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小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(クレーター探索運用(事後)の結果とPPTD-TM1運用)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星 Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回の説明会では4月23日から25日にかけて実施したクレーター探索運用についてと、クレーター探索運用を踏まえた今後の探査活動の見通しについて説明を行う予定です。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/5/9)ライブ中継(配信) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2019年5月9日(木)15:00~16:00

登壇者

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(image credit:JAXA

JAXA宇宙科学研究所はやぶさ2」プロジェクトチーム

  • プロジェクトマネージャ 津田雄一(つだ・ゆういち)(JAXA宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授)
  • ミッションマネージャ 吉川真(よしかわ・まこと)(JAXA宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 准教授)
  • プロジェクトサイエンティスト 渡邊誠一郎(わたなべ・せいいちろう)(名古屋大学大学院環境学研究科 教授)

(左から久保田氏、津田氏、渡邊氏、吉川氏)

中継録画

配付資料

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関連リンク

本日の内容

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目次


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はやぶさ2」概要

(吉川氏から)

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ミッションの流れ概要

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.クレーター探索運用(事後)結果

クレーター探索運用(事後)(CRA2)

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ここは前回説明済み。

CRA2の位置

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左画像の黄色い丸のどこかにSCIがクレーターを作ると見込んでいて、精度よくS01のすぐ近くに衝突装置がぶつかった。

クレーター探索運用(事後)(CRA2)結果

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左画像の青い円の中に衝突させる予定だった。右画像の×(左画像の青い丸の中心)を狙った。20メートルほど離れたところにクレーターができた。実際にどこに衝突装置がぶつかったかは解析中。

3.SCI衝突実験の科学:イジェクタ

(渡邊氏より)

DCAM3(デジタル系)による衝突放出物(イジェクタ)の画像

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現時点でわかっていることを解説する。慎重な解析と分析が必要で、科学論文にする途上の段階。いまわかっていることを説明するが今後修正されるかもしれない。

探査機本体から分離されたカメラ(DCAM3)が回転しながらリュウグウを撮影。回転軸がやや偏心しているため、カメラの視野内でリュウグウの位置が変化している。また暗い写真や明るい写真があるのは、イジェクタを確実にとらえるために露光条件をさまざまに変えて撮影したことによる。サイエンス的な解析をするときは露光条件をそろえるが、現時点は速報としてそのままお見せしている。

SCI作動から3秒後、表面からなにか飛び出しているものが見える。イジェクターカーテンの右側が濃いように見える。細かく破壊されたり表面にあった砂のようなものが飛び出したもの。障害物がないと円錐状に広がる。その円錐の側面が見えているものと推測。

これによってSCIが衝突したことが確認され、その位置もおおよそ見積もれる。

SCI衝突前後の地形変化

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ホームポジションにいてもわかるくらい大きなクレーターらしきものができていた。左右を見比べると岩塊、ボルダーに変化がある。右画像の中央部に掘れたようなあとが見える。クレーター状の地形とみている。この部分にSCIが衝突し表面が掘削されて物質が周囲にまき散らされた結果穴が開いた。いくつかの岩が移動したことがこの写真からわかる。

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SCIの衝突前後の地形変化を比較する画像。2枚を重ねて切り替えている。(今村註:同じものが下のツイートで見られます)

中央にあった岩がSCI衝突後、やや右と左に移動している。ちょうど桃が割れて桃太郎が生まれるような。右側の岩はあまり動いていなくて左側の岩は大きく動いていることから、この2つの境界の少し上側あたりに衝突したのだろうと。その結果地面が掘り返されて岩が移動し、向きも変わったものと考える。

事前の画像では2つの岩は砂に埋もれていたが、SCI衝突後は掘り返され影もはっきりした。

またいくつかの岩はもともとあった場所から消えている。よく見ると事前になかった場所に岩がある。岩が飛んでいることを現している。

これは確実にSCIが作ったクレーターであると結論づけた。

3.SCI衝突実験の科学:副クレーター

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作ったクレーターは1つではなかった。ブリンク画像は以下。

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上のような変化があった場所をプロットすると下のようになる。中心が衝突点。SCIが作動したと考えられる点を頂点にした円錐形状をなす。SCIが作動したときの破片が飛び散ってこのような副クレーターを作ったものと考えられる。これもSCIがクレーターを作った証拠の一つとなる。

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副クレーターが生成されることは事前の実験で予想されていた。過去にSCIの試験を行っていた。

