さまざまな趣味に「熱中」している人々を、愛とともに紹介する番組「熱中時間」がイベントを行い、本も出した由。
さすがNHKというか、番組内ではこういう宣伝はいっさいないので、「熱中時間」を見ている人の間でもイベントや本のことは知られていないのではないか。
東京ビッグサイトで行われていた「オトナの道楽展 熱中生活フェスタ」に行く。
NHKが放送している『熱中時間』という番組があり、これと連動したイベント。
(中略)
「これは本にしたら面白いなあ」とぼんやりと思っていたら、あった。
(中略)
これが滅法面白くて一気に読んでしまった。自分の動いた線をGPSで浮かび上がらせることにより、地図上に巨大絵を書く人がいたり、全国の郵便局の貯金スタンプを集める人がいたり(愛好者が1万人もいるらしい)、野球の審判を追いかける人がいたり(コールするときのポーズにしびれるらしい)、全航空路線を乗りつくしている人がいたり(航空会社に乗りつくしの証明書を出させるらしい)、鉛筆の芯で彫刻を作る人がいたり、人面石を集めている人がいたり(ミュージアムも作ってしまったらしい)、いろんなものに心血を注ぐ人がいるものだ。
エロ本編集者の憂鬱と希望
本はこちら。
「住宅都市整理公団」の大山顕さん(こないだタモリ倶楽部の団地特集に出てました)は、この「熱中時間」でコメンテーターを務めている。その理由について、ほかの番組との違いに関する記事が以下。
最近多いマニアTV番組
最近、テレビ番組から出演の依頼を受けることが非常に多い。
(中略)
ただテレビはマニアを「変わった奴」としてとりあげるきらいがある。これ要注意。
ぼくは出演依頼をいただいたときには、しつこいぐらい詳しく番組の趣旨をうかがうようにしている。そして「変わった奴」としてしか取り上げてくれない場合はお断りさせて頂いている。ほとんどの場合がそうだ。そして例外が「熱中時間」と山田五郎さんの番組だった。
「住宅都市整理公団」別棟:NHK「熱中時間」がすばらしいのはなぜ熱中時間に出演するか
熱中時間はマニアを絶対に「変わった奴」としてだけでは紹介しない。TVではめずらしく時間をかけて「なぜ熱中するのか」を聞き出す。安易に「分からないけど好きなもんはしょうがないですよね」では終わりにしない。出演者に「好き」とはなかなか言わせてくれない番組だ。
生い立ちや熱中するまでの経緯や家族友人関係などいろんな角度から切り込んで「好きなんです」を封じる。そこが素晴らしい。簡単に言うとマニアに対して愛がある。こういうマニア番組はなかなかない。そこが気に入って出演をさせて頂いている。
それこそ「タモリ倶楽部」でも、最近は理系ネタが増えている(個人的にこの手の切り口を「理系サブカル」と呼んでいる)。
- →関連記事:「『理系サブカル』が好きなのだ」(d:id:Imamura:20061006:rikei)
あくまで「趣味」の軸で、科学やもの作り、収集、見学などを楽しむ人々。「作る」「集める」「巡る」といった活動にいそしんでいる人が、案外たくさんいると認知されつつあるようだ。これはたいへんよい傾向だと思う。
熱中できる対象を持っている人は幸せだ。好奇心と行動力を大切にしたい。
以下宣伝モードです。
そういう「熱中人」に似た、趣味に突き進んで突き抜けた人々を「コダワリ人」として紹介した本を、こないだ作ったのでした。
- 作者:松浦 晋也
- 発売日: 2007/04/05
- メディア: 単行本
趣味で作られたプラネタリウム「メガスター」を作った大平貴之さん、本物の蒸気機関車を走らせている団体「羅須地人鉄道協会」、リッター4000キロの燃費世界記録を持つ人などを紹介しています。
- →「新刊案内:松浦晋也『コダワリ人のおもちゃ箱』」(d:id:Imamura:20070410:kodawari)
- →著者の松浦晋也さんによる案内:「松浦晋也のL/D: 宣伝:新著『コダワリ人のおもちゃ箱』が4月10日に発売されました」
- →同じく、松浦さんがbk1に寄稿した自著紹介:「オンライン書店ビーケーワン:コダワリ人のおもちゃ箱「著者コメント」」