と武田信玄は言い遺した。そして影武者としてスカウトされた男が数奇な運命をたどる。これが黒澤明の映画「影武者」のあらすじだ。
日本時間の今晩遅く、マックワールド・サンフランシスコというMacのイベントが開催される。基調講演はいつもならスティーブ・ジョブズだが今回、健康上の問題を理由に欠席することになった。代わりの人が基調講演を行うそうだが、プレゼンがものすごくうまいジョブズの話芸を見られないのは残念だ。
それどころか、このところまたまた激やせしているジョブズの健康が心配だ。聞くところによると膵臓ガンの噂があるそうで、これもまた又聞きながら、膵臓ガンは転移しやすく治療が難しいらしい。
それでもし、もしものときのためにジョブズが言ったらどうなるか。
「わしの死は三年の間伏せておけ」。
いやまあ影武者戦略は戦国時代であればこそ。敵は武田信玄の顔を知っている人を探すことすらひと苦労だったから成り立つ話だ。この現代に、スティーブ・ジョブズの影武者を本当に立てるなんて、難しいどころの話ではない。難しさでいえば、ジョブズがいないアップルでジョブズ的哲学を実現する製品を作るほうがまだ楽かもしれない。
そもそもアップルは株式を公開している会社なのだから、影武者を立てるとか無理でしょう。
武田軍が株式会社だったらどうなるか。株式会社武田軍。
いや変な方に考えがいってしまった。
今の時代に影武者を立てそうなところってほかになにがあるだろう。あっあれだ、あそこなら現代でも影武者を立てるかもしれない。
株式会社北朝鮮。
正式名称、株式会社朝鮮民主主義人民共和国。
なんとも奇妙な名前、というかこれだと存在矛盾?
でも影武者を立てても、みんなあんまり驚かないだろう。そう考えられている国ってなかなかない。まことにふしぎの国だ。