久しぶりに、企画段階から関わった本が出ます。インプレスジャパンから9月27日発売のムックです。
- Impress Japan: 3Dプリンタ デスクトップが工房になる(http://www.impressjapan.jp/books/1113102011)
3Dプリンタは去年くらいから急に騒がれるようになってきて、ここ数か月でも新機種、新サービスが次々と出てきてます。本を作る側からすると制作中に出てきた新情報をどう追加するかみたいな大変さはありましたが、トレンドの最先端を扱っている実感を得られて楽しいものでした。
6月20日には「設計・製造ソリューション展」(http://www.dms-tokyo.jp/)に行って、3Dプリンタをはじめいろいろ面白いものを見たりして。こうして仕事にかこつけて新しい知見を得られるのは楽しいものです。
- その日のツイート:d:id:Imamura:20130620:todaystweet
昔「CAD&CGマガジン」にいたころ、3Dソフトをいろいろ扱っていたときの知識が10年を経て生きました。人生なにが役に立つかわからないものです。あのころは3Dデータをささっと試作するという意味で「ラピッドプロトタイピング」という言葉が使われていて、「光造形」という方式が一般的でした。
- 関連記事:「CAD&CGマガジン」休刊(d:id:Imamura:20090129:cc)
さて、いま3Dプリンタの本を作ろうとすると内容はだいたい決まりきったものになるでしょう。
今はまだ、3Dプリンタそのものが珍しいものという状況なのでこうなります。
これが来年くらいになると、3Dプリンタとはそもそもどんなものかという話はもう知れ渡って必要なくなり、いろいろな分野に特化した3Dプリンタの活用法が出てくることになるでしょう。
この本の事例紹介では、超小型飛行体の宗像俊龍(@tyoukogata)さん、電子工作アーティストの岩崎修さん(@osamu_iwasaki)などを取材させていただきました。執筆陣も松浦晋也さん(@ShinyaMatsuura)、鹿野司さん(@sikano_tu)、大塚実さん(@ots_min)、船田巧さん(@sentoki)など、おつきあいのある方々に書いていただきました。皆さんありがとうございました。
そして編集はやっぱり楽しいなーと思いました。特に今回は原稿整理からではなく企画の段階、つまりどんなページを作るかから関われたので、見つけてきたこの情報を入れるかどうか、入れるならどこにどう入れたら読者にわかりやすく、面白くなるかをたくさん考えることになり、自分はこういうのが大好きだなあと改めて思ったのでした。
あと、3Dソフトを久しぶりにいじったのもいい刺激になりました。3Dプリンタがいくら身近になっても3Dデータがなければ出力するものがありません。3Dデータ共有サイトのThingiverse(http://www.thingiverse.com/)からダウンロードしたデータをそのまま出すだけではすぐに飽きてしまうでしょう。(2Dの)プリンタが一般的になるにはデジカメや画像処理ソフト、ワープロソフトが一般的にならなければならないのと同じで、出力機と出力データは切っても切れない関係にあります。
上の画像は自分のMiiをIllustratorで線画にしたものがあったので、それをDXF形式でGoogle SketchUpに読み込んで押し出したものです。この程度のものを作るだけでも案外大変かつ楽しい体験でした。こうやって作ったデータを3Dプリンタで出す前にチェックするソフトなんかも本では紹介しています。
こちらは正四面体の中を抜いたもの。正四面体の中心から各頂点へ伸ばした直線のうち2本がなす角は109.5度なのだそうで、それをもとにああやってこうやって作りました。この作り方を考えるのもパズルみたいで楽しいものです。
この立体は正四面体の内部に正四面体の空間がありますが、それぞれの中心は同じ位置にあります。2つの正四面体の中心から各頂点へ伸ばした直線の長さの比を内側の正四面体と外側の正四面体で1:2にすると、上のようなバランスの立体になりました。これを1:1.5などにすると完成する立体の体積が小さくなります。
とかなんとかやっていたら、ああいう形をモデリングしてみたいというアイデアがほかにも出てきました。これは曲面が多いのでblenderがいいかなー。作りたい立体のイメージが明確だと「3Dを始めるのはどんなソフトを使うのがいいですか」みたいな間が抜けた質問にはなりません。
Blender 3DCG パーフェクトバイブル2013 (100%ムックシリーズ)
- 出版社/メーカー: 晋遊舎
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: ムック
- 購入: 1人 クリック: 6回
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このblenderの解説ムックは1680円とお安くて薄いですが、見てみたところ雑誌の連載をまとめたものだそうで初心者にもとっつきやすく、また内容は密度が高いと思いました。フルカラーなのもポイントが高いです。
そんな感じで、もともと好きな3Dものに仕事を通してちょっと戻ることができて、その点でも役得でした。
『3Dプリンタ デスクトップが工房になる』(asin:4844334824)をよろしくお願いします。
関連リンク
- インプレスジャパン、3Dプリンタの実機体験やハウツーを載せたムック 〜同書で紹介される「羽ばたき飛行機キット」とのセットも限定発売 - PC Watch(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130927_617154.html)
(10月1日記)