大学のコミュニティのOBOGで、那須にある大学の宿泊所へ行くという毎年恒例の企画がある。今年は、13日に出て15日に帰るという日程である。
ところがところが、13日の昼間と15日に用事が入ってしまい、13日の夜に那須へ向かい14日の夜には東京へ戻ってこなければならなくなった。久しぶりに会う人々と過ごす時間が短くなってしまうのは残念だが、那須を往復すれば400kmは堅い。これで一気に96,000km台に乗せることができる…はずだった。
13日の夜。雨の中、東北道をひたすら北へ走る。大急ぎで行く必要もないので速度を100km/h巡航と決め、CDなぞかけながら順調な道のりだった。
100km巡航と決めていても、微妙な坂道や周囲の車との具合でスピードを一定に保つのは難しい。ちょくちょくスピードメーターを見ながら調整していたのだが…ふと見るとメーターが0km/hを指している! てことは車が止まっている? もちろんそんなはずはなく、車は相変わらず100km前後で走行中である。
つまりタイヤとスピードメーターを結ぶワイヤーのどこかがダメになって、メーターが反応しなくなったようなのだった。それにしても、実際に走っている車という現実よりも、メーターの指す数字を優先してしまったこの感覚はなかなか奇妙な体験だった。…と面白がっていたのもつかの間、動かなくなっているのはメーターだけではないとわかった。
スピードメーターが0km/hを指したままになっても、タコメーター(こちらは機能している)と体感速度から100km/hと思われるスピードで走ることはできる。走行そのものに支障が出たわけではないので、気を取り直してさらに進む。看板が見えた。目的地の白河インターチェンジまであと30kmだ。トリップメーターは95793.2kmを指している。ということは30を足して、95820kmくらいまではとりあえずそのまま走っていればよいことになる。速度が100km/h程度だから、20分といったところだろうか。そんなことを考えながらしばらく進み、何気なくトリップメーターを見るとまた95793.2kmを指している!!
どうやらスピードメーターとトリップメーターには同じワイヤーが使われているらしく、つまりスピードメーターが0km/hを指すようになった時点でトリップメーターも進まなくなっていたのだ。
ここに往復400kmの野望は崩れ去った。
那須に着いたのは、深夜も近い11時半だった。
95658.5km+134.7km=95793.2km
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