
本記事では自作キーボード「ThumbShift3」の組み立て方を解説します。作業に入る前にこのビルドガイドを一通り読んでおいてください。
- ThumbShift3とは
- ThumbShift3の入手方法
- キットの中身
- そのほかに必要な部品
- 組み立てに必要な工具や消耗品
- スイッチソケットのはんだ付け(45分~90分程度)
- LEDのはんだ付けと点灯テスト(10分~15分程度)
- (オプション)AZ1UBALLの組み立て(20~30分程度)
- キーボード全体の組み立て(25分程度)
- (オプション)アクリルのデコレーションプレートと枠を取り付ける(5~10分程度)
- うまく動作しないときは
- ThumbShift3のキーアサインと使い始め
- ThumbShift3のキーアサイン変更
- ファームウェアのアップデート方法
- (オプション)写真を撮ってSNSに上げたりする
ThumbShift3とは
ThumbShift3はThumbShiftシリーズの最新版で、旧モデルと比べてこんな特徴があります。
- かなり薄くなった
- スイッチプレートとボトムプレートの間隔は、Choc v2のキースイッチを使うと4ミリです。これはいわゆるサンドイッチマウントの、スイッチソケットを採用したキーボードでは最も薄いといえます。前モデルのThumbShift2、最初のモデルのThumbShift5-15tbではChoc v2を使っても9ミリで、半分以下になりました。

左が前モデルのThumbShift2、右がThumbShift3。5ミリ薄くなった - いくつかのパーツははんだ付け済み
- ダイオードとマイコンははんだ付け済みで、組み立て時にはんだ付けが必要なのはスイッチソケット、LED、AZ1UBALL(ミニトラックボールユニット)とそれ用のシングルピンソケットのみとなりました。
- USBコネクタの位置が向かって左上に移動した
- 上の写真をご覧ください。一般的なキーボードにありがちな場所へ移動しました。いわゆる尊師スタイルにおいては、奥にコネクタがあるよりよいのではないでしょうか。
- ThumbShift3の設計の話:
KiCadで作った基板のJLCPCBへのPCBA発注はとても楽
以下はThumbShiftシリーズ共通の特徴です。
- 数字列やファンクションキーを省略したコンパクトな59キーキーボード
- テンキーや数字キー、ファンクションキーはありません。これらは無変換キー(変更可能)と一緒にアルファベットキーを押すことで入力します。たとえば「1」は無変換+A、「2」は無変換+S。ファンクションキーはXCV…の行といった具合です。(標準のファームウェアでは、F1のみ誤入力に配慮して異なるキーアサインにしています)これにより、ホームポジションに手を置いたまま数字キーやファンクションキーを操作できます。同じようにカーソルキーも、ホームポジションから入力できるようにしています。
- でもカーソルキーはあります
- 片手で操作したいときなどのためにカーソルキーは残しました。PageUp/Down、Home/Endはカーソルキー左の(写真では「FN」)キーを押しながらカーソルキーを押して入力します。
- 小型のトラックボールを装着可能
AZ1UBALLというミニトラックボールをつけることができます。マウスポインタを移動するだけでなく、スクロールモードへ移行してロータリーエンコーダのように使うことも可能です。ただしマウスポインタ移動の精度があまり高くなく、マウスいらずにはならないと感じています。
- 親指シフト入力に適したキー配列
- Bキーの下にキーが2つ並ぶ、いわゆる「B割れ」の配置になっており、親指シフトキーを割り当てるのにちょうどよくなっています。(現在のところ、親指シフト配列にするのは「やまぶきR」や「紅皿」などのソフトを使います)
- CherryMX互換キーとChoc V2キーの両方に対応
- 背の高いCherryMX互換キーと、背が低い(ロープロファイルの)Choc V2キーのどちらでも装着できます(両種を混在させることはできません)。Gateron LP 3.0キースイッチも装着できるようです(未確認)。
- 一般的なロースタッガード配列のため移行しやすい
- キーが行ごとに横方向にずれている「ロースタッガード配列」は、市販されている一般的なキーボードと共通です。そのため自作キーボードでよく見られる、縦方向にずれている「カラムスタッガード配列」や左右のずれがない「格子配列(オーソリニア)」と比較して、使い始めの学習コストが低くすみます。
- Vial対応でキーアサインを変更しやすい
- GUIでキーアサインを変更するとすぐにキーボードに反映されます。設定ファイルをテキストエディタで書き換えて、黒い画面でファームウェアをコンパイルするなどの操作は不要です。ThumbShift3ではThumbShift2と同様、コンボやタップダンスなどの設定も可能です。
- アクリルカットのパーツを追加してデコレーション可能
- 基板むき出しのいかにも電子工作という見た目を変えて、個性を演出できます。
ThumbShift3の入手方法
12月20日(土)の正午にBOOTHで販売を開始する予定です。以後の販売についてはBOOTHページをご覧ください。
キットの中身
頒布品に含まれるものの一覧です。
- スイッチプレート
- トッププレートとも呼ばれます。キースイッチを装着するボードです。

