。100人近い人数で行っている。
くさか:訓練項目が変わったというより体制が強化された?
渡邊:はい。前回はS型、今回はC型という違いもあって異なる訓練になった
くさか:レーダー観測について。
吉川:リュウグウが事前に地球に十分近づかなかったためレーダー観測できなかった。
くさか:里芋型と以前は形容していたが。
吉川:とう表現しても構わないが51ページの図とは微妙に異なる。形状を随時アップデートしているがおおまかには変わらない。
くさか:32ページの図が配布資料とここで投影されているものと異なる。
渡邊:投影しているものが正しい。提供します。
NVSさいとう:LSS訓練について。タッチダウン運用の訓練は?
渡邊:LSS訓練はタッチダウン場所の決定訓練。タッチダウン運用の訓練はRIO訓練といって今やっています。(資料8ページ)
さいとう:LSSとミネルヴァなどの落下点選定について。26ページの図より広くなるのか。
渡邊:ターゲットマーカーと誤認しない場所に下ろす。なるべくリュウグウに近づいて投下したいので地球が上に見えるところでないといけない。
-(聞き逃し):LSS訓練でわかったことは。
渡邊:1か月という短い期間でデータを地球に下ろして解析を終えなければならない。間に合うのか、正しく選定できるのか。形状復元は訓練でうまくいかなかったので修正を考えている。探査機の位置の逆推定も誤差が大きかった。海外とも議論しながら本番ではスムーズにいくように準備している。
-:自転軸や形状が大幅に違ったときシビアになるのか。
渡邊:地上観測からの推定値はできているがそれで運用計画を立てているわけではない。幅を持たせている。自転軸に関してはわかったときに戦略を立てられるようになっている。イトカワはラッキーなことに自転軸が傾いていなかった。本当の姿がわかったとき残念だと思うことがないよう準備していく。
-:イオンエンジンの長期運転について。最後のところで少しのトラブルが命取りになるのかなど。
吉川:イオンエンジンは6月まで400m/sの加速。この時期は探査機と太陽の距離が近づく。速度が上がる。リュウグウとランデブーしなければならない。リュウグウとの速度差が小さくなっていく。ずれてしまうと軌道制御量が大きくなりリカバリーが大変になる。イオンエンジンは推力が小さいためより大変。
-:リュウグウに近づくことで制御が大変になる?
吉川:軌道制御そのものはイオンエンジンでランデブーできる。うまく噴射できなかったときにリュウグウがより離れてしまい回復が難しくなる。
渡邊:リュウグウにランデブーして速度や向きを合わせなければならない。ギリギリの時期に正確に運転できることが到着のカギになる。
時事通信:おおむね球形だがイトカワのようにゆるくダマになってたりするとか、インパクタで分解したりするようなことは考えられるか。
渡邊:いまわかっている形状をどのくらい信頼するかはそのデータの取得経緯で決まる。光の変化(ライトカーブ)などから推定。想像はふくらむがとても長い形状だったりすることはないだろう。比較的球形に近いのはおおむね正しいだろう。インパクタは小惑星を壊せるほどの力はない。とはいえなるべく大きなクレーターを作りたい。
時事通信:5月から観測とのことだがその時点ではどんな映像か。
渡邊:まだ点でしょう。6月に到着しないと形状がわかるほどにはならないだろう。科学観測と運用を並行して行う難しさがある。
吉川:イトカワは到着の1週間前にようやく点でなくなった。今回もおおむね到着1週間前くらいにならないと形状がわかるようにはならないだろう。
NHK水野:なにをもって「到着」とするのか。
吉川:特に決まりはない。前回は20キロのゲートポジション到着時に宣言した。今回もおおむねそのように。どこがいいのかは難しい。基準がないので。
渡邊:今回はホームポジションを20キロに設定している。6月頭にイオンエンジンを停止したあとはほかの方法で少しずつ近づく。そこに来れば到着、LSSに入る。
水野:イオンエンジンが不調だったときに到着や帰還できなくなるデッドラインはあるのか。
渡邊:ただ帰ってくれば成功というわけではない。現在でも日程はかなりタイト。到着の遅れは避けたい。もしそうなってもリカバーできるようにはしたい。
吉川:地球帰還は2020年末の予定。出発は2019年と決まっている。到着が遅れると地球帰還に間に合わせるため観測期間が短くなる可能性も。
(以上)