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99/04/11 (Sun.)−週末映画『ベンヤメンタ学院』『ガメラ3 邪神覚醒』『シン・レッド・ライン』(前編)

元記事:夜の記憶−99/04/11 (Sun.)−週末映画『ベンヤメンタ学院』『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』『シン・レッド・ライン』(前編)】

この週末はたくさん映画を観てしまった。クエイ兄弟の短編集、同じクエイ兄弟の長編『ベンヤメンタ学院Institute Benjamenta』、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』、『シン・レッド・ラインthe Thin Red Line』。しかし、「こいつはいいぜ」と手放しで喜べるほどの面白い映画はなかなか見つからないものだ。
 クエイ兄弟は、イギリスで活動している双子の人形アニメ作家。短編集は『レオシュ・ヤナーチェクLeos Janachek: Intimate Excursions』、『ヤン・シュバンクマイヤーの部屋the Cabinet of Jan Svankmajer』『ギルガメッシュ/小さなほうきthe Unnameable Little Broom』、『ストリート・オブ・クロコダイルthe Street of Crocodiles』の4本立て。ヨーロッパ的な意匠の舞台装置の中、妙にキタナイ人形が動き回っている。話はどれもよくわからず(これは、字幕の入れ方や短編どうしの切れ目がわかりにくいのも原因だと思う)、もっぱら動きの面白さを追っていた。なんだかどれも、くらーい雰囲気。でも、あまりちゃんと人間の形をしていない人形たちの造形は独特でいい感じ。鳥とおぼしき動物の頭骨にカタツムリの目玉、鳥の羽根をトサカにつけた人形や、開いた本の頭にカラス口(「からすろ」じゃないよ)の手を持つ人形。ほかにも象徴的なものがいろいろ出てきて、分析するのが楽しそうではあった。
 次の『ベンヤメンタ学院』は、クエイ兄弟だけれど人形は出てこず、人だけが出てくる普通の白黒映画。ソフトフォーカスで、被写界深度(ピントの合う範囲)が極端に狭く、白と黒のコントラストがとても美しい画面。こちらも話はあまり素直ではなく、全体の流れでいえば「ベンヤメンタ学院の静穏が破られていく話」ではあるのだけど、1つ1つのシーンはやっぱりどうもわかりづらい。映像の雰囲気はとても好みで、こういう映像を自分で作れたらと思ったりした。
 あと2本については明日。