動画からGIFアニメーションに切り出したもの(今村註:高速度撮影で約150フレームある動画を30フレームに間引いています)
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左側の小型モデルによる試験の衝突速度は本番と同じ。下は砂地。衝突直後に周囲にバババッと円状にたくさんの破片が当たっている。
SCIは銅のライナーが爆薬で半球状に変形して小惑星表面に衝突する。ライナーは固定している部分からちぎれて飛んでいき、後方に破片が生成される。生成された銅の破片が周囲に円形状にちらばる。

右の実験では円が大小2つ見える。銅のライナーがちぎれてぶつかったのが内側の円、外側はライナーを固定していたステンレス(SUSサス)の部分とのつなぎ目から飛んでいったものが衝突してできたものだろうと成分分析などから確認されている。

こういったことが本番でも起こり、このようなクレーターを作ったのだろう。

先ほどは示していないが、リュウグウ表面でも外側の円にあたる場所に地形変化が見られている。地上実験と同様のことが小惑星上でも起こり、その結果クレーターができたと考えられる。

3.SCI衝突実験の科学:まとめ

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3.SCI衝突実験の科学:表層の強度

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強度は単位面積あたりの圧力という単位で計る。2気圧は手で引っ張ると簡単に壊れる(また手で引っ張らないと壊れない)強度。

リュウグウ表面のように重力が小さい場所では強度によってクレーターサイズが大きく変わる。クレーターのサイズはリュウグウ表面の年齢を知るのに重要。

上の右のグラフは横軸がクレーターの直径、縦軸が単位面積あたりのクレーター個数。クレーター年代学という手法を用いて、宇宙空間に一定量飛んでいる物質によって徐々にクレーターが増えていき、何年たつとクレーターがどのくらい増えるかを見る。大きい物質は宇宙空間に少ししか飛んでないのでクレーターの個数が少なく、小さい物質はたくさん飛んでいるので多くのクレーターができる。

リュウグウ表面のクレーターの個数密度がわかっても、リュウグウの強度がどのくらいかによって表面年代が大きく変わる。SCI衝突実験の詳細な解析によって強度がわかるとリュウグウの年齢を正確に知ることができる。

3.SCI衝突実験の科学:展望

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4.今後の運用方針

(津田氏から)

5~7月の運用計画の考え方

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プロジェクトチームとしては2回目のタッチダウンを行う前提で作業を進め、判断材料がそろったら実際にタッチダウンを行うか決める。

ターゲットマーカは5つ積んでいて4つ残っている。これを有効に使って着陸への布石を打つ。

現在抽出されているタッチダウン候補地点

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黄色い丸がタッチダウン候補地点。11か所。

S01エリアはクレーター生成の前にバックアップの着陸候補地点としていた場所。

候補地点はなだらかな場所と見ているが、今後精密観測を行うと期待が裏切られることがままある。これらの候補地点は高度1.6キロメートルから撮影した写真にもとづく。

このあと高度10メートルの低高度観測を行い、これらがタッチダウンの適地かどうか判断する。

今後のタッチダウン運用への見通し

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はやぶさ2はすでにタッチダウンを行っていて、リュウグウのサンプルが体内にある。その状況下で第2回タッチダウンを行うかは慎重な判断が必要。

光学系の曇りがあってもタッチダウンできるかどうか、低高度へ下りてみて確認が必要。PPTD-TM1で技術的評価を行う。

PPTD-TM1運用

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現段階ではTD1-R3(去年10月実施)と基本的に同じシーケンス。

PPTD-TM1運用の低高度シーケンス

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TD1-R3のときはこのシーケンスを編み出すのに苦労した。やりきった結果と発表した経緯があるが今回はそれとほぼ同じ。違うところは2点。

  • LIDARの使い方:高度計測しつつ自律的に下りていく。その際LRFなどは計測するが制御に使わない。(先ほどの光学系の曇りの影響があるかもしれないので)
  • 上昇中のシーケンス:地形を立体的に把握するためジグザグに上昇しつつ撮影。少しずれた2枚の写真で立体視できるようにする。同じ場所をいろいろな角度から撮影する。

5.サイエンス関連の話題

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6.その他

リュウグウ形状模型の公開

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7.今後の予定

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参考資料

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ONC-Tでホームポジションから撮影したSCI衝突領域

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質疑応答

時事通信かんだ:資料21ページ、タッチダウンの候補地点。候補に挙げる条件は

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津田:現在の解像度で大きな岩がない可能性が高い場所。近づいたらわからない。

