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基幹ロケット高度化に関する記者説明会

日時

  • 2015年10月30日14:30~

登壇者

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(image credit:JAXA

  • JAXA一宇宙技術部門 基幹ロケット高度化プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 川上道生(かわかみ・みちお/写真右側)
  • 事業推進部 計画マネージャ 森有司(もり・ゆうじ/写真左側)

配付資料PDF

中継録画

※01:00くらいに始まります

本年11月24日に行いますH-IIAロケット29号機によるTelesat社の通信放送衛星Telestar12VANTAGEの打ち上げは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構JAXA)が行う基幹ロケット高度化プロジェクトで開発した技術のうち、静止衛星打ち上げ性能の向上に関する開発成果を用いて行われます。
打ち上げに先立ち、基幹ロケット高度化について、その目指す姿やシステム概要に関する説明を行います

基幹ロケット高度化に関する記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!

解説動画

H-IIAロケット(高度化仕様)イメージCG

高度化仕様のロケットは、宇宙空間を長時間飛行(ロングコースト)し、エンジンに再々­着火できるように改良しています。このCGでは次の点などをご覧いただけます。

  • 太陽光によるロケット燃料の蒸発を少なくするため、液体水素タンク表面を白く塗る
  • 電子機器が太陽光により高温になるのを防ぐため、ロングコースト中、太陽光に対しロ­ケット機体の姿勢を垂直に保ち、機体をゆっくりと回転(バーベキューロール)させる
H-IIAロケット(高度化仕様)イメージCG - YouTube

H-IIAロケット(高度化仕様)軌道CG

このCGでは、静止軌道へ衛星を打ち上げるとき、それぞれの場合でロケットと人工衛星­がとる軌道を解説しています。

  • ロケットを赤道上から打ち上げ
  • 現行のH-IIA種子島から打ち上げ
  • 高度化仕様のH-IIA種子島から打ち上げ
H-IIAロケット(高度化仕様)軌道CG - YouTube

基幹ロケット高度化について(川上)


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基幹ロケット高度化/H-IIAロケットのステップアップ

なにかのゴールを目指すのではなくひとつの理想型をということ

ロゴマークもある

目次

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背景、目的

背景

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世界最高水準の信頼性

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H-IIAロケットの課題

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課題とプロジェクトの取り組み

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プロジェクトの開発項目

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大型ロケット技術のステップアップ

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高度化開発の3本柱(1)静止衛星打ち上げ性能の向上

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静止衛星の打ち上げ

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世界の打ち上げロケット

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商業衛星の打ち上げ実績

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静止衛星打ち上げ性能の向上(1)

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静止衛星打ち上げ性能の向上(2)

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静止衛星打ち上げ性能の向上(3)

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動画で解説:H-IIAロケット(高度化仕様)軌道CG

このCGでは、静止軌道へ衛星を打ち上げるとき、それぞれの場合でロケットと人工衛星­がとる軌道を解説しています。

  • ロケットを赤道上から打ち上げ
  • 現行のH-IIA種子島から打ち上げ
  • 高度化仕様のH-IIA種子島から打ち上げ
H-IIAロケット(高度化仕様)軌道CG - YouTube
主要開発内容

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長時間飛行技術の獲得

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(1)機体システム熱制御

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(2)液体水素タンク遮熱コーティング

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(3)エンジン冷却機能の改良

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(4)推進薬液面保持機能の改良

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(5)搭載機器改良

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2段エンジン再々着火技術

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商業衛星打ち上げ実績とカバレッジの拡大

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高度化開発の3本柱(2)衛星搭載環境の緩和

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衛星搭載環境の緩和(1)

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火工品で締め付けているバンドを切るのが従来方式。確実だが4000Gと大きな衝撃がかかる。世界的には2000G程度が現在の標準。

衛星搭載環境の緩和(2)

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高度化開発の3本柱(3)地上レーダ不要化に向けた航法センサ開発

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地上レーダ不要化に向けた航法センサ開発

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H-IIAロケット29号機、30号機での計画

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H-IIAロケット29号機、30号機での計画

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H-IIAロケット29号機での計画(1)

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H-IIAロケット29号機での計画(2)

