99/04/10 (Sat.)−ナカッタデスと言わないで

元記事:夜の記憶−99/04/10 (Sat.)−ナカッタデスと言わないで】

小さなことでも、気になり出すと止まらない。最近気になるのは「なかったです」という言葉だ。「今まで××したことがなかったですから緊張しました」とか、「そういう様子ではなかったです」といった具合。
 「なかったです」は、きちんと言うなら「ありませんでした」なのだが、最近は会話の中では「なかったです」のほうが多く使われているようだ。自分にはどうにも耳慣れない言葉で、他人の会話や対談などで「なかったです」が出てくるのも気になってしまう。
 「なかったです」という言葉は「なかった」+「です」で、これは「なかった」に丁寧らしきニュアンスを手っ取り早くくっつけようとして「なかったです」になった、ということか。とりあえず「なかった」と言ってしまい、丁寧っぽくしたいなら「です」と続ければよいだけなので、言う側にストレスが少ない言い回しだ。一方、「ありませんでした」と言うには、この言葉の前からもう言い回しの丁寧さを調節しなければならないわけで、発語の先読み能力が求められる。
 面白いのは、「なかったです」が最近多く聞かれるようになった言葉なのに対し、同じ意味で現在形の「ないです」のほうは昔から使われているらしく、とくに耳障りには感じない。「××したことはないです」「そういう様子ではないです」。それぞれ「ありません」にすればよりふさわしいのだろうが、このままでも違和感はない。
 いずれにせよ、「なかったです」には今のところ大いに違和感がある。自分でもたまについ「なかったです」と言ってしまい、どきりとする。「『ありませんでした』と言おう」と思っていても、訓練しておかないとすぐに易きに流れてしまうのだった。