小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(サンプルのキュレーションチームと初期分析チームの紹介)

(編集中)

日時

  • 2021年3月19日(金)15:00~16:00

前回の記者説明会

登壇者

JAXA 宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトチーム

統合サイエンスチームメンバー
ミッションマネージャ
キュレーションチーム
  • 高次(Phase 2)キュレーション三朝(みささ)チームリーダー 中村栄三(なかむら・えいぞう)(岡山大学惑星物質研究所 教授)
  • 高次(Phase 2)キュレーション高知チームリーダー、初期分析・化学分析チーム 伊藤元雄(いとう・もとお)(国立研究開発法人海洋研究開発機構・高知コア研究所 主任研究員)
初期分析チーム
  • 初期分析チーム統括 橘省吾(たちばな・しょうご)(東京大学大学院理学系研究科 教授/JAXA 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 特任教授)
  • 化学分析チームリーダー 圦本尚義(ゆりもと・ひさよし)(北海道大学大学院理学研究院 教授)
  • 石の物質分析チームリーダー 中村智樹(なかむら・ともき)(東北大学大学院理学研究科 教授)
  • 砂の物質分析チームリーダー 野口高明(のぐち・たかあき)(京都大学大学院理学研究科 教授/九州大学基幹教育院 教授)
  • 揮発性成分分析チームリーダー 岡崎隆司(おかざき・りゅうじ)(九州大学理学研究院 准教授)
  • 固体有機物分析チームリーダー 薮田ひかる(やぶた・ひかる)(広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授)
  • 可溶性有機物分析チームリーダー 奈良岡浩(ならおか・ひろし)(九州大学理学研究院 教授)

中継録画

本日の内容

(吉川氏より)

目次


1.プロジェクトの現状概要


2.キュレーションの概要・チーム紹介

(臼井氏より)


参考:試料分配スケジュール(予定)


3.初期分析概要

橘氏より)

日本の地球外物質の分析は世界的にも高い実力を持っている。

4.初期分析チーム紹介

化学分析チーム

(圦本氏より)

世界中の研究者がおもに東工大と北大に集まって分析を進めていく。

石の物質分析チーム

(中村氏より)

回収試料の中で比較的大きなもの(1ミリメートルより大きなもの)を石と表現し、これを分析するチーム。

「含水鉱物」がキーワード。水が鉱物の中に取り込まれているもの。リュウグウは水を含水鉱物として含んでいるとリモセンでわかっている。リュウグウの表面に含水鉱物がどのように存在しているのか、探査機が得たスペクトルデータとチームで測定する石のデータを比較することで突き止める。

含水鉱物がリュウグウの歴史の中でどのように形成されてきたか。世界中の放射光施設(アメリカ、フランス、ドイツなど)で手を加えずに(CTなどの非破壊方式で)分析する。その後切断して内部を確認。

リュウグウの天体としての衝突強度などの物性も調べる。リュウグウの形成プロセスを研究。

砂の物質分析チーム

(野口氏より)

0.1ミリより小さい試料を砂としてこれを分析するチーム。表面に対して内部の比率が小さい試料が多くなる。宇宙空間にさらされている間の変化(宇宙風化)に注目。

リュウグウはC型小惑星。C型小惑星についての宇宙風化を研究する。

揮発性成分分析チーム

(岡崎氏より)

リュウグウの物質に含まれているガス成分を分析するチーム。リュウグウの材料物質の起源やいつどんなイベントがあったかを調べる。

試料は大気非暴露で持ち帰っているのでそのまま分析。低温から加熱していくことで出てくるガスを調べるなど。

固体有機物分析チーム

(薮田氏より)

生命材料の形成を調べる。炭素質隕石を酸で処理して残ったものを固体有機物という。初期太陽系の歴史が記録されている。

手を加えていないサンプルを分析して固体有機物を抽出することも可能。

未加工のリュウグウの試料を分析したのち酸処理して分析。

可溶性有機物分析チーム

(奈良岡氏より)

有機物の中でも有機化合物を扱う。直接固体のものを分析するのではなく、試料を水やアルコールで抽出してどういう分子があるか、構造や種類を明らかにするチーム。アミノ酸など。地球上では20種類のアミノ酸が見つかっているが隕石の中からは100種類のアミノ酸が見つかっている。隕石によって含む種類も異なる。

5.今後の予定

(吉川氏より)


参考資料


クリーンチャンバー概要


質疑応答

産経新聞伊藤:機体の状態について。機体の温度は。慎重な運用をしたというのは具体的には

吉川:3月13日に太陽と最短距離に。機体の温度は場所によって異なるので今持ち合わせていない。調べます。温度は常時モニターしつつ運用している。慎重な運用は温度をモニターしつつということ。特別なことをしているわけではなく温度が上がりすぎないよう監視していた。温度が上がらない飛ばし方というか…温度を注視しつつ飛ばしていたということ。

NHK寺西:化学分析チームを石の分析や砂の分析などチーム分けした理由は。ミッションの成果を得てどんな感想か

橘:以前から紹介していた6つのチームの名前を変えたもので、チーム分けを変えたわけではない。
理学の研究者がサンプル採取から関わるのがこのミッションの特徴。サンプルがどのくらい必要か相談し0.1グラムと決めてチーム作りをしてきた。
リュウグウはまだ謎が多い。まずいろいろな手法でリュウグウをちゃんと記載する。ベールをはぐ。そのために6つのチームを構成した。その上で全員で議論して1つのストーリーを作っていく。楽しみにしている。