- メイン基板
- 電子回路が組み込まれた基板です。前述の通りダイオードとマイコンははんだ付け済みで、LEDやスイッチソケットなどをここにはんだ付けしていきます。ファームウェアは書き込み済みです(ファームウェアとは、メイン基板上のマイコンをキーボードの頭脳として動作させるためのソフトウェアのことです)。

- ボトムプレート
- キーボードの底面になるプレートです。右下の大きめの穴はBOOTボタンやRESETボタンを押すためのものです。

- LED×1(SK-6812MINI-E)
- 写真のパッケージから取り出して使います。

- スペーサ×7(黄銅スペーサー(丸)M2/4mm)
- キーボードの組み立てに使います。キットには、Kailh Choc v2タイプのキースイッチを使う想定で4ミリのスペーサを同梱しています。CherryMX互換のキースイッチを使う場合は8ミリのスペーサ7個を調達してください。(例:
黄銅スペーサー(丸)M2 8mm- 遊舎工房)Gateron Low Profile 3.0の場合6ミリのスペーサが適合するようです(未確認です)

- ねじ×14(スリムヘッド小ねじM2 黒 3ミリ)
- キーボードの組み立てに使います。スイッチプレートの上にアクリルのデコレーションプレート(後述)を載せる場合、使う3ミリのねじは7本です。残る7本は8ミリのM2ねじを調達してください。

- AZ1UBALL用ピンヘッダ×2(4ピン)
- AZ1UBALLを装着する場合に使います。

- AZ1UBALL用シングルピンソケット×2(4ピン)
- AZ1UBALLを装着する場合に使う、背の低いピンソケットです。

そのほかに必要な部品
キットを組み立てるのに別途調達する必要がある部品の一覧です。
キーボード関係のパーツは、国内では遊舎工房や
TALPKEYBOARD、
Daily Craft Keyboardなどで販売されています。AliExpressのような海外通販もありますが、安価な代わりに配送までの期間が長いこと、トラブルの可能性がやや高いことなどを勘案してご利用ください。
- キースイッチ×59
- 本製品はChoc v2タイプのキースイッチとCherryMX互換のキースイッチの両方を取り付けることができます(※混在して取り付けることはできません)。Choc v1タイプのキースイッチにも対応はしていますが、Choc v1タイプには日本語キーキャップセット(特にISO Enterキー)が存在しないためおすすめしません(ISO Enterの代わりに、テンキーに使われている縦2UサイズのEnterキーを流用する方法もあります)。Gateron Low Profileキースイッチは3.0が対応していると思われますが未確認です。
- キーキャップ×59
- Choc v2タイプのキースイッチを使う場合、ロープロファイル対応のキーキャップをご用意ください。WomierやXVXといったブランドから、ロープロファイルのキーキャップセットが発売されています(※これらのブランドはロープロファイルでないキーキャップも販売しています。商品説明をよく読んで購入してください)。下の2製品には本製品に必要な数とサイズのキーキャップが揃っています。 親指シフト派には、親指シフトキー部分(Bキー下の2キー)に使うとちょうどよい1.25Uの「かまぼこ型キーキャップ」を
FILCOの通販で買えます。これをロープロファイルのキースイッチで使う場合、一番下まで完全に押し込むとキーを押したとき底打ち(キーキャップがスイッチプレートに当たること)します。キーキャップが外れない程度に軽く押し込んでご利用ください。
CherryMX互換キースイッチに合わせるキーキャップとしてFILCOの日本語交換用キーキャップを使う場合、下図の通り上から3行目~5行目に使う1.25U×3、1U×4のキーキャップが必要です。(1U×4に関しては、キーキャップの形状や刻印にこだわらなければ余るキーキャップでまかなえます。またFILCOのキーキャップの形状はOEMプロファイルです)

