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小型月着陸実証機(SLIM)および小型プローブ(LEV)の月面着陸の結果・成果等の記者会見

日時

  • 2024年1月25日(木)14時00分~

登壇者

冒頭言

(國中氏より)

100メートル精度のピンポイント軟着陸に成功と確認。

スラスタの1本が脱落し推力が減衰しつつ目標点から50メートル離れた場所に着陸。

最終着陸の姿勢が予定と異なっていた。

月面撮像には成功。LEV-2はSLIMの姿を撮影に成功。

配付資料

小型月着陸実証機(SLIM)月面着陸の結果について

(坂井氏より)


本日のご報告内容


着陸シーケンスの概要


着陸目標地点の精位置情報


実際の着陸降下について


高度50m付近までの評価/画像照合結果


高度50m付近までの評価/障害物検知結果


高度50m付近までの評価/着陸目標地点へ向けて


高度50m付近までの評価/ピンポイント着陸精度評価


高度50m付近で発生した事象について


異常発生以降の挙動の推定について


推定されている着陸地点


推定されている着陸姿勢


着陸直後の運用について


マルチバンド分光カメラの観測運用結果


今後の復帰運用の見通しについて


まとめ(月面降下・着陸の結果)


まとめ(得られた成果と課題)


応援ありがとうございました。


SLIM搭載超小型月面探査ローバLEV-1

(大槻氏より)


LEV-1ミッションイメージ


LEV-1の運用結果(1月20日


LEV-1達成事項


月面探査ロボットとしての活動時間


跳躍(ホッピング)ならびに車輪回転


地球との直接通信


月面からのUHF帯電波送信


LEV-1の現状と今後について


LEV-2のSLIM撮影およびデータ送信結果

(平野氏より)


LEV-2とは?


LEV-2の主な機能


LEV-2の月面動作シーケンス


LEV-2がフロントカメラで撮影した画像


LEV-2の画像から確認できたこと


今後の方針


質疑応答

ニコニコ動画ななお:質問の前にJAXAの名誉をかけて確認したい。國中氏は「ぎりぎり合格の60点」と以前の会見で話していたが改めて点数を聞きたい

國中:のちほど質問があれば答えたい。60点ではないですね。

ななお:LEV-1、撮像は未確認とのことだがどういう状況か

大槻:撮像結果がデータの中に含まれていない。

JSTサイエンスポータルくさか:100メートル精度について、悪く見積もって10メートル、よければ3~4メートルの結果についてどう理解したらいいのか

坂井:従来の月着陸の精度はキロメートルオーダーだった。悪く見積もって10メートルは自分でも信じられない飛躍と思う。正常に着陸するなら10回中7回は10メートルで着陸できると見込んでおり驚くことではないという受け止め。

フリーライター荒舩:あの着陸姿勢はスラスター1本がなくなった結果自分で制御してああなったのか。坂井さんの受け止めは

坂井:現在はいろいろ解析中。接地以降にどうなったかはまだわかっていない。探査機は下向きに下りてきて接地したということはわかっている。姿勢は復帰見込みのこともありいろいろ解析していた。あの姿勢を見たのは我々もおとといの夜くらい。ただあの姿勢は早めに予想していた。よくあの姿勢でとどまってくれた。太陽電池が地面に向いていては太陽光が当たらない。

フリーランス秋山:20日の会見の時、試験的に越夜を試みるとあったが

坂井:SLIMは越夜の機能は持っていない。昼間であっても月の昼間は高温になる。絶対に耐える設計にはなっておらず数日は運用できるようにしている。バッテリの切り離しと越夜には直接の関係はない。発生電力が失われたらすぐにバッテリを切り離す計画だった。
越夜の可能性はゼロではないと考えており実験しようと思っている。そのときはやはりバッテリを切り離すと考えていた。