かんだ:S01を最初に探査する理由は

津田:着陸可能性の期待が高い。
また短い期間で地表の様子を解析しなければならない。S01はSCI運用の前から検討が進んでいた領域なのでここを最初に。

かんだ:衝突点からちょっと離れた場所にイジェクターがどのくらい積もっているのか

渡邊:距離に応じて少なくなる。ラッキーだったのは衝突点がS01から25~30メートルと近いこと。クレーターの直径は10メートル程度という予想。標準的なモデルに従い計算するとS01にはイジェクターがかなりあると期待できる。イジェクターが均質に出ているのか、(タッチダウンに支障が出る)岩があるのかなどは解析中。

かんだ:前方破片の円錐は少し傾いているようだが、この傾きによってこちらがイジェクターが多くあるなど分布の差はあるか

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渡邊:はやぶさ2は地球と小惑星の重心を結んだ軸(サブアース)に沿って下りていく。分離されたSCIは重力に引かれて落ちていき、作動点で作動する。我々の感覚的な言葉でいえば「まっすぐ」下りている。リュウグウはコマ型で、SCIはその斜面に当たったために傾いて見えるということ。
S01は上の図の青い円のスケールからみるとすぐ横。そういうスケールなのでイジェクターの放出量の差はないだろう。

NHK水野:噴出物はSCI衝突点付近から直径何メートルにあるといった言い方はできるか

渡邊:距離に応じて少なくなる。厚さは衝突点から離れるほど薄くなっていく。衝突点から30メートルなら、十分均質な砂地に落ちた場合にはものが飛んでいくような目安になるだろう。
ただしリュウグウの表面は単純な砂地ではないので、そういった場合にどうなるかは精査が必要。場合によってはある方向に飛ぶ量が変わっていたりするかも。
今回はDCAM3で、噴出物が飛び出していく様子の画像を得られている。それを詳細に分析中。

水野:今後の3回の近接運用で、噴出物の厚さも確認できるのか

渡邊:リュウグウの表面は10センチサイズの石がゴロゴロしている。隣にきれいなテーブルがあると考えてみてほしい。砂をまいたとき、テーブルの上の砂なら厚さはすぐわかる。
10センチの石があるところへミリメートルクラスの厚さの砂をまいても見づらい。それをリモートセンシングで見る。噴出物がたくさんあっても見つけづらい表面状態。破片が飛んでいても厚さを事前に知るのは難しい。
衝突点に近いところは10センチの石を隠すくらい噴出物が積もっているが、そこから離れても画像で確認できないから噴出物がないという結論にはならない。いろいろ解析が必要なところ。

水野:S01エリアであればある程度積もっているだろうという感触?

渡邊:均質に積もっているなら十分期待できる距離。当初計画でもそう見積もられていた。現実のリュウグウの上で実際どうなのかを検討する必要がある。それによって最終的な判断ができるだろう。

水野:もしS01にターゲットマーカを落とす近接運用をした結果、S01にタッチダウンできないとわかったら、C01やL14にピンポイントタッチダウンはできるのか。前回、ターゲットマーカがいくつも見えるとピンポイントタッチダウンしづらくなると聞いた。

津田:1回目の近接運用ではS01を狙うが、2回目以降の近接運用でC01やL14を狙う可能性は十分ある。その場合ターゲットマーカを落としたいと思っているが、ご指摘の通りあまり近い位置にターゲットマーカがあると探査機が混乱してしまう。それも含め、S01にターゲットマーカを落とした結果に応じてターゲットマーカをどこに落とすか、または落とさないかを考えていく。
C01とS01が想像以上に近く、当初想定しなかった悩みだが少なくとも一点はターゲットマーカで着陸できる領域を残すために、2回目以降の近接運用ではターゲットマーカを落とすかどうか判断することになるだろう。

水野:ターゲットマーカどうしがどのくらい近いとよくないのか

津田:カメラの視野にターゲットマーカが入るかどうかという話なので…まずはやぶさ2は、ターゲットマーカが3個まで視野に入っても着陸できるように設計されている。一方で、1回目のタッチダウンがうまくいったので2回目もその手法を踏襲したいと考えている。
新たな技術チャレンジになるよりも、(すでに実績がある)1個のターゲットマーカで着陸する方法でやりきりたいと考えている。
視野にターゲットマーカが1つしか入らない方法にしようと試みている。
今のシーケンスで着陸しようとすると、ターゲットマーカどうしは…うーんそうですね、少なくとも30メートル以上離れていてほしいと考えているが、視野に入るかどうかはどの高度でターゲットマーカを見るのかというかねあいにもなるため絶対的な数字ではない。30メートルという数字は目安と考えてほしい。

ライターあらふね:PPTD-TM1でターゲットマーカを落とそうと狙うのは、S01のどのあたり?