時事通信神田:初期分析の1年間という期間は限定して、チームはいったん解散するのか

橘:リュウグウの試料は全世界で共有するべきと考えている。それがこの先、来年夏くらいに公開して提案書ベースの審査で配布する。はやぶさ2として目指している科学があり優先的に分析するための1年間。
各チームが分析し論文も発表する。その後リュウグウの試料で何をしたいか提案して研究する。
はやぶさ2としてリュウグウはこういうものと示すのが初期分析の活動。

神田:0.1グラムという目標より大幅に多いサンプルをとれたことで嬉しい誤算のようなもの、変更するところはあるのか

橘:0.1グラムは最低必要量。期待値は1グラム。まったく予想していなかった量ではないが増えた。プランとして大きく変えることはないがチーム間の共同分析をしたり、より高精度で分析したりガスを多く採取できるようになったりする。予想外であわてているというわけではなく、方針を練り直している。

月刊星ナビ中野:キュレーションについて。資料6ページのスケジュールについて。具体的にどのくらいの大きさまで記載するのか。それより小さいものは将来保管とするのか

臼井:保管するもの以外はきっちり拾い上げる。そのほかのものも分けて保管する。何グラムまでではなく…基本的には全部だが何年もかかるのでは。
初号機とはやぶさ2ではサンプルの量もサイズも何桁も違う。初号機はミクロン単位のサンプルを拾っている。今回は1センチに迫るものもある。5グラムのうち数グラムは拾うだけであれば1年で終わる。観察を含めても初号機とは違うスケジュールをイメージしてほしい。
本気で全部、粉のようなものまで拾おうとすると永久に終わらないので、あるところで粉の試料全体として分けておくだろう。
それ以上のものは数年で拾う。

中野:1年経ったら拾い上げが終わることはない?

臼井:全部は厳しいと思う。

毎日新聞永山:コロナの影響下で海外研究者とのコラボレーションを検討中とのことだが、初期分析チームのコロナ対応は

橘:6つのチームのリーダーも国際公募で決めている。分析の期間で日本にベースがあるという条件で今の6名になった。
コロナの影響が出る前だったが、こういう条件を入れていてよかった。
分析がコロナの影響を受けることはない。しかし研究者が来日できないこともあるのでオンラインでつなぐことも考えている。
各国の機関でコロナによって施設が止まることも考えられるが分析の全体の流れが止まることはないとチームで確認している。

永山:試料の運び方について。従来だと研究者が直接来て持っていくなどとしていたと思うがこの状況下でどうするのか

橘:今までのキュレーションでは人がからまない輸送手段で問題が出ていないので、その方法をとる。

共同通信須江:初期分析とサブチームで8チームが動くのか。
また1ミリより大きいものと0.1ミリより小さいもので石と砂を分けるとのことだったがその間のサイズはどうするのか

臼井:チーム数がPhase-1と2で8チームになるのはその通りで宇宙研のキュレーションチームを加えれば9チーム。
(Phase-2は?)キュレーションチームの中に入っていただくチーム
初期分析チームとJAMSTEC

臼井:タイミングとしては

橘:0.1ミリ~1ミリの試料は適切に砂とチームで適切に分ける。
サンプラーの構造上、1ミリを超える粒子は格納室どうしで混ざらない。0.1ミリのものは混ざる可能性があるので宇宙風化など平均的なものを見る。中間のサイズのものはどちらに分けるか個別に判断する。

フリーランス大塚:キュレーションのPhase-2の位置づけについて。資料6ページ。Phase-1は大ざっぱに調べて15パーセントをPhase-2

右側は

臼井:Phase-2に渡した試料で使わなかったものは戻ってくる。それはほかのチームに回る。
Phase-2では結晶構造や微細な

特異な粒子を記載してもらって、そこで細かいことがわかったらキュレーションのデータベースに追加する。
国際公募に出すカタログに重さと色と形だけでなく、たとえば同位体のデータも記載できることが考えられる。

東京とびもの学会金木:石と砂でチーム分けされているが一方でしかわからないこと、両方でわかることを知りたい

中村:石は構造、組織がわかる。初号機のサンプルは0.1ミリほどしかなかった。中の鉱物の粒径や組織を作る部分の情報を得られなかった。
今回は大きな粒子がたくさん回収された。石の組織を知ることができる。
薄片にして分析したりCTスキャンできる。光学顕微鏡やX線も使う。石の3次元構造はサブミクロン単位でわかるのでそういう手法を使う。

野口:大きい試料がただ砕けて小さくなったかもわからない。砕けやすいものだったということがあるかも。
小さい試料だと中にオリジナルな表面がたくさん残っていれば、共通見解がないC型小惑星の宇宙風化についてわかることもあるかもしれない。

どういう鉱物でできているか、中の物質は石チームだと
砂チームはパズルのピースまでわかる。

ニッポン放送畑中:神田さんの質問に加えて。サンプルがたくさん採れたことでチームの規模やロードマップに変化があったのか。たとえば石と砂にチームを分ける必要ができたとか、嬉しい誤算があれば

臼井:キュレーションチームではチーム構成に変更はない。作業員の数も足りている。たくさんあるから大変かというと大きいと一度にたくさん拾えるので作業量が劇的に増えるわけではない。
取り分ける容器が足りなくなって大急ぎで発注した。特別なサイズだし、クリーンチャンバーに入れる前に何日間も洗浄したりなどの作業が増えた。

橘:初期分析チームでは1グラムあたりを期待値と考えていた。その何割や何倍と想定して準備していて、石チームと砂チームは最初から分けていた。
量が多かったためにサンプルが少なくて心配するということがなくなったので、楽しみに準備していただいている。

(編集中)