オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

99/05/26 (Wed.)−登場、ThinkPad240

元記事:夜の記憶−99/05/26 (Wed.)−登場、ThinkPad240】

とうとうIBMから薄型B5ノートが出てしまった。その名はThinkPad240
 仕様を我が家のThinkPad535Xと比べてみると、薄くなってサイズは少し大きくなって、軽くなって速くなってハードディスクの容量とメモリが増えて、バッテリ駆動時間とPCカードスロットが減って、消費電力と液晶サイズと解像度は変わらず、表示可能色数が増えてキーが減ってキーピッチは広がってTrackPoint(赤いポッチ)は機能向上、で標準価格はぐっとお安くなった、というところ。
 個人的には、「pageup」「pagedown」などのキーがなくなってしまったらしいのが残念。さらに個人的な事情だが、NICOLA(≒親指シフト)配列を使っている身には、変換キーの幅が狭くなってしまったように見えるのも非常〜に残念なところだ。
 それにしても、ソニーからVAIOが登場して以来、すっかり薄型ノートの時代になってしまった。VAIOの後を追うように、マグネシウム合金の外装、25mm前後の薄型ボディを持つマシンが各社から次々と発売され、「バイオモドキ」だの「銀パソ」だのと言われたのも今では昔。もはや定番の製品として普遍性を獲得してしまったため、あえてそういった言われ方もされなくなってしまったようだ。一方、IBMはこの「薄型」の流れに乗り遅れていた。ノートパソコンのトップブランドの1つと言っていいThinkPadがこれまで薄型モデルを出さなかった裏には、ThinkPadのブラックボディというプライドが、銀色のマグネシウム合金に対して拒否反応を示していたという事情もあるらしい。
 そこへ、ついに登場した薄型ThinkPadの240である。ThinkPadの製品ラインアップは、これまで型番でわかりやすく分けられていた。240はどうだろうか。
 ThinkPadは、型番の流れを重視してきている。B5サイズのコンパクト(といってもいわゆる「薄型」以前のコンパクト)ノートは530→535、これよりも小さいシリーズは220→230→235と進んできた。おまけとして、ThinkPadではないが超コンパクトなパソコンの「PalmTop PC110」という型番には、小さな220のさらに半分だぜという気概が現れている。そして今回の240。タテヨコのサイズだけから考えれば、53x番台がふさわしいこの製品に「240」という型番を付けてきたのは、「大きさは53x番台だが、コンパクトさの実感は2xx番台並み」という印象を持たせるための戦略なのだろうか。そのわりには「キーピッチ18mmを実現」など、製品紹介のトーンは単なる小ささよりも「コンパクトながら実用的」という具合だ。このあたり、伝統的な型番ルールと製品戦略にややちぐはぐさがあるようにも思える。
 それでも、ThinkPad240はIBMにとって、これまでになく意欲的な製品であることは間違いない。個人的な嗜好から「どうしても欲しい」機種にはならなさそうで、これは嬉しいような残念なような複雑な気分だが、市場が240をどう受け止めるか、興味はつきない。