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津田:今回の資料ではS01の中のどこというのは載せていませんね。上の図でいうとS01エリアの中心から少し北東側です。生成されたクレーターに近くしたい。イジェクターはクレーターに近いほど濃いと思われるため。また西側にある大きな岩を避けたいという理由も。

あらふね:2回目や3回目の近接運用でどこを目指すかはPPTD-TM1でターゲットマーカが落ちた場所による?

津田:はい。たとえばすごく北側に落ちてしまったらC01に近くなる。C01に近接運用するならターゲットマーカを落とすかどうか考える。

あらふね:資料24ページ。LRFは計測はするが制御に使わないことについて、もう少し詳しく知りたい

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津田:低高度でしか使わない機能のうち、光学系が曇ったかもしれないという話の関係でいうと、LRFともう一つカメラがある。
LRFは高度計測に使い、カメラはターゲットマーカの追尾に使う。どちらもピンポイントタッチダウンに重要な機器。今はどの高度でどういう性能で使えるのか確信がない状態。試験的にスイッチを入れてみて実際に低高度で計測することでどのくらいの性能が出るかを知りたい。
もしノイズが大きいとか感度が低いなどだと、その情報を制御に入れると探査機がきちんと動かないかもしれない。そのため計測はするがその情報を制御には使わない。

あらふね:カメラだけでなくLRFにも性能の低下がある?

津田:確証は得られていない。底面にある光学系なので疑いをかけている。

NHKはるの:津田さん。今後の運用方針について。S01に着陸することを念頭に降下運用を行うのか。S01が着陸に適さないとわかったら別の場所を狙う?

津田:ここから先は時間と、情報の精度との勝負。
時間との勝負という意味では毎回ここにタッチダウンするというつもりで情報収集に行く。PPTD-TM1はそこにタッチダウンするのに必要な情報をすべて集めるつもりで。

はるの:S01エリアがタッチダウンに一番よいと判断している?

津田:まだわからない。準備ができている範囲内で期待値がそれなりに高いという判断。

はるの:LIDARで10メートルまで下りるとのことだが、プレスキットでは30メートルまでとあったと思う

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津田:当初計画はそうだった。1回目のタッチダウンではリュウグウの反射率が低いため当初より少し低い高度で使っている。
今回はさらに少し低いところまで行く。LIDARは高高度でも使っていて性能の素性がわかっている。曇っているわけではなさそうともわかっている。低高度での挙動の情報も十分あるのでこのシーケンスが成立すると考えている。

はるの:渡邊先生に。副クレーターのサイズと個数は

渡邊:クレーターに限らず地形変化が確認できたところを赤く示している。これも網羅はしておらずもっと多く見つかっている。クレーターはひと声1メートルくらいの大きさ、メインは10メートル。(今村註:いずれも直径と思われる)

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共同通信すえ:2回目のタッチダウンではクレーターの中には着陸せずその周囲を目指すのか

津田:これ、できることならやっぱりクレーターの中に行きたいですよね。クレーターの中にはクレーターのものがあると決まっているのでできるなら目指したいが、探査機の性能限界やタッチダウンの現実的な成立性を考えると冷静に判断しなければならない。
C01の3つの円のうち右下の2つはクレーター内。ここが選ばれればクレーターの中へ着陸することになるが、これは低高度で実際に見てみて本当にできるか判断する。

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すえ:副クレーターを作ったのはSCIのかけら? リュウグウの破片が副クレーターを作ったわけではない?

渡邊:そこは重要で、月などでもクレーターから外れたところに「二次クレーター」を作ることがある。
S01領域にも二次クレーターかもしれないものが見つかっている(精査中)。ただし二次クレーターは中心の黄色い矢印の比較的近くだけで、赤く示した副クレーター候補のような遠いところまでリュウグウの物質が飛んできてクレーターを作った可能性は非常に低い。また中心点から円状に広がっていることから、SCIの破片が衝突してできたものと考えている。

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SCIの破片でできた「副クレーター」は、天体表面の物質で作られる「二次クレーター」とは区別している。

すえ:上の図で青い円の大きさは

渡邊:いま正確な数字は出ないが100メートルくらいだと勘でいえる。詳しい数字はのちほど。

(以上)