10月3日~4日に東京ビッグサイトで「Maker Faire Tokyo 2020」が開催された。
- Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan(https://makezine.jp/event/mft2020/)
今年のMaker Faire Tokyoが10月開催になることは以前から決まっていた。東京オリンピックの影響である。そのあと新型コロナウイルスの蔓延でMaker Faire Tokyoの開催そのものがどうなるかわからなくなったが、規模を縮小して行うことになった。
今回の出展者数は200ほど。去年はオリンピックの影響で会場が狭くなり350だった。2年前は600だったから、1年ごとに6割に減っている。
なにしろ今年はこれで全部ですからね。
(3倍速ですが酔いそうなら動画の再生速度を落としてご覧ください。Shift+,(<)で遅くなりShift+.(>)で早くなります)
今回の会場はこの端から端までしかないので全部見て回るのも大変ではないでしょう #MFTokyo2020 pic.twitter.com/k82Ka6MWEM
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020
「Make: Japan | 「Maker Faireを持続可能にするには?」セッションレポート、そして議論の今後の展開について #MMFS2019」にはMake: Tokyo MeetingからMaker Faire Tokyo 2018までの出展者数のグラフがある。
Make: Japan | 「Maker Faireを持続可能にするには?」セッションレポート、そして議論の今後の展開について #MMFS2019
これによると、今年の出展者数は2010年の「Make: Tokyo Meeting」のころと同じということになる。10年前、会場が東工大だったころだね。1日で十分回りきれる、今思えばのどかな時代だった。
当日のツイートと撮影した写真や動画から。
- 入場待機列もソーシャルディスタンス
- 入口で体温測定
- A02-01「ヒゲキタ」
歩く恐竜は子供がついていきたがる #MFTokyo2020 pic.twitter.com/1LzOzEk1Sl
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020
立体映像のヒゲキタさんは今回、恐竜になって会場を歩き回り子供に大人気だった。一歩ごとにしっぽが左右に揺れるのがよかった。
- B01-07「のるLAB」
- アクリルの積層で作る立体造形
- B02-03「パンタグラフ」
B02-03「パンタグラフ」ゾートロープと鑑賞用カメラアプリを展示。肉眼では回転しているだけだけどアプリを通すとゾートロープが動いて見える。アプリは今日と明日だけ無料だそうです https://t.co/Ye5Cj3LO13 #MFTokyo2020 pic.twitter.com/dhTDEoO1VL
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020
下はアプリを使って16fpsで撮影。
こちらは11fps。作品ごとに最適なフレームレートが違うそうだ。
- B03-05「D棟ものづくりクラブ」
B03-05「D棟ものつくりクラブ」画像認識で黒板消しが動いて自動で黒板をきれいにしてくれるはずの「チョークリーナー」。会場の明かりの関係かキャリブレーションに苦労していてあらぬ方向へ動いたりするところがかえってかわいい。「萌え」の源流を感じる #MFTokyo2020 pic.twitter.com/U6LDUMGgtP
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020- C01-03「交通デザイン研究所」
- 「着るモビリティ モビルウェア マーク2」。安部公房の箱男か、小川一水「天冥の標」のカロリー自決装置か。
こちらはレポート記事もあります。
- C03-03「新里 祐教」
C03-03「新里佑教」超電導量子コンピュータにおけるQPU内部の量子ビットの動きをクラドニ図形で視覚化したもの…と言われてわかります? 少なくともこれは量子コンピュータではないようです #MFTokyo2020 pic.twitter.com/eYQDTKCtpj
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020
量子コンピュータそのものではなく、概念を可視化しているとのこと。これもレポート記事が出ました。大内さんの解説が詳しくてためになる。会場でここまで突っ込んで聞くのは難しい。
- E02-03「TinkerJP」
E02-03「野良雲焼」3Dプリンタで出力した外形から型を起こして焼き物を作っている。釉薬をかけるので3Dプリンタに特有の積層は見えない。この形状は素人には普通に見えるけど、手作業できれいに作るのはとても難しいそう #MFTokyo2020 pic.twitter.com/a1GTkKVvBF
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020
レポート記事はこちら。
- F04-03「いしかわきょーすけ」
- ずーっとペンプロッタを作り続けている人。継続は力。たくさんの機械の動きが一生懸命に見えてかわいい。
- F04-04「ぷらぎあ工房」
F04-04「ぷらぎあ工房」Leap Motionで手の動きを読み取るロボットハンド。すごく軽快な動き。ジェスチャー入力はなかなか普及しないですねという話をしていて、ジェスチャーデバイスの開発者は腕がムキムキになる「ゴリラハンド問題」があると教えてもらいました #MFTokyo2020 pic.twitter.com/kLzMrKPA6q
