思わず口をついて出る言葉に、その人の本質が表れる

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行ってしまいそうになるエレベーターに乗るために、思わず「待って〜」と言ってしまった。なぜそこで「すみませーん」という、平凡で無害で万能なセリフを言えないのか。まったく恥ずかしい。

以前テレビのニュースで、大雨で崩落した道路かどこかからの中継をやっていた。レポーターの男性が一段低くなっているところへ降りた時、どこかを軽くぶつけたらしい彼は、確かに「あいたっ」と言ったのだ。自分が同じ状況にあったら、そこで絶対に「あいてっ」と言ってしまうだろう。そして、ニュース番組にあるまじき低俗な言葉を口走ったことを、いつまでも後悔し続けるだろう。

このレポーターが、仕事外でも「あいたっ」と言うのか、それとも「あいてっ」と言うのかはわからない。しかしいずれにしても、思わず口をついて出る言葉もコントロールしているこのレポーターはすごい、と思ったものだった。

寄生獣』というマンガの終盤には、極めて残虐な連続猟奇殺人者が出てくる。殺人に対して罪悪感をまったく持たず、それこそヘンリー・リー・ルーカスのように「呼吸や食事をするがごとく」人を殺す男である。

そんな彼が、自分の犯行とは関係のないバラバラ殺人の現場に居合わせ、たまたまパトロール中だった警官にうっかり捕まってしまうシーンがある。警官の一人は「やったあ! 大物捕まえたぜ!」と喜ぶのであるが、一方の非道な快楽殺人犯は、何人を手にかけたのかも覚えていないような人間であるにもかかわらず、予想外の事態についこんな声を上げるのだった。

「うそでしょーっ!」

ちなみにこのシーン、喜ぶ警官の相棒は、凄惨な遺体を前に思わず「うええっ」と吐き気を催す。歓喜と驚愕と嘔吐が一つの場所に同居していて、おかしみを誘ういい場面である。