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H-IIAロケット29号機 2段機体VOSの様子

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H-IIAロケット30号機の計画

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おわりに

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(参考)Telstar

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(参考)静止軌道

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質疑応答

日刊工業新聞とみい:「静止化増速量」とは

川上:ロケットから分離された衛星が静止軌道に入るために必要な増測量のこと。
分離時の速度と最終的な速度の差と思っていただければ。
速度の差が1,800m/sとあるのを減らした方が衛星に必要な燃料が少なくすむ。

とみい:今回の高度化で衛星の燃料はどのくらい減らせるのか

川上:概算ですが1,500/1,800くらい。制御用の燃料もあるが軌道投入用の燃料としては。

とみい:全体でも必要な燃料は減るのか

川上:その通り。

読売新聞とみやま:スライドの12ページでいうと1,830m/sを1,500m/sに減らした結果として衛星の寿命を数年増やせるのか

川上:その通り。

とみやま:衛星に搭載する燃料をどのくらい減らせるかは計算できるのでは

川上:衛星そのものの質量なども関係するので一概には。

とみやま:では1,500/1,830はなんの数字か

川上:推力と秒時。それにおいて推進薬を減らせる。

とみやま:今回はどのくらい減っているのか

川上:1,800を1,500にすると推進薬を減らせる。現在の衛星は1,500で大丈夫な設計になっているので、1,800必要なときどのくらいの推進薬が必要かは仮定の話になって答えづらい。

森:デルタVとして1,500m/sの推進薬を持つ衛星が最近出てきている静止衛星の標準。これは今までのH-IIAでは打ち上げられなかった。
デルタV1,500m/sを持つ衛星、現在の静止衛星の半分に対応できるようになるということ。

とみやま:エネルギーでいうと1,500/1,800という割合でいいのか

川上:加速度かける時間ということでよいかと。

とみやま:静止軌道に遷移するための燃料を減らせたということか

川上:その通り。

産経新聞くさか:高度化の開発期間と費用は。また高度化によって衛星を打ち上げたい側にとって打ち上げコストはどのくらい変化するのか

川上:本格的な開発が始まったのは平成23年から。開発費は92億円。打ち上げ価格は打ち上げ事業者さんに聞いてほしいというのが回答になる。

くさか:高度化で費用は増えるのか

川上:大きくは変わらない。増える部分もあるがコストダウンもしている。
ほぼ同水準といってよい。

くさか:打ち上げのGの低減について。今まで瞬時に大きな力を出せるからこそ火工品を使っていたとのことだが新方式にしたときなにが変化するのか

川上:火薬は便利なもので分離機構をコンパクトにできる。衝撃軽減でしくみが多少複雑になる。シンプルですむところは相変わらず火工品を使用。

くさか:今まで使われてきたのは大きな力を瞬時に与えられるからではない?

川上:結果的にそうなっていたということ。

時事通信かんだ:高度化によってカバレッジが増えたとのことだがそれによってアリアン念頭で作られていた衛星を打ち上げられるということか

川上:直接的には三菱重工さんがなさっているので聞いていただければ。これまでH-IIAで打ち上げることをハナから考えられなかった衛星を上げられるようになる。

かんだ:高度化の技術要素のうち、まったく初めてというものはあるか

川上:18ページからいくと、熱制御はいろいろやってきた。白色塗装もはやぶさ2(26号機)で実績がある。
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エンジン冷却機能の改良は24号機、26号機で。液面保持の改良は初めて。大容量電池はH-IIAでは初めてだが電池自体の使用には実績がある。アンテナもH-IIBでの利用実績がある。スロットリングは実験的には実績がある。しずくのとき? H-IIAの2号機。
航法センサは新開発。

読売新聞ちの:H-IIAで初めて商業衛星を上げることになるが初の商業打ち上げで高度化するにあたって打ち上げ費用をディスカウントしているのか

川上:ロケットの打ち上げは実績が重視されるのが普通なのできちんとご説明してご理解いただいている。費用についてはJAXAは承知していない。

ちの:なにかあったら責任はJAXAが?

川上:打ち上げサービスはMHIが。高度化開発はJAXAで。

朝日新聞すどう:現行の衛星分離の近日点はどのくらいの高度か

川上:29号機では(32、33ページ)高度200キロあたりかと思う。
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すどう:制御下にあるロケットとしては最も遠くへ行くことになるのか

川上:衛星と長時間、これほど長く一緒に飛ぶのは初めて。

すどう:従来打ち上げから30分ほどで成功会見だったがこれからは4~5時間あとになる?