ニッポン放送畑中:着陸以降いろいろ節目があったと思うが坂井さんの心境、管制室の様子は

坂井:チームは冷静に対応してくれた。短い時間でやれることはしっかりできた。チームメンバーにたいへん感銘を受けた。
そのあとは分光観測させたいと思っている。
着陸後に衝撃を受けたのはLEV-2の画像。あれすごいですよね。CGで見ていたとおりと言えばそうなんですが、自分たちが創ったものが月面にあることの衝撃。見たときに腰が抜けそうになった。LEV-2のチームに感謝。

月探査情報ステーション寺薗:着陸直後に電力がとだえたが、その場合の運用手順はあったのか、訓練をしていたのか

坂井:運用訓練はいろいろ行っていた。電力喪失の原因はいろいろ考えられた。あの姿勢になる想定はなかったが。

NewsPicks中居:太陽電池の復旧の可能性についてですが、月の昼間は100℃以上になり、半導体が壊れてしまう可能性もあると伺いました。半導体が耐えられたかどうかはどの時点でわかるのでしょうか。また高温化以外のリスクは何かありますでしょうか。

坂井:特定が難しい。大きなリスクになるがなにが起きたのか確認できた限り異常な機器はないが、太陽電池は確認できておらずリスクはある。またリスクとしては考えにくいが、着陸姿勢がどのくらい安定しているかも気になる。全力で復旧運用したい。

宇宙作家クラブ今村:LEV-2は複数の画像を撮影しているのかや、撮影したが破棄した画像の枚数はわかるか

平野:複数の画像を撮影しているのはわかっている。解析中。

今村:今後新しい画像が出てくる可能性はある?

平野:はい。

NVS齋藤:LEV-2の稼働時間や移動距離などは

平野:それも解析中。

日刊工業新聞飯田:太陽電池に光が当たるのはいつごろか。充電の操作について詳しく

坂井:このあと1月中は陽が当たるだろうと考えている。自分で電源オンになったあと指示待ちになる。こちらから一定の間隔で「返信を送れ」という信号を送る。その後は分光観測などを行う。

フリーランス鳥嶋:スライド14ページ。メインエンジンの問題は外的な要因がとあったがたとえばどういうことが考えられるのか

坂井:メインエンジンは正常に動作していたため外的要因と考えている。具体的には調査中。考えていることはあるが言及は差し控えたい。

鳥嶋:メインエンジンそのものになにかあった可能性もある?

坂井:基本的にはその通り。外的要因を考えたあとメインエンジンに戻ってくることになるだろう。

鹿児島放送南:基本的な質問ですが①SLIMは鹿児島・種子島から打ち上げられた探査機です。鹿児島でも成功を大変喜んでいます。一言コメントをお願いいしたいです。②今回の成功の意義を改めてひとこと総括願います。

坂井:打ち上げは種子島から9月に。思い出してみると天候不順でなかなか打ち上げ日が確定しなかったが9月7日に見事に打ち上げた。
今後の意義は、プロジェクトの公式見解は100メートルのピンポイント着陸ができて一番の成果となるし、数日前までこう答えようと思っていた。
スライド4ページ。SLIMの着陸目標点はクレーターとクレーターのはざまにある場所をあえて選んだ。

分光観測のチームが「あそこに下りたい」と言うのでそこへ行った。SLIMでなければ「そんなの無理、何言ってるの」と追い返されただろう。なるべく安全に下りるものとか、場所を選べるわけはないと思われていた。そこへ挑戦して着陸できた。陸上競技などでも一度記録が伸びるとほかの選手がそれに続くことがある。今後今まで行けなかった所へ行くミッションへの扉を開いたかもしれない。そういうところにSLIMのなしとげた意義があるのではないか。

フリーランス林:坂井さんは画像を見て腰を抜かしたと坂井さんが言っていたが平野さんの印象は。また画像からわかることは

平野:いろいろな感情が大渋滞していた。ちゃんとSLIMが写っている画像を転送できたのでやった、よかったという気持ち、応援と期待にこたえられたという気持ち、SLIMがこういう姿勢になっていて当初の想定と違っていた。着陸後の想定とは同じだったのでそこが。
画像の中心のパケットロスがあったこと。本当はもっときれいな画像を撮れたのだが通信の制限などもあってこうなった。

