医療崩壊を心配していたら地球温暖化の心配を思い出した

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりで医療崩壊が懸念されている。

医療崩壊というとなんとなく、病院の廊下にCOVID-19の患者があふれて人工呼吸器などが足りない、みたいな状況を想像する。しかし医療崩壊とはそういうものではないのね。

COVID-19やその疑いがある人が病院に押し寄せて対応が大変になる。そこまでは想像しやすい。そして実は、その影響は医療全体に及ぶ。たとえば集中治療室(ICU)がCOVID-19の患者に占拠されると、ほかの病気で重篤になってもICUに入れなくなる。交通事故でけがをして搬送先を決めようにも、どこの病院もCOVID-19への対応で余裕がなくなっている。あるいは、医師がCOVID-19に感染したり感染の疑いが出たりして勤務できなくなるケースもある。

COVID-19だけでなくそれ以外の病気やけがでも、普段なら助かるものが助からなくなる。これが医療崩壊なのだった。

そして医療崩壊は「はい今医療崩壊しました~もうダメ~」とわかりやすく来るものでもない。患者の増加で病院のリソースが少しずつ削られていくと、COVID-19に限らず患者の待ち時間が長くなっていく。待ち時間がこれ以上長くなったら「放置されている」といえるような基準はないが、気がつくと明らかに「放置されている」としか言いようがない状態になってくる。

つまり医療崩壊したタイミングは誰にもわからない。すでに崩壊してから「これはもう医療崩壊しているのでは?」と気がつくものなのだね。

このことに気がついたとき、地球温暖化による海面上昇で沈みかけているツバルのことを思い出した。以前NHKスペシャルでその様子を見たことがある。

ツバルではすでに、畑を少し掘るだけで海水がしみ出すようになってきており、作物の収穫に影響が出ている。また大潮の前後の満潮時には、道路などで海水が噴き出す。被害は少しずつ深刻さを増していて、去年2月末の大潮では、今までにない広範囲が冠水したそうだ。そして今年2月末の大潮では、もっと大変なことになるだろうという話。

つまり潮位が変化(一日の中での変化+毎日の満潮・干潮時の潮位の変化)する中、2月末の大潮の日の満潮時に、一番潮位が上がるというわけ。なるほど、そうなのか。海の近くで暮らしたことがないから、潮位がこのように推移するというしくみは実感がない。なんとなく、ただ水位が少ーしずつ上がっていく様子をイメージしてしまっていた。毎年この日の満潮に、ツバルが最大の危機に陥るという説明は新鮮に感じた。

ツバルでは、この日のために高床式の住宅を建てても、来年はそこまで水が上がるようになるかもしれない。同時にだんだん、干潮時でもあまり水が引かなくなっていく。そうするうち、いつの日か、ツバルはいつも冠水している国になってしまうのだ。うわー、いやすぎる。

ツバル沈没、具体的な進行状況 - ただいま村

国が沈むといっても、あるとき国土全体が海に没するまで沈まないわけではない。潮位が高いときに冠水する場所が少しずつ広くなっていく。この段階ではまだ「国が沈んだ」とはいえないかもしれない。しかし水没しっぱなしになる前に、国の水没が原因で国民はそこに住めなくなるだろう。

医療崩壊」や「国土水没」という言葉はあっても、いつそうなったかがはっきりしなかったり、確実にそうといえるようになる前から影響が大きくなったりしているものなのだな。

ところで「高齢化社会」と「高齢社会」、「超高齢社会」も似ているかも…と思ったらこちらは定義がちゃんとあった。

  • 高齢化社会…社会の中に高齢者(65歳以上の人)が占める割合が7パーセント以上(日本は1970年から)
  • 高齢社会…社会の中に高齢者が占める割合が14パーセント以上(日本は1994年から)
  • 超高齢社会…社会の中に高齢者が占める割合が21パーセント以上(日本は2007年から)

日本は1994年にはもう「高齢化社会」ではなくなっていて、今は「高齢社会」からさらに進んだ「超高齢社会」なんですね。それはともかく、これらは「医療崩壊」や「国土水没」と違って定義があるからいつの間にかということがない。定量的に判断できる。

医療崩壊や国土水没の定義は作れるだろうか? これは難しそう。特に医療崩壊は、いろいろな状況から総合的に判断するしかなさそうだ。

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