- スイッチソケット×59(CherryMX用もしくはKailh Choc用、あるいは両方)
- 使用するキースイッチの種類に合わせて調達してください。一方のスイッチソケットをはんだ付けして完成させたのち、もう一方のソケットをはんだ付けすることも可能です。Gateron Low Profile 3.0キースイッチを使う場合はCherryMX用が適合するようです(未確認です)。
- (オプション)AZ1UBALL×1
- キーボードの手前中央に設置できるミニトラックボールです。
作者さんのBOOTHで購入できます。
- USBケーブル(Type-A~Type-C)1本
- 充電専用ではなく、通信できるタイプをご用意ください。
- (オプション)ゴム足
- キーボードのすべり止めとして使います。百均でも入手できます。
組み立てに必要な工具や消耗品
最低限必要なものをまとめました。遊舎工房の「工具セット(入門セット)」にニッパーとプラスドライバー、マスキングテープ、キースイッチプラー、キーキャッププラーを追加するのでもかまいません。下で紹介している商品はあくまで例であり、同等のものであればこれでなくてもかまいません。
- 温調はんだごて
- 温度を調整できるタイプのはんだごてを用意してください。ちょっとお高いですが一生ものと思って。
- はんだごてのこて先
- 市販のはんだごてに取り付けられているこて先は、多くが鉛筆型(B型)をしています。これは使いこなすのが難しいので、C型やD型のこて先を使うのがおすすめです。お使いのはんだごてに対応したこて先を調達してください。
- はんだごて台
- はんだごてを置く台です。はんだごてのメーカーに合わせるのが無難です。
- はんだ
- 鉛フリーはんだは扱いが少し難しいため、鉛入りの「有鉛はんだ/共晶はんだ」をおすすめします。
- ニッパー
- 電子工作用のニッパーを用意してください。切ったパーツが飛んでいかないタイプを推奨します。
- ピンセット
- 先端がとがっているタイプにしてください。
- マスキングテープ
- はんだ付けするパーツの固定に使います。幅は15ミリ程度が使いやすいでしょう。
- プラスドライバー
- M2サイズの小さなねじに使える、0番タイプを用意してください。
- キースイッチプラーとキーキャッププラー
- キースイッチやキーキャップをキーボードから取り外す時に使います。キーキャップとキースイッチの両方を取り外せるタイプがお得です。
- (オプション)ラジオペンチ
- AZ1UBALLの組み立てでピンヘッダの樹脂パーツを移動するのに使います。
- (オプション)はんだ吸い取り線
- はんだ付けに失敗したときにはんだを除去するのに使います。
- (オプション)はんだ吸い取り器
- はんだ付けに失敗したときにはんだを除去するのに使います。
- (オプション)フラックス
- 細かいピンのはんだ付けや、はんだ付けをやり直すときなどに使います。
- (オプション)フラックスクリーナー
- フラックスリムーバーとも。はんだ付けした場所のフラックスをきれいにするのに使います。
- (オプション)はんだ付けマット
- はんだ付け作業をするときに机に敷く耐熱マットです。
- (オプション)テスター(デジタルマルチメーター)
- 電圧や電流の測定のほか、きちんとはんだ付けできているかをチェックするのにも使います。
- (オプション)はんだ吸煙器
- はんだ付けで出る有害な煙(ヒューム)を吸わせる装置です。 純正品は高価なので、14センチ(12センチも可)のUSBケースファンに吸煙器用のフィルターを取り付けて簡易吸煙器を作ってもよいかもしれません。
スイッチソケットのはんだ付け(45分~90分程度)
ここから組み立てを始めます。表記している時間は目安です。慣れている人は早いでしょうし、そうでもない方はもっとかかるかもしれません。
スイッチソケットのはんだ付けは以下の順序で行います。
- スイッチソケットの片方を固定するはんだ付け(30~60分程度)
- もう一方のはんだ付け(15分~30分程度)
慣れない作業は意外と疲れるものです。休憩を取りながら進めてください。また、手順ごとに写真を撮っておくと、あとで問題が起きたときに検証しやすくなります。
使用するソケットに合わせてはんだ付けを行っていきます。写真はChocタイプのスイッチソケットを例にしていますが、CherryMX互換のスイッチソケットでもはんだ付けする位置が変わるだけで手順は同じです。
はんだ付けするときはよく換気をし、はんだごての温度は350度程度にします。またはんだ付けを終えたら手をしっかり洗いましょう。はんだ付けの基本については以下のページを参考にしてください。
まずスイッチソケットを置きます。ChocタイプとCherryMX互換のいずれも、スイッチソケットを置く向きが決まっています。特にChocタイプのスイッチソケットは向きがまぎらわしいため、十分注意してください。ThumbShift3のメイン基板では、スイッチソケットはすべて同じ向きにはんだ付けします。

