『黒沢清の映画術』と『映像のカリスマ・増補改訂版』の出版記念ということで、北与野のブックデポ書楽にてトークイベント。テーマは「映画と幽霊」。
印象的だったところをいくつか。
まず、樋口泰人さん(→の日記)が見た幽霊の話。「おかしいと思ってもう一度見たら、もう姿が消えていた」という説明に黒沢監督は「なぜ目をそらすのか! なぜ立ち向かっていかないのか!」と厳しく突っ込んでいた。「いやでも、こっちはものすごく恐いんですよ」という樋口さん。
確かに物語としては、幽霊が出てきたらそれに対してなにか行動を起こすのがお約束だけれど、「主人公」や「登場人物」でない、単なる人である樋口さんとしては、それはなかなか難しい。黒沢監督のにこやかに不満げな顔は、そのズレを拡大させるために大げさに見せていたのかも。
質疑応答で、「恐い映画にするポイント」に関する質問に黒沢監督が答えて:
恐くする方法はいくつかあって、一番簡単なのは音のコントロール。ジャーン! のような。しかしそういう方法で恐くしても「安心して恐がれる」シーンにしかならない。もっと恐いのは「恐い場面なのかどうかもわからない」こと。「CURE」においては、血まみれのシーンを2つだけ入れた。ほかの殺人シーンにはあえて血を出さないことで、かえって恐くする効果を狙った。
新作の「LOFT」について。
樋口さんいわく、タイトルが出た直後くらいの中谷美紀のカットが相当恐いとのこと。
テレビ埼玉の夕方の情報番組が取材に来ていて、監督からのコメントを収録していた。「××(番組名)をご覧の皆さんこんにちは、黒沢です。…ぜひご覧ください。」のようなあれ。
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ということで、『映像のカリスマ・増補改訂版』は8月21日(月)に発売になりました。詳しくいうとこれは「取次搬入(とりつぎはんにゅう)」の日で、全国の書店さんに行き渡るには数日かかります。ひとつよろしくお願いします。
- 作者: 黒沢清
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2006/08/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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