和解では判例にならない、という意見を聞いた。なるほどね。従業員による発明の対価が一律数万円という「スレイブ」な状況に風穴を開けたのは大いに評価されるべきだが、結局、裁判での決着は見送られた形だ。
驚いたのは、テレビで見た街頭インタビュー。「開発のリスクは企業が負っており、従業員はノーリスクなのだから発明の対価はごく少なくてよい」という主旨の話をしている人がいた。従業員がリスクを負わない状況とは、開発に失敗してもその従業員の評価に響かないということである。すごい会社にお勤めですね。役所のようだ。
本を作るという製造業に、編集=開発という立場でたずさわっている者としては、そんな会社には絶対入りたくないものだと思った。売れるも売れないも自分の責任だ。