一度に大量のスイッチソケットを置くと、なにかの拍子に基板が大きく動いたときなどにスイッチソケットがまとめて外れてしまうことがあります。はんだ付けを進めながら、1列ずつや10個ずつソケットを置いていくのがおすすめです。また、多くのスイッチソケットをセットし、続けてはんだ付けしていくとはんだ付けもれが出ることがあります。ダイオードと同様、行を一方向にはんだ付けしていくか、スイッチの番号順にはんだ付けするなど、ルールを決めて進めていきましょう。
1つのソケットにつき、はんだ付けするパッド(基板側の銀色の部分)は2つあります。うち一つをまずはんだ付けします。利き手にはんだごて、反対側の手にはんだを持ち、右利きなら向かって右、左利きなら向かって左のパッドを最初にはんだ付けします。スイッチソケットはキースイッチが差し込まれるときに強めの力がかかるパーツです。しっかり固定するために、はんだが少なくなりすぎないようにしてください。(はんだが多ければいいというわけでもありません)

はんだ付けがすんだらソケットが浮いていないか、基板を斜めから見て確認してください。浮いているソケットがあったら、ピンセットでソケットを軽く押さえながら、パッドやそこに接しているソケットの金属部分にはんだごてを当てます。はんだが溶けたらソケットの浮きが解消しますので、はんだごてを離します。ソケットが浮かなくなったか、基板を斜めから見て確認しましょう。

すべてのスイッチソケットについて片方のパッドをはんだ付けできたら、メイン基板を裏返します。スイッチソケットが落ちたらそこははんだ付けもれです。改めてスイッチソケットをセットし、はんだ付けします。
次はスイッチソケットの反対側のパッドをはんだ付けしていきます。今まではんだ付けしていた基板の右端と左端を入れ替えるように、基板を180度回転させます。これで、今までと同じ体勢で反対側のパッドをはんだ付けできます。
- これを

- こうする

先ほどと同じように、すべてのスイッチソケットをはんだ付けしていきます。スイッチソケットはすでに固定されていますので、ソケットが斜めになっていないか確認する必要はありません。はんだ付けもれが出ないよう気をつけながらはんだ付けしていきます。
これでスイッチソケットのはんだ付けは完了です。
LEDのはんだ付けと点灯テスト(10分~15分程度)
LED関連の組み立ては以下の順序で行います。
- LEDのはんだ付け(5~10分程度)
- LEDの点灯テスト(5分未満)
パッケージの透明ビニールをピンセットで剥がし、中からLEDを取り出します。下の写真は点灯する面が上になっています。はんだ付けする際はこれを裏返します。またLEDには4つの金属部分(足)があります。足は一つだけ、端が斜めに欠けています。これは、欠けた足を「Gnd」の端子にはんだ付けすることを表しています。

メイン基板上に4つあるパッドの1つに予備はんだを行います。
予備はんだは、はんだ付けの前にパッドに少量のはんだを盛り付けることをいいます。こうしてから部品を置き、部品をピンセットで押さえながら、予備はんだしたパッドのはんだをはんだごてで溶かします。そしてはんだごてを離すと部品が固定される寸法です。これは表面実装タイプの部品をはんだ付けするときのテクニックです。
ここでは「Gnd」にほんの少しはんだを盛り付けました。これで予備はんだができています。

LEDは、メイン基板の「LED1」と書かれている側から見て、点灯する面を下にして置きます。「Gnd」のパッドに、斜めの欠けがある足が来ていることを確認してください。