坂井:こういう写真を撮れたことにたいへんな衝撃を受けた。一枚の写真が多くのことを語る。こういう画像が手に入ったことはとても恵まれている。

林:写真を見るとスラスター1本は残っていますよね。もう1本は

坂井:まだわからない

フリーランスあかね:「今回は技術実証できなかった2段階着陸のダイナミクス」とあるが、まずは1本目の足を出して着陸し倒れ込むものと理解している。実際はどうだったのか

坂井:途中でも申し上げたが接地までの降下速度が遅いこともあり姿勢はわかっている。その後はまだよくわかっていない。降下速度や横方向の速度も条件がある。横方向は決められた範囲を超えてしまったとわかっている。入口の条件を達成できなかった。2段階着陸をできなかった理由。

NHKてらにし:マルチバンド分光カメラについて。333枚中257枚採用というのはどのくらいの成果か

坂井:専門でないので自分の理解だが、全体をまずなめてみてどこを観測するか特定するもの。すでに6個の観測対象を特定できている。その目標はすでに達成している。
分光カメラはとてもいいもので、ズームやオートフォーカスできる。6つの観測対象についてズーム画像を撮影して成分分析を行うことになっている。復旧できればそういう科学観測で月の組成を理解できるだろう。

朝日新聞いしくら:前回の記者会見で國中先生に「何点ですか」と聞いた者だが改めて聞きたい。またその理由。坂井さんにも現時点の評価を。

坂井:所長の採点を聞くと発言できなくなるので私から。自己採点としては、ピンポイント着陸については百点満点。500点や300点とも言いたいが見込んだとおりの性能を発揮してくれたので、エンジニアのメンタリティとしてあえて100点満点と。
ピンポイント着陸についてはまだわかっていないこともある。分光観測を復旧させたいのでなかなか難しい。こういうたとえは不謹慎と思うが飛行機にたとえると、小型の双発の飛行機が、片方のエンジンを失った状態でなんとか着陸したものと感じている。エンジンが故障した原因は必ず突き止めなければならない。一方で無事に着陸させた機長はSLIMくんと思うが、見守っていた我々としては審査員特別賞をあげたい。

國中:宇宙研としては500Nスラスタがたいへん惜しかった、あと数分もってくれればのに大変もったいないという印象です。宇宙研は500Nスラスタはいい成績を出していない。最初の火星探査機のぞみはスラスタシステムのエラーで火星に軌道投入できず、金星探査機あかつきもスラスタシステムの故障があり当初予定の周回軌道に入れなかった。
SLIMでいい成績をおさめて次も使っていこうと思っていた。MMXでは6本使う。方式など違うのでSLIMの結果がMMXに直接影響はしないが、500Nスラスタを使い込めるようにしていかなければならないが影響が出ることを危惧している。
なのでSLIMの点数は当初の「ぎりぎり合格60点」に、マルチバンド分光カメラがうまくいったので1点、LEV-1とLEV-2が正確に動いたことでそれぞれ1点ずつ足して63点でお願いします。

東京新聞かとう:SLIMの着陸姿勢を推定するのにLEV-2の撮影データは補強になったか。また撮影時刻は

坂井:先ほどの資料17ページでCGがあったが、あの画像はLEV-2の写真を見る前に作ったCG画像。LEV-2の画像は答え合わせになった。推定して「きっとこうだろう」が合っていた。

平野:撮影時刻はなんとなくわかっているがその確からしさを分析中。全体の中での時刻も解析中。

共同通信須江:2段階着陸について。機体の回転などに備えるしくみもあったが想定外の挙動をした?

