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H-IIAへの衛星相乗りがもっと普通のことになりますように

今日、H-IIAロケット15号機が種子島宇宙センターから打ち上げられました。主衛星は温室効果ガスを測定する「いぶき」です。

今回はこのほかにも、7つの小型衛星が相乗りしていました。「いぶき」のほか、各衛星からの信号はほぼどれもキャッチできたようでなによりです。人工衛星はロケットと違って、打ち上げてからの運用が大変です。よい成果が上がるといいですね。

JAXA|相乗り衛星の概要
http://www.jaxa.jp/countdown/f15/overview/sub_payload_j.html

ニュースを見ていると「こういう試みは初めてだそうです」という言葉をよく聞きました。それはたぶん、H-IIAロケットで民間の衛星を相乗りさせて打ち上げたこと、が初めてという意味でしょう。

日本のロケットでということでは、すでにM-Vロケット8号機が2006年2月22日、主衛星「あかり」とともに東工大の小型衛星「Cute-1.7+APD」を打ち上げています。

それだけでなく、日本ではすでに、複数の大学が(商業衛星でない)小型衛星をいくつも打ち上げ、運用しています。

じゃあそれはどうやって打ち上げたのかというと、日本のロケットではなくロシアのロケットだったのでした。

学生が作る小型衛星として「キューブサット」という名前がよく知られています。この名は今は固有名詞ではなく、一辺10センチ、重さ1キロを基準とした小型衛星の総称として使われています。

たとえば、東大と東工大が作ったキューブサット「XI-IV(サイ・フォー)」と「Cute-I(キュート・ワン)」は、2003年6月30日にロシアのロケット「ロコット」で打ち上げられました。これらは打ち上げから実に5年半を過ぎた今でも稼動しており、宇宙からデータを送ってきています。

実はこれらの人工衛星は完成後しばらく、打ち上げられることなく保管されていました。当初打ち上げに使う予定だった海外のロケットが使えなくなったためです。

このころから、日本のロケットにこの種の小型衛星を相乗りさせてほしいという要望は出ていたことと思います。だって日本はロケットを持っているわけですから、日本の大学が作った人工衛星を日本のロケットで打ち上げることができるはずです。

それでも当時は結局、数百万円の打ち上げ費用をロシアの会社に払って、ロシアで打ち上げてもらうことになったわけでした。

その後約3年で、研究のための科学衛星を打ち上げてきたM-Vロケットに民間の小型衛星が相乗りし、それからさらに約3年たって、日本の基幹ロケットH-IIAにも民間の相乗り衛星が搭載されたのでした。

ニュースでは「若い人たちが作った人工衛星を打ち上げるチャンスがもっと広がるといいですね」というようなことも話されていました。実際に、今回H-IIAロケットに相乗りした人工衛星は、そういう公募プログラムで選ばれたものでした。相乗り衛星の公募は今後も続けられるそうで、とても喜ばしいことです。人工衛星を作ってもなかなか打ち上げられなかった時代は、こうして過去のことになっていくのでしょう。

一方で、日本の基幹ロケットに民間の小型衛星を相乗りできる体制が整うまで、5年以上かかったのも事実です。

お役所仕事なJAXAにしては早いかもしれませんし、JAXAの大型衛星開発が10年スパンであることを考えるとそんなものかもしれません。

しかし学生にとって5年は、あまりにも長い期間です。最初のキューブサットでも、打ち上げロケットを探す間に、衛星を作った学生が次々と卒業してしまいました。

こういうことがなるべく起きないよう、すでにモノがあるならすぐにでも使えるしくみを作っていってほしいと思うのでした。