ピンセットでLEDを押さえながらパッド上の予備はんだをはんだごてで溶かし、LEDを固定します。LEDは熱に弱いので、はんだ付けは手早く行ってください。
続いて3つの足をはんだ付けしましょう。1か所はんだ付けするたびに少し待ち、LEDが冷めてから次のはんだ付けを行います。2か所はんだ付けしたら先ほどと同じように基板を180度回転させて、残る2か所をはんだ付けします。Gndの足にも少しはんだを盛り付けます。

ここで、メイン基板をパソコンに接続してLEDが点灯するかチェックしましょう。
USBケーブルでメイン基板をパソコンに接続します。ケーブルはパソコンとメイン基板のどちらを先につないでもかまいません。
すると、先ほどはんだ付けしたLEDが赤く点灯します。無事点灯したらケーブルを抜き、次の手順へ進んでください。

もしLEDが点灯しなかったら、まずLEDのはんだ付けか所を見直してください。LEDがきちんとはんだ付けされていなかったり、LEDの向きや表裏が違っている可能性や、LEDが熱で焼損した可能性があります。向きや表裏が違うだけならはんだ吸い取り線を使ってLEDを取り外し、はんだ付けし直します。LEDのはんだ付け向きに間違いがないなら新しくLED(SK-6812MINI-E)を調達し、やはりはんだ吸い取り線を使ってLEDを外し、新しいLEDに交換します。それでもLEDが点灯しなかった場合はX(@yimamura)のDMなどへご連絡ください。
(オプション)AZ1UBALLの組み立て(20~30分程度)
トラックボールユニットのAZ1UBALLをThumbShift2に取り付ける場合の手順です。
- AZ1UBALLにピンヘッダをはんだ付け(10分程度)
- ピンソケットをメイン基板にはんだ付け(5~10分程度)
- AZ1UBALL本体の組み立て(5~10分程度)
まずAZ1UBALL用のシングルピンソケット(4ピン)を、ダイオードをはんだ付けした面からメイン基板に差し込みます(※ピンソケットはまだはんだ付けしません)。

ピンヘッダのピンのうち、短い方をさらに0.5~1ミリ程度短くします。ピンヘッダの短い側が2~2.5ミリ程度となる状態が理想です。下の写真は、左がシングルピンソケットにそのままピンヘッダを差し込んだところです。ピンソケットとピンヘッダの樹脂パーツに少しすき間ができています。右はすき間がなくなるよう、ラジオペンチで調整したものです。

メイン基板から順に、シングルピンソケット-ピンヘッダ-AZ1UBALLの下の基板(左右に計12個の穴が空いているほう)の順に重ねます。ピンヘッダは短くした側のピンをピンソケットに差し込みます。

参考のため、AZ1UBALLをこの高さにして完成したときの状態を示します。
- Choc v2キースイッチを使う場合

- CherryMX互換キースイッチを使う場合

AZ1UBALLをもっと低くし、かつ取り外せるようにしたい場合は、ピンヘッダからピンを引き抜いてピンのみはんだ付けする方法があります。詳しくは「コンスルーピンヘッダの代わりを探して - @74thの制作ログ」や「6. RP2040-Zeroの取り付け - Teihai70H ビルドガイド(組立手順説明書) | blog.alglab.net」を参照してください。これでAZ1UBALLの高さをピンヘッダのパーツ分(多くの場合2.5ミリ)低くできます。はんだ付けの際にははんだを流し込みすぎないよう、十分注意してください。
さて、ピンヘッダのピンはAZ1UBALLの下基板から出ている状態ですので、これをニッパーで切断しはんだ付けします。

次にAZ1UBALLをマスキングテープで固定します。

メイン基板を裏返し、ピンソケットをはんだ付けします。

これで全組み立て工程のうち、はんだごてを使う作業は終了です。お疲れさまでした。
マスキングテープをはがし、AZ1UBALLをメイン基板から取り外して組み立てます。AZ1UBALLの組み立て方は「組み立て方 - AZ1UBALL」を参照してください。