坂井:降下速度は想定内だったが横方向の速度が想定範囲外だった。
解明できていないが、あの姿勢でも着陸できたのは2段階着陸の設計が寄与している可能性はある。

日刊工業新聞飯田:國中所長に。500Nスラスタのどういうところが難しいのか。MMXの設計変更も可能性はあるのか

國中:500NスラスタはJAXAの衛星ではたくさん使っている。HTVなど。しかしなぜか宇宙研が採用すると完璧な成功まで持って行けていない。なぜなのかずっと考えている。使い方が違うのは、燃料を入れてから使い始めるのが半年や1年後であること。そういう宇宙での待機期間の長さでシステム上問題が発生するのかも。あかつきでは長期間運転しない間にえんが発生して失敗。
宇宙研はうまく使いこなせないというのが事実としてある。MMXは500Nがないとどうにもならない。水平展開があれば反映させて成功させたい。
のぞみやあかつきの経験はMMXに入っているがSLIMの知見はまだ。MMXには引き続き最大級の努力をしていきたい。

日経新聞こだま:SLIMのプロジェクトはSELENE-B以降20年ごしの想いがあれば

國中:宇宙研の月へのアプローチという意味ではひてん、LUNAR-A。SELENE-Bもあった。すべてが成功したわけではなく打ち上げまで至らなかったものもある。
SLIMについては実に宇宙研ぽい結末になってしまって申し訳ない限り。ピンポイント着陸の技術を獲得したのは大きい。100メートル精度で山のてっぺんに下りることもできると証明された。MMXフォボスの上に下りなければならない。宇宙研としてはこれをカタパルトにしてますます惑星探査を拡大していきたい。

坂井:プロジェクトを預かってきた者としての20年について。
SLIMに関わるようになったのは2013年ごろ。20年間の半分に参加してきた。20年前からSLIMのことを考えてきたベテランがチームにもいる。そういう人たちが強力な核になってくれた。
プロジェクトが発足してからは多くの人に参加してもらった。中堅、若手メンバーとベテランが大変うまく融合してこの成果につながった。
いいチームでしたので感謝の念しかない。20年前からこの構想をひっぱって来られた澤井、福田両教授には大きく感謝。

TBSテレビこまつ:画像やデータが月の成り立ちの解明にどう役立つか、どんな意義があるか。

坂井:月の成り立ちの解明については分光観測にかかっている。復旧運用にかかっている。
100メートルの意義は今まで誰もできなかったことを実現して下りられるところに下りることを実証。
新しい扉を開き、新しいミッションができることになったのが大きな意義がある。

フリーランス大塚:SLIMとの通信が復旧したときの運用について。スラスターを噴射して姿勢を戻してみたりするか。

坂井:仮定の話になるが運用再開して分光観測できたらそのままの状態で越夜をさせて、その後分光観測に再度トライする。観測できるならあえて倒さず次のチャンスにかける、と考えるだろうが現時点では確定していない。

大塚:縦向きで越夜になることのリスクは

坂井:詳細な熱解析が間に合っていない。越夜でどちらの姿勢がいいのかはわからない。

(以上)

イプシロンSロケット開発状況に関する説明会

日時

  • 2023年7月7日14時~

登壇者

  • JAXA宇宙輸送技術部門 イプシロンロケットプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 井元隆行(いもと・たかゆき)

中継録画

配付資料


目次


1.2 イプシロンSロケットについて


機体仕様(強化型との比較)


強化型までの成果


フェアリングカプセル化による運用性向上


3段TVC化による衛星搭載条件緩和


サブシステムの特徴(固体推進系)


サブシステムの特徴(構造系)


サブシステムの特徴(アビオニクス


サブシステムの特徴(TVC)


サブシステムの特徴(PBS


(参考)プロジェクト名称


1.3 イプシロンSロケット開発状況


イプシロンSロケット開発試験実施状況


2.1 2段モータについて


2.2 地上燃焼試験の目的


2.3 地上燃焼試験の概要


2.4 地上燃焼試験場の全体図


2.5 準備作業状況


2.6 試験実施条件


2.7 タイムスケジュール


質疑応答

(以下略)