川上:そうなるかと思う。

共同通信ひろえ:世界の静止衛星の半分程度を打ち上げられるようになるとのことだが具体的な数字を知りたい。どういう衛星が1,800m/sで今後どういう衛星が1,500m/sになるのか

川上:年間20機ほどの静止衛星が打ち上げられている。ファルコンは1,800m/sの打ち上げを実施している。
1,800m/sと1,500m/sで衛星の目的が違ったりはしない。寿命が異なるだけ。

ひろえ:地上施設の老朽化について

川上:(資料29ページ)ロケットの周囲や、追尾設備(種子島だけでなく小笠原などにもある)に更新費として億単位の費用がかかる。
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森:長期的な費用も見ると建て替えという規模になり数十億円規模がかかるようになる。
種子島の射場設備はロケット固有。H-IIAH-IIBそれぞれに専用の設備が必要。一方、追尾設備はロケットの種類が変わっても仕様は大きく変わっていない。ものによってはH-Iの時代から使っているものもある。そのぶん老朽化更新が待ったなしになっている面もある。

ひろえ:ロケットの温度がどのくらい上がるようになるのか

川上:温度が上がらないような方策をとっている。なにもしないとどうなるかというのは答えにくい。

ひろえ:温度が上がって恐いのは

川上:温度の高さというより入熱が長時間あるので衛星に近いセンスでの制御が必要になってくる。

NVSさいとう:高度化が完成し2段目に適用するかはMHIの判断になると思う。高度化しない機体もオプションとして分かれるのか

川上:その通り。

さいとう:JAXAや日本で打ち上げる静止軌道や準天頂軌道への衛星は1,500m/sに合わせて作られるようになるのか。今後の衛星とのつながりは

川上:具体的なところは承知しないが従来1,800m/s相当の燃料を用意していたところ減らせるので幅が広がることを期待している。

森:(資料24ページ)1,800m/sで今後打ち上げるメリットとして202を使うとなると約4トン。
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(…)約3トンに目減りする。1,500m/sですむとなれば搭載機器を増やせる。
選択肢の幅が広がることになる。

毎日新聞さいとう:高度化に一番貢献しているのはどの技術か

川上:どれもですというのが答えになる。ひとつとして不要な変化はない。

さいとう:一番難しかったのはどれか

川上:苦労したのはエンジンの開発になるかと思う。(資料23ページ)第2段エンジンの開発試験を参照。
これは実験的にH-IIの2号機で行ったことはあった。

さいとう:H-IIの2号機のあと何年間も開発を続けていたのか

川上:高度化開発にあたって集中的に開発した。

さいとう:資料24ページの図について。H-IIAで打ち上げている衛星の種類について
このページのタイトルは正しくは「商業衛星」ではなく「静止衛星」となるのか
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川上:その通り。

(?):衛生環境を世界水準以上に緩和というが1000Gになるのか

川上:その通り。

(?):衝撃試験について

川上:(資料26ページ)衛星分離時のみならずフェアリング分離時などいろいろな衝撃があり、衛星分離の衝撃が大きいのでこのようになっている
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(?):将来有人ロケットを作るにあたって、たとえばソユーズより快適といったことになるのか

森:将来どういう形で輸送系を発展させていくかはいろいろ議論があるが要素的な技術は発展させていきたい。

産経新聞くさか:24ページの図について確認。H-IIAの打ち上げ衛星も含まれているということは(今までH-IIAは商業衛星を打ち上げていないことから)「静止衛星」ということでよいのか
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川上:その通り。

くさか:H-IIIで対応衛星のカバレッジの拡大については

森:H-IIIではデルタVが1,500m/sを基準に。全体の半分よりさらに大きなカバレッジを持つロケットを開発していきたい。

時事通信かんだ:航法安全について。信頼性が大事と思うが工夫は

川上:信頼性を確保するだけでなく複数の飛行機会で確認し確信を持てた段階で移行。
内部的に冗長系を持たせたり複合航法を利用したりして万全なシステムにする。

(以上)