組み立てたAZ1UBALLを裏返すとこのようになっています。

キーボード全体の組み立て(25分程度)
最後に、キーボード全体を組み立てます。
- メイン基板とスイッチプレートを重ねてキースイッチを装着(10分程度)
- ボトムプレートにスペーサをねじ止め(5分未満)
- ボトムプレートにスイッチプレートを重ねてねじ止め(5分未満)
- キーキャップとAZ1UBALLを装着(10分程度)
スイッチプレートの1か所、四隅のどれかにキースイッチを装着します。キースイッチの向きに十分注意してください。Choc v2キースイッチはキースイッチのピンが手前に、CherryMX互換キースイッチはピンが奥に来るように装着します。Gateron Low Profile 3.0キースイッチの場合はCherryMX互換キーと同様、キースイッチのピンが奥に来るように装着します。

スイッチプレートの下にメイン基板を持ってきます。スイッチプレートとメイン基板を重ねたとき、スイッチプレートのすべてのキー穴にメイン基板のスイッチソケットが見えていることを確認し、スイッチプレートごしにキースイッチをメイン基板に装着します。

一つに重なったスイッチプレートとメイン基板を裏返してみましょう。キースイッチがスイッチソケットにきちんと装着されていると、ソケットの金具にキースイッチのピンが刺さっているのが見えます。

スイッチプレートの四隅の残る3つにキースイッチを装着します。これでスイッチプレートとメイン基板がずれなくなります。

キースイッチをすべて装着してください。

ボトムプレートにスペーサを7か所ねじ止めします。

AZ1UBALLを装着します。AZ1UBALLの裏を見て、「SDA」「SCL」「VCC」「GND」の刻印が合う向きでピンソケットに装着してください。

ボトムプレート上にスイッチプレートを置き、7か所をねじ止めします。

キーキャップを装着します。

最後に必要に応じて、オプションに示したすべり止めのゴム足をボトムプレートに取り付けます。
これでThumbShift3は完成です。お疲れさまでした。
(オプション)アクリルのデコレーションプレートと枠を取り付ける(5~10分程度)

ThumbShift3にはオプションとして、アクリル製のデコレーションプレートと枠を追加できます。設計図は以下です。サイズは450ミリ×300ミリ、厚さは2ミリを想定しています。

アクリルカットのデータは以下からダウンロードできます。これを遊舎工房などにカット依頼します。
- 「
ThumbShift3_LaserCut.afdesign」(968KB、Affinity Designer 2形式)
- 遊舎工房のレーザーカットサービス:
レーザー加工サービス (その1) - 遊舎工房
(マット乳半だと4,270円)
(2025/12/24追記)遊舎工房にアクリルカットのデータを登録しました。データをアップロードせずThumbShift3を指定するだけでも、必要なパーツをカットしてもらえます。
キーボードアクリルプレート(ThumbShift3 アクリル枠&デコレーションプレート - 2mm)
(マット乳半だと6,430円。自分でデータを送信するよりなぜかお高い)
枠はL字の下パーツ、棒状の上パーツ、「コ」の字の右パーツの3つの組み合わせで1層を作るようになっています。Choc v2キースイッチを使っている場合は枠を2層、CherryMX互換キースイッチを使っている場合は4層使います。
スイッチプレートのねじを7か所外して取り外し、枠を2層、または4層分取り付けます。CherryMX互換キースイッチの場合、7か所のスペーサは添付の4ミリではなく8ミリに交換します。Gateron Low Profile 3.0ではスペーサは6ミリ、枠は3層が適合するようです。(未確認です)

スイッチプレートを置き、その上にデコレーションプレートを載せ、8ミリのM2ねじで7か所をねじ止めします。これで完成です。

上の写真のアクリルは「マット乳半」という色です。アクリルカットの色は、遊舎工房ではガラス風や不透明でカラフルなものなどさまざまに選べます。ぜひ個性を演出してみてください。黒いアクリルにする場合は、スイッチプレートとボトムプレートの側面をマジックで黒く塗ると一体感が出るでしょう。
うまく動作しないときは
ThumbShift3が思ったように動作しないときは、X(@yimamura)のDMなどでご相談ください。下の記事をご覧になって、問題点を絞り込んでおいていただくと解決が早くなると思います。
ThumbShift3のキーアサインと使い始め
ThumbShift3のデフォルトのファームウェアは、以下のようなキーアサインになっています。

