オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

東大キューブサット受信成功

【元記事:東大キューブサット受信成功:d:id:manpukuya:20051027:1130421749

[写真:中須賀研究室]こちら東大中須賀研。キューブサットからの信号を無事受信しました。

成功です!

後日追記分

[写真:中須賀研究室]もうちょっときれいな写真をまず1枚。これはすでに信号を受信中の様子。

北海道工業大、日大、東工大、九州大もXI-Vからの信号の受信に協力しており、チャットでお互いの受信状況を知らせ合っていた。最初のパス(上空の通過)は21時9分からだったが、仰角が東京で最大7度ときわめて低く、信号を受信できなかった。約1時間半後の22時46分からのパスは、最大仰角が80度以上とほぼ真上を通り、ここで見事に信号を受信。キューブサット「XI-V(サイ・ファイブ)」は無事に衛星から放出され、宇宙で稼働していることが確認された。

この研究室で信号を受信し始める数秒前に、チャットで「道工大、受信したそうです!」の第一報が入り、続いて研究室のスピーカーからもモールス信号が聞こえ始めた。

といっても、「こちらグリア天文台のマジャホ。確認した、衛星になってる! 成功だー!」「ワー!」のようにはならない。モールス信号は、XI-Vが自分のステータスを伝えてくる大事な情報である。それぞれがにっこりしたり、小さくガッツポーズをとったりする程度で、ノイズに埋もれそうな信号を聞きもらすまいと緊張していた。

[写真:中須賀先生とプロマネ船瀬氏]パスが終了し、受信した信号の解析もひと段落したところでヒーローインタビュー。左が中須賀先生、右はプロマネの船瀬氏。最初の打ち上げまでが描かれている『キューブサット物語』(ISBN:4767803993)では新人めだった彼が、今回はプロマネを務めている。中須賀先生いわく、「1度目の成功はラッキーだったかもしれない、しかし2度目も成功となれば、これは運ではなく実力だ」。船瀬氏はちょっとうるうるしてました。

テレビカメラも入っており、今年の初めから取材を続けてきた成果は後日放送されるそうだ。スタッフの方も、たび重なる打ち上げ延期の末にやっと無事に上がり、ほっとした様子だった。

といっても、衛星の運用はここからである。まず信号を安定して受信できるようにしなければならない。衛星が出す信号の周波数は決まっているが、温度の変化やドップラー効果(衛星は地平線から現れて反対側へ沈むまで、最大でも15分くらいしかかからない。高速で移動しているため、救急車のサイレンと同じことになる)などのため微妙にずれる。何度も受信して変化のパターンをつかまなければならない。そのほかいろいろな調整が必要で、定常運用が始まるまでは2週間から1カ月ほどかかる見込みとのこと。

前回打ち上がり、すでに2年半にわたって運用が続いている兄貴分「XI-IV(サイ・フォー)」について、面白い話を聞いた。XI-IVから送られてくる画像(「さいめーるステーション」で登録すると受信できる)は、だんだん品質が良くなってきているという。実は搭載したカメラのレンズが明るすぎて、当初は絞りをめいっぱい絞っても、明るすぎる写真しか撮れていなかった。それが、宇宙で放射線などをたくさん浴びるうちにレンズが少しずつ曇ってきて、いい感じに暗くなり露出が適正になってきているそうだ。

ともあれ、おめでとうございます。日本の大学の研究室が人工衛星を2機同時に運用するなど、数年前には考えられなかった快挙です。

東工大も次のキューブサットを準備しているほか、日大、九州大などもキューブサットを製作中とのこと。学生による宇宙開発が、ますます発展していってほしいものです。