⽊星氷衛星探査計画(JUICE)に関する記者説明会

日時

  • 2023年4月6日(木)14:00~

登壇者

  • JUICE 所内プロジェクトチーム チーム⻑ 齋藤義⽂(さいとう・よしふみ)(JAXA 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 教授)
  • JUICE 所内プロジェクトチーム ガニメデレーザー⾼度計(GALA)担当 塩谷圭吾(えんや・けいご)(JAXA 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授)
  • JUICE 所内プロジェクトチーム プロジェクトサイエンティスト 関根康⼈(せきね・やすひと)(東京⼯業⼤学 地球⽣命研究所所⻑・教授)
  • JAXA 宇宙科学研究所 宇宙科学広報・普及主幹付 主任 恩⽥千尋(おんだ・ちひろ

中継録画

木星氷衛星探査計画(JUICE)に関する記者説明会 - YouTube

配付資料

続きを読む

H3ロケット試験機1号機打ち上げ中止の原因調査と対応に関する記者会見

日時

  • 2023年3月3日(金)15時~

登壇者

  • 岡田匡史(おかだ・まさし) JAXA H3 プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

中継録画

配付資料


発生事象


【参考】H3ロケットの電気系システム構成(イメージ)


原因調査の状況


原因調査の結果


対応策と今後の予定


【参考】アンビリカル離脱(イメージ)

※動画

【参考】試験機1号機と移動発射台(ML5)


打上げ当日(L-1、L-0)主要スケジュール


飛行計画


打上げ制約条件


気象予報


【別紙】用語解説

(多忙のため今回は質疑応答の書き起こしはありません。中継録画をご覧ください)

H3ロケット試験機1号機打ち上げ中止に関する記者会見

開催日時

  • 2月17日(金)14時~

登壇者

  • 岡田匡史(おかだ・まさし) JAXA H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

プレスリリース

JAXA | H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の本日の打上げ中止について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構JAXA)は、種子島宇宙センターから先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載したH3ロケット試験機1号機の打上げを2023年2月17日10時37分55秒(日本標準時)に予定し、作業を進めておりましたが、ロケットの自動カウントダウンシーケンス中に、1段機体システムが異常を検知し、固体ロケットブースタ(SRB-3)の着火信号を送出しなかったため、本日の打上げを中止することといたしました。

現在、詳細状況を確認中です。

JAXA | H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の本日の打上げ中止について

配付資料


中継録画

質疑応答

MBC・濵田:率直な受け止めを

岡田:…………今日の日を待っておられた方、見守ってくださっていた方が大勢いる。申し訳ないと思っているし我々もものすごく悔しいです。(涙を拭く)

産経新聞伊藤:先日の会見でおっしゃっていたがまだ足りないことがあったと

岡田:初めての打ち上げはこういうこともあると実感。100パーセントとはなかなかいかないと思っていたので万全の体制で臨んだが中止になってしまったのは残念。

伊藤:原因究明しての対策のスケジュール感は

岡田:数時間前に起きたことなのでまだわからない。できるだけ早く原因を究明し打ち上げに臨みたい。

NHKの堀川:部品を交換するようなことが発生するのか、その場で修正できるのか

岡田:まだ見きわめがついていない。原因の切り分けをしているところ。結果を早く出してどうリカバーするかを大至急検討する。

堀川:打ち上げ中止であり失敗ではないと言う認識?

岡田:失敗にはいろいろ定義があるがカウントダウンシーケンスの途中で止まったものは打ち上げ中止。

堀川:Xマイナス6.3秒で止まったとのことだがトラブルなのか

岡田:ロケットがスタートして打ち上げの時は安全第一。安全に止まった状態。異常を検知して止まるシーケンスが働いて安全に止まった。LE-9エンジンは正