おそらくLEDが明るすぎると思うので、まずはこれを暗くしてみましょう。左下の「Adj」キーを押しながら「,(カンマ)」のキーを押すごとにLEDが暗くなっていきます。暗くなりすぎたら「Adj」+「K」で明るくできます。色合いを変えるときは「Adj」+「H」/「N」、色の鮮やかさを変えるときは「Adj」+「J」/「M」を押してください。
画像の一番下は左下の「Adj」キーを押すか、AZ1UBALLの使用で切り替わるレイヤーです。トラックボールを動かしている間と動かし終えて1秒間、このレイヤーにとどまります。
Bキーの「scroll button *toggle」について説明します。これはAZ1UBALLの動作モードをマウスポインタの移動からスクロールに切り替えるキーです。動作モードの切り換えはトグルなので、Bキーを離してもトラックボールのモードは維持されます。スクロールモードからマウスポインタの移動モードに戻したい場合は、トラックボールに触りながらBキーを押すか、「Adj」キーを押しつつBキーを押します。
ThumbShift3の使い始めはBackSpaceキーが右上にないことに戸惑うでしょう。左手の親指で入力します。Enterキーも慣れれば右手の小指ではなく親指を使うようになっていきます。そのうちにカーソル移動も、手をホームポジションに置いたままできるようになるでしょう。少しずつ試して慣れていってください。
ThumbShift3のキーアサイン変更
ThumbShift3はVialに対応しており、GUIでリアルタイムにキーアサインを変えることができます。
Vialは「Vial Web」へアクセスするか、単体のアプリケーションをダウンロードして利用します。
操作例を挙げます。ローマ字入力向けに、Pキーの右のキーを「@」から「-」(ハイフン)に変更してみましょう。スクリーンショットはThumbShift2のものですが、ThumbShift3でも操作は同じです。
Vialを起動したら、まず左上のメニューから「File」-「Save Current Layout」を選択し、現在のキーアサインを保存しておきましょう。何かが起きたときにこれを読み込めばデフォルトのキーアサインに戻せます。

「Keyboard Layout」を「QWERTY」から「Japanese(QWERTY)」に変更します。

「@」のキーをクリックします。

画面下部のキー一覧から「-」をクリックします。

「@」のキーが「-」になりました。これでもうキーアサインは変更されています。「メモ帳」などで実際にキー入力してみてください。

これだけだと「@」を入力できないので、レイヤー1の同じキーを「@」に変更しましょう。「Layer」の「1」をクリックします。

「Lsft+^」のキーの「Lsft」部分をクリックして、キー全体が選択されるようにします。(「^」部分をクリックすると「^」だけが選択されます)

下のキー一覧の「@」をクリックすると、レイヤー1の当該のキーで「@」を入力できるようになりました。

レイヤー1の「@」キーを「Lsft+^」に戻すには、キーをダブルクリックして「LSFT(KC_EQUAL)」と入力します。
Vialの詳しい使い方は以下の記事を参考にしてください。
ファームウェアのアップデート方法
ThumbShift3のファームウェアがバージョンアップすることがあります。最新のファームウェアは以下からダウンロードしてください。最新のファームウェアの日付がご購入日より後だった場合、ThumbShift3に新しいファームウェアを書き込むとよいでしょう。
USBケーブルでThumbShift3とパソコンを接続した状態で、ThumbShift3の裏にある「RESET」ボタンを素早く2回押します。

すると「RPI-RP2」という名前のストレージがパソコンにマウントされ、エクスプローラーが起動します。

(画像内の「K:」というドライブレターは使用環境によって変わります)
この中に、ダウンロードした最新のファームウェアをコピーします。

コピーが終わると「RPI-RP2」のマウントが自動的に解除されます。これで新しいファームウェアは書き込まれました。この状態ですでに、ファームウェアが新しくなったキーボードとして動作しています。
(オプション)写真を撮ってSNSに上げたりする
ThumbShift3が完成したら、写真やビルドログ(組み立ての様子を記録した記事)をぜひネットに上げてください。Xではハッシュタグに「#ThumbShift3」を使っていただけるとこちらから見つけやすくなります。よろしくお願いします。
またXでは毎週日曜に「KEEB_PD」というキーボードの写真を見せ合う企画が開催されています。こちらもご利用ください。

























