パソコンの操作を人に見せていて、ウィンドウを切り換えるのに[Alt]+[Tab]キーを使うと「今それ何したんですか!?!?」と聞かれることがある。
「[Alt]キーを押しながら[Tab]キーを押すと、ウィンドウを順次切り換えられるんですよ。ほらこう」「おおー、知らなかった」「[Alt]+[Shift]+[Tab]で逆方向に」「おおおー」となったりする。デスクトップ最下部のタスクボタンをいちいちクリックせずにすむ、便利な操作である。
これはWindows 95の時代からできる由緒正しい操作なので、「まさか知らない人がいるとは」みたいに思う人もいるかもしれない。でもこの操作、知らない人がたまたま知る機会が少ないせいか、思いのほか知られていないと感じる。
自分の場合は、パソコンのちょっとしたテクニック、いわゆる「Tips(チップス)」集が好きだし、「次のWindowsの新機能は」的な記事も読むので、「実はこうできる」みたいな操作を知る機会が多い。こうして覚えた操作によって、仕事の生産性が上がると実感できるし、そもそもコンピュータが好きだからコンピュータの知識が増えるのが楽しい。
でも自分と違って、世の中の大半の人は別にコンピュータそのものが好きなわけではなくて、仕事上必要だから使っているにすぎない。そういう多くの人がちょっとした便利な操作を覚えれば、結果的に社会全体の生産性が向上するだろう。
でも実際は、なかなかそうはならない。最低限の操作方法がわかればそれでよしという人は、他人の操作をたまたま見て「今それ何したんですか!?!?」と聞くチャンスがなければ、便利な機能があることすら知らず、生産性は変化なしだ。
「ひとまずできる」ようになった人が次に「効率よくできる」ようになるステップアップは軽視されがちで、人から人への口伝(くでん)でしか、便利な機能や操作の知識が伝わらない。
そしてそれをなんとかしたいなーと、長いこと考えているのだった。
そういうテーマでよく考えるのは、たとえばこういうこと。
- たくさんの便利な操作を「テクニック200」とかまとめて示しても、興味を示すのは自分のようなコンピュータ好きだけ
- コンピュータ好きにとってあまりに基本的な操作や機能であっても、知らない人は知らないもの
だからこの種の知識を無理なくたくさん伝えるには、基本的すぎる話を、少しずつ頻繁に送り出すのがよさそうだと思ったりする。
(「週刊はてな塾」はその点で好きでした)
(あとはてなダイアリーの編集画面には毎回違うTipsが表示されるようになっていて、これもとてもいいことだと思う)
社会全体の生産性が上がれば、こちらが楽をできるかもしれない。仕事をする本人だって自分の生産性が上がれば、仕事をたくさんこなしたり早く終わらせたりできて、そうすれば結果的に給料が上がったりして嬉しいだろう。
そして最終的に、全員がいい感じになるといいなあ。
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