東京ビッグサイトへ、設計・製造ソリューション展を見に行った。おもな目当ては3Dプリンタである。
まずは3Dシステムズの新機種「Cube 3」。3Dシステムズは去年、「Cube」をAmazonや家電量販店で大々的に売り出した。一般向けへの販売力は突出している。
- Make: Japan | 新型Cube 3 / CubePro登場(http://makezine.jp/blog/2014/01/here-come-the-cubes-3d-systems-reveals-a-sub-1000-dual-extrusion-printer.html)
- 株式会社 スリーディー・システムズ・ジャパン(http://www.3dsystems.co.jp/)
(なぜかやる気が感じられない公式サイト)
この造形は大したものだ。まったくゆがみがなく出力できている。
融かした樹脂を重ねていく(FDM)3Dプリンタは個人向けの機種に一般的な方式である。FDM方式では家の天井のようなところを造形する場合、中空に樹脂を吐出することになる。そのため垂れないよう「サポート」という支えとともに出力し、出力後に手でサポートを除去することになる。
しかしCube 3で出力した家の天井はサポートなしでほぼ問題なく造形されている。
ただ3Dシステムズの3Dプリンタは樹脂の素材(フィラメント)に汎用品を使えず、専用のカートリッジを買わなければならない。そしてこれがけっこうお高いのだった。紙のプリンタのインクカートリッジと同じ商売であるね。
3D Systems 3Dプリンタ Cube用ABSフィラメント White 白
- 発売日: 2013/09/19
- メディア: Tools & Hardware
- 参考1:satofuのブログ: 3DプリンターCubeのカートリッジについて(http://stfstfstf.blogspot.jp/2013/08/3dcube_12.html)《Cubeを買うにあたって、一番の悩みどころは明らかなカートリッジ商法だということ》
- 参考2:Cubeのフィラメントは高い? | 3Dプリンター 家庭用なら、3D CAD DATA.COM(http://www.3d-caddata.com/news/cube-filament)《これを回避するための方法として、世界中で様々な工夫が行われてきた》
純正のフィラメントカートリッジを使わずにすむならこの造形精度は魅力的だ。価格は16万円くらいになるらしい。
3DシステムズのブースにはARTSAT2 Despatchの原寸模型も展示されていた。
- マツド・サイエンティスト・ナイト3「宇宙で芸術だ!!」でARTSAT2(d:id:Imamura:20131124:matsudoscientistnight3)
ぐるぐる囲んでいるところを3Dプリンタで出力している。
さて、3DシステムズのCubeと同じくらい有名な3DプリンタがMakerbotのReplicatorである。
- MakerBot Replicator Desktop 3D Printer (Fifth Generation Model)(http://store.makerbot.com/replicator)
Makerbotは去年、業務向け3Dプリンタを作っているストラタシスに買収された。
- Make: Japan | StratasysがMakerBotを買収(http://makezine.jp/blog/2013/06/breaking-stratasys-to-acquire-makerbot.html)
- クリスアンダーソンのMakerBotが400億円で買収された!? | 3Dプリンターなら「Makers Love(メイカーズラブ)」(http://makerslove.com/1584.html)
- プロフェッショナル向け3Dプリンティング | Stratasys(http://www.stratasys.co.jp/)
だから上の写真のように「Makerbot」と「Stratasys」のロゴが並んでいるのは当たり前ではある。しかしMakerbotは個人向けの3Dプリンタを長年作ってきて、近年の「個人メイカーズ」ブームをけん引してきた会社である。一方のストラタシスが作っている3Dプリンタは一番安くても150万円、高いと数千万円。3Dプリンタのベンチャーを大企業が買収したというていであり、ちょっと複雑な気分にもなるのだった。
設計・製造ソリューション展には3Dプリンタのほかにもたくさんの展示がある。
FDM方式の3Dプリンタで出力した造形物は積層の跡が目立ちがちである。これは造形物の表面をなめらかにできるというふれこみの「モデリングコート」。
- プロフェッショナル ツールズ | 株式会社アルテコ(http://www.alteco.co.jp/products/pro/#pro05)
- 3Dプリント品の仕上げ用コート剤 いよいよ発売 | 3DP id.arts(http://idarts.co.jp/3dp/alteco-2/)
上の写真はマイクロ波造形機というもの。個人で買って使うようなものではないが、しくみがちょっと面白いと思った。
- Amolsys®特徴|株式会社ディーメック(https://www.d-mec.co.jp/product/amolsys/)
こういう型ができる。
マイクロ波成型のしくみ。
この型でいくつくらい出力できるのかを聞けばよかった。金属のしっかりした金型なら数十万個でも射出成型できる。簡易金型だと数百個だったかな。マイクロ波成型による型はもっと少ないが、全部3Dプリンタで出すには大変という個数がほしいときにいいのかも。
(8月7日記)