親指シフトを導入する方法・2020年版

富士通が、親指シフトキーボードと関連製品の販売を終了すると発表した。サポートは最長で2026年まで続くがそこまでだ。

  • 親指シフトキーボード
    品名型名販売終了時期サポート終了時期
    親指シフトキーボード(PS/2接続)FMV-KB6132021年5月2026年6月
    親指シフトキーボード(USB接続)FMV-KB232
    LIFEBOOK親指シフトキーボードモデル
    (企業向けノートPCカスタムメイドオプション)
    FMCKBD09H2021年3月2026年4月
  • 日本語ワープロソフト・入力ソフト
    品名型名販売終了時期サポート終了時期
    OASYS V10.0B5140XD0C2021年5月(*1)2024年5月(*1)
    Japanist 10B514C081C2026年6月(*2)
    • *1 個人のお客様に向けては、販売終了が2020年9月、サポート終了が2023年9月となります。
    • *2 2024年6月以降は事例ベースのサポートとし、新規の障害調査/修正提供は行いません。
親指シフトキーボードおよび関連商品の販売終了について -FMWORLD(法人):富士通

30年くらいの親指シフト使いとしては残念ではあるが、富士通親指シフト製品は長いこと使っていないので困らない。どういうことかは以前書いたこの記事をどうぞ。

ということで、普通のキーボードでも親指シフトはできるのだった。この記事から5年経って、親指シフトをめぐる状況はどう変わっただろうか。親指シフトを導入する方法の現状をまとめ直してみよう。

ソフトウェア的な解決方法

上の記事のように、パソコンに親指シフトエミュレータを入れれば普通のキーボードでも親指シフトが可能だ。おそらく今は多くの人がこの方法で親指シフトを使っているだろう。

Windows

自分が使っているのは「やまぶきR」で、そのほか「DvorakJ」や「紅皿」などがある。

macOS

自分が使っているのは「Lacaille(ラカイユ)」で、そのほか「Karabiner-Elements」がある。

ハードウェア的な解決方法

親指シフトキーボードを使う

今回富士通から販売終了が発表されたキーボード。ただし正式対応しているIMEJapanist」以外を使うなら親指シフトエミュレータも入れる必要がある。(参考:親指シフトに戻れるキーボード - 富士通「FMV-KB232」 (2) ドライバ不要、エミュレータ必要、Microsoft IMEもATOKも使える | マイナビニュース

現在はFMV-KB613(上記、いまAmazonで48,650円)、FMV-KB232(親指シフトキーと変換/無変換キーが分かれていない、いまヨドバシカメラで30,800円)がある。また富士通コンポーネントのFKB7628-801(テンキーのないコンパクト型)という製品もあるが生産終了のようだ。

かえうち

この5年間で新しく出てきた方法はここから。

  • かえうち – すべてのキーボードが あなた専用になる(https://kaeuchi.jp/

「すべてのキーボードがあなた専用になる」がうたい文句のデバイス。任意のUSBキーボードをこれに差し込んでからパソコンにつなぐと、押したキーに対して好きな文字を入力してくれる。親指シフト以外のさまざまな配列に変更できる。現行モデルの「かえうち2」は12,800円+税。

自作キーボード?

最近はキーボードの自作がはやっている。好きなキー配列でキーボードを作れるから、もちろん親指シフトキーボードを作ってもよい。

既存の自作キーボードでは、たとえば「7sPro」はスペースキーが「B」キーの中央で分かれていて親指シフトに向く。

これをつないで親指シフトエミュレータをパソコンに入れれば、お手軽に親指シフトを使える。EnterキーまわりがJISキーボードとは違うので、配列をJISにするとしても(「2」のキーには「@」が書いてあるが「Shift」+「2」で「"」が入力されるようにするのは難しくない)そのあたりは慣れが必要そう。

自作キーボードのファームウェアとして一般的な「QMK」で親指シフトを使えるようにもできる。解説記事は以下。

ファームウェアのレベルで親指シフトにすれば、パソコン側にエミュレータなどのソフトウェアを入れる必要がなくなる。複数のパソコンやタブレットで使うとか、会社の規定でソフトウェアを自由に入れられないといった事情があるならこの方法がよさそう。

親指シフトを始めたい? あまり勧めません

ここまで、親指シフトを導入する方法を紹介してきた。しかしこれはすでに親指シフトを習得した人向けの情報である。親指シフトは慣れればとてもいい日本語入力の方法だと思うが、未経験の人に勧めようとは思わない。今後ユーザーが増えるとは思えないし、親指シフトのあとに開発された新しい日本語入力の方法もいろいろあるからだ。

この記事では、親指シフトを「導入や学習がより難しくなった今から始めるほどではない」というトーンで書いている。けっこうきつい書かれ方で悲しくなる部分もあるが、「親指シフトがなんだかすごいらしいゾ!」という前のめりな勢いを落ち着かせるにはちょうどよいと思う。

親指シフト以外の入力方法では、たとえば「薙刀式」などがある。作者の大岡俊彦氏は今回の発表を受けて、さっそく薙刀式のメリットをまとめ直していた。

そのほかの入力方式はその上の「その他のキーボード配列 - 親指シフトとは|練習・キーボード・断念した理由・普及しない理由・その他の配列など」を参照してほしい。ここにない入力方式では「Eucalyn配列」というのもある。

自分にとって親指シフトはなくてはならない入力方法だけれど、すべての人がこれを使えるようになるべきとは思わない。すごく早く打てるわけではないし打ち間違いも多い。でも快適だからずっと使い続けるつもり。

打ち間違いといえば、親指シフトでは「:」のキーがBackSpaceキーになっている。Enterキーの上よりずっと近く、ホームポジションから手を移動せずに文字を消去できるのはとてもよい。これはあまり知られていない親指シフトのよさだと思う。

そのうち自作したいと思っているキーボードは親指シフトユーザーが使いやすいものにするのもいいかも。たとえばこんな配列で。

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7sProのような分割もできる方式もよさそう。肩こり改善。

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