まつもとあつしのインタビュー。くり返しの話もあるけれど読み応えあります。
広告は「詳細な価格は出せませんが、一般的な週刊誌に比べると破格の値段になっています。でも、それを足していくと、70〜80万円くらいの金額にはなります」。クリック保証なので「規定回数クリックされたら、もう次の広告に差し替えてオーケー。理論上は次のバナー、次のバナー、という感じで進むことができます」。広告の表示回数に応じて広告主に課金する、インプレッション課金についても「良いかなと感じ始めています」。
動的な広告の入れ替えは読者としてしたくない。「言語道断なのは1ヵ月しか読めないとか。コレクションとしてはありえないです。ダウンロードしたものは完全に読者のもの、という考え方」。
―― PDFファイルのダウンロード版では、たとえば地下鉄などユーザーがオフラインの環境でマンガを読んでしまうと、なかなか広告をクリックしてもらえない可能性もありますね?
赤松 うーん。技術に詳しい人がJコミを見ると、「仮にPDFを暗号化しても、工夫したら広告は抜けます!」と指摘されることもあるんですよ。で、僕が「6ページある広告を頑張って抜いて、どこかにアップロードするの?」って聞いたら、「WinnyとかP2Pに流されちゃうんじゃないんですか」と。でもそうじゃなくて、もうそこには昔から、「違法データがある」わけでしょう?
つまり、オフラインで広告クリックなしに読まれてしまうということも起きるわけですけど、そもそも「作者に1円も入らないという状況を逆転させる」ということを目指しているので、そこは大きな問題ではないと考えています。作品・作者に対する、読者の皆さんの善意を改めて集めたいという思いがそこにはあるんです。
作者を応援するという意味では、仮にオフラインで全部読んじゃっても、家に帰ってからパソコンから広告をクリックしてもらえると嬉しいですけどね(笑)。もちろん、広告に興味が出たらでけっこうですので。
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「強調したいのは、読者・作者・企業の『WIN-WIN-WIN』(トリプルWIN)を目指す努力をしていくということですね。誰も損をしないし、みんな得をする世界を実現したい」。
「出版社は既存のビジネスを脅かされないし、むしろ絶版に再び光を当てることで、再出版のチャンスも生まれてくると」というのは、そうかもしれないしそうでもないかもしれない。Jコミのマンガを読む間は新刊のマンガを読めないわけで、よくいわれる「電子書籍で絶版がなくなったら、新刊は膨大な既刊・古典と戦わなければならない」ということを考えた。いやもちろん赤松健は、マンガにかける時間が増えることがマンガにとって大事、という考え方なのだろう。