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- F06-06「ねくある[NEXT+α]」
F06-06「ねくある[NEXT+α]」ここはアイデアと実装が優れていて毎回見るのが楽しみ。今回は目覚まし時計が鳴るとキノコ型の本体から腕が出てきてワーッとスヌーズボタンを押してくれる「アトゴフンダケ」などを展示 #MFTokyo2020 pic.twitter.com/7AIE3BNYCH
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020
ここはほかにも、1/5の確率でしか正しい時刻が表示されないスロットマシン型腕時計などを展示していた。
- G01-02「mono2qryの部屋」
- 家庭用ゲーム機を裏側に仕込んでゲームセンターのコンパネ風に仕上げたもの。最近各社から発売されている、懐かしいゲーム機のミニ版が大活躍。
- G02-03「KETT AI 研究会」
G02-03「KETT AI研究会」お米の品種判定装置の隣にある「一升瓶精米器」。色の変化をカラーセンサーで読み取る。お米はかなり割れて炊いてもイマイチになるとのこと。電気があるならコイン精米機を使えばよいと考えてはいけない。Make: ブログでも紹介してます https://t.co/Njc9JgxmD1 #MFTokyo2020 pic.twitter.com/TeevplcIxU
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- G03-02「Self Made Keyoboard in Japan」
- 自作キーボードは今年も盛況。「ゆかりキーボードファクトリー」の立体キーボード、Lime40はついに設計がおおむね固まったようで、ベータ版を配布してフィードバックする段階に来ていた。(写真は撮り忘れ…ふだんTwitterなどで本人の開発中写真を見ていると撮らなくていいかと思っちゃう)
- G04-04「工研OB河口湖支部」
- 「お手軽燻製プロジェクト」として台所で燻製を作ることを目標にした。一つは無煙化を目指したもの、もう一つは圧力鍋による時短を目指したもの。
- G05-01「エレクトロニコス・ファンタスティコス! (東京・日立・京都 Orchest-Lab)」
G05-01「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」古い電気製品を音楽に変えるものを作ってきたプロジェクトの「バーコーダー」。バーコードリーダーに間隔の異なる線を読ませるとピッチが変わってスクラッチ風の音が出る #electronicosfantasticos #MFTokyo2020 pic.twitter.com/LVXu1g5OE4
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020- G07-01「菊水電子工業株式会社」
- 創業70周年を記念して自社製品の外観を持つBluetoothスピーカーを発売。「Raspberry Pi 3A+を使用しています/ということは…?」というパネルがあって、「会社から積極的には言えないけど、言いたいことはわかるでしょ?」というメッセージを発していた。
- G07-05「株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)」
G07-05「株式会社IIJ」スマホに流れてくるデータ量に応じて水の流れる量が変わる「IIJの川」。YouTubeを流していると常にデータが来ているわけではなく数秒おきにまとめて来るとか、動きが多い場面になると多く流れるとかがわかるとのこと #MFTokyo2020 pic.twitter.com/dwFViAdQwB
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- G08-02「高エネルギー技術研究室」
G08-02「高エネルギー技術研究所」いつものテスラコイル!30万ボルトの放電に触れることができます。感触は静電気でチクチクする程度。肩こりに効いたりしたらいいなーなんて #MFTokyo2020 pic.twitter.com/tUUgoLwMfY
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- H01-01「necobit(ねこびっと)」
H01-01「necobit」MIDIで動かすロボットバンド。たくさんのロボットが協調して演奏しているのを見るのは楽しいです #MFTokyo2020 pic.twitter.com/gNekVlAoyX
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020
演奏しているのはYMOの「東風」。この曲の「ポエポエ」というくだりが予想以上にちゃんと出てきたのがよかった。
- H01-10「大江戸テクニカ」
H01-10「大江戸テクニカ」カセットテープでスクラッチできるプレーヤー。カセット駆動部はラジカセから流用、一時停止の状態にするとテープを前後させてスクラッチできるようになるしくみ pic.twitter.com/AAvc2k7mOe
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- H02-01「タニウラトモフミ」
H02-01「タニウラトモフミ」既製品の回路をショートさせたりして本来と違う音を出させる「サーキットベンディング」が楽しくて集めたゲームボーイが140台! #MFTokyo2020 pic.twitter.com/dJhmBUw97b
— 今村勇輔 (@yimamura) October 3, 2020- S04-04「AvalonTech株式会社」
S04-04「AvalonTech株式会社」ベルト式3Dプリンタ「Leee」。完成した造形物がベルトコンベアの終わりで自動的にポロリと落ちるので、いくつも連続で出力するとき人がついている必要がない。普通の3Dプリンタを斜めにしてベルトがZ軸になってる構造 #MFTokyo2020 pic.twitter.com/nNOUO3hGwN
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020- 128×128ピクセルくらいの大きなフルカラー液晶つきリュックでゲームの動画を流していた来場者。右のは「クリプト・オブ・ネクロダンサー」ですね
おつかれさまでした〜また来年 #MFTokyo2020 pic.twitter.com/5LpU71g09P
— 今村勇輔 (@yimamura) October 4, 2020
オフィシャルのブログにレポートが上がっている。
- Make: Japan | Maker Faire Tokyo 2020 Day 1レポート― 話題の外骨格恐竜、自宅粒子加速器から電飾サンバ衣装など驚きの作品がたくさん!(https://makezine.jp/blog/2020/10/mft2020_photoreport.html)
- Make: Japan | 「たのしいmicro:bitコンテスト2020」Maker Faire Tokyo 2020にて決勝大会が行われました!(https://makezine.jp/blog/2020/10/microbitcontest2020_mft.html)
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #1 — 1本の糸から立体を編み上げる「ソリッド編み機」(https://makezine.jp/blog/2020/10/mft2020_report_solidknit.html)→Solidknit | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #2 — “着る”モビリティ、交通デザイン研究所の「MOBILE WEAR」がバージョンアップ(https://makezine.jp/blog/2020/10/mft2020_report_mobile-wear.html)→交通デザイン研究所 | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #3 — 3Dプリンタの生成物をものづくりの工程に利用する「野良雲焼」プロジェクト(https://makezine.jp/blog/2020/10/mft2020_report_norakumoyaki.html)→TinkerJP | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #5 — 量子ビットの操作を可視化した「8bit Quantum Computer」(https://makezine.jp/blog/2020/11/mft2020_8bit-quntum-computer.html)→新里 祐教 | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #6 — 原価300ドルのオープンソースリアルタイムPCRマシン「Ninja qPCR」(https://makezine.jp/blog/2020/11/mft2020_ninja-qpcr.html)→久川真吾・まり子 | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo」ストーリー — 数学好きな小学1年生のビジョンを大学生が形にしたボードゲーム「Museum of Mathematics」(https://makezine.jp/blog/2020/11/mftokyo_story_museum-of-mathematics.html)→Ryo × 理科大Fabri. | Maker Faire Tokyo 2020 | Make: Japan
- Make: Japan | 「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #7 — いつだってものを作ってきたメイカーが語り合うパネルディスカッション「メイカーに生まれて」(https://makezine.jp/blog/2020/11/mft2020_report_panel.html)
今年は「ソリッド編み機」の記事を執筆した。これは今回初めての出展で、今後の展開が楽しみだ。
今は新型コロナウイルスの影響で、人と人がなるべく対面しない社会になっている。そんな中、感染対策とともに開催されたMaker Faire Tokyoを取材してみて改めて思ったのは、出展者に作った理由や今後どうしたいかなどを直接聞けるのは貴重な機会なんだなということだった。出展者の方からも、来場者からアイデアやアドバイスをもらったりしてとても有益だったという話を聞いた。
来年のMaker Faire Tokyoはまたオリンピックの影響でこの時期になるのだろうか。そもそもオリンピックもMFTも来年開催できるだろうか。ワクチンの開発が思ったより早く進んでいるから、新型コロナウイルスが今より蔓延していることはたぶんないと思うが先のことはわからない。
過去のMaker Faire Tokyoのリンク集はこちらです。