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うちの裏手のフェルメール

【元記事:うちの裏手のフェルメールd:id:manpukuya:20071213:vermeer

月曜に、国立新美術館で開催されている「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」を見てきた。

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美術館は月曜休館のところが多いけれど、ここは火曜が休館だ。なので月曜がすいてるかもと考えた。

公式サイトの「混雑状況」によると開館直後はけっこう混んでいて、お昼から午後にかけてと、金曜の夜(遅くまでやってる)が比較的すいているみたい。

http://milkmaid.jp/

国立新美術館は会社の裏手にあってすぐ近くだけれど、展示を見に入るのは実は初めてだ。

前座のあれこれ(すいません)は後回しにして、まずフェルメールフェルメール。あった、「牛乳を注ぐ女」。

うーんこれはすばらしい。構図の取り方、光と影の表現、そして色の深さ。「時間が止まっているようだ」と評されるのもわかる。

「牛乳を注ぐ女」の展示室は、行列を作って絵の前を左から右へどんどん歩きながら見る通路と、その後ろのじっくり見るためのスペースでできている。絵はあまり大きくないので、絵に近い通路から見るのでも細かいディテールは見えてこない。それはポスターや、会場に設置されている解説ビデオなどで補う感じ。それでも、やっぱりナマで見るのは違うなあ。

いったん「牛乳を注ぐ女」の前を離れて、ほかの展示を拝見。

オランダの風俗画は17世紀、スペインに勝ってオランダの景気がとてもよくなった時期に多く描かれるようになった。ふだんの生活を題材にしつつ、主題が暗に示されていたりする。その読み解きがまた楽しい。

ヤン・ステーンなどはその種の風俗画の代表的作家だ。酒場で泥酔する男女、床に転がった鍋、二人を見上げる猫、男の上着を盗もうとする者。そんな絵から、節制の教訓を伝えようとしている。

いろいろな風俗画を最初から見直していって、またフェルメールのところに来た。

改めて見る「牛乳を注ぐ女」は、会場内のほかの絵とはまったく違っていて、別次元の美を持っている。細部に気を遣うと同時に、全体のバランスにも気を払う。その注意深さのすべてが、見事に作品の中に表現されている。

見ているうちに、この傑作がどういういきさつで描かれたのかを知りたくなる。しかしフェルメールが誰に師事して絵を学んだのかは、今でもわかっていないそうだ。だから、この飛び抜けた技術や表現力が、ほかのどんな画家の系統から生まれたのかはわからない。だからこそ、フェルメールにまつわる謎解きが今でもいろいろ書かれるのだろう。

「牛乳を注ぐ女」のあとの順路にも、17世紀から19世紀ごろの風俗画がいろいろ展示されている。わざわざこの題材を描くのか、みたいな絵に短い文章がついていて、それが皮肉や風刺になっていたりして面白い。ほかにも、フェルメールの影響を受けた静かな雰囲気の風俗画も見られる。

最後に改めて、「牛乳を注ぐ女」のところへ戻ってみた。全体を見たあとでも、やっぱりこれは別格だ。いいものを見せてもらいました。

この展覧会は12月17日、来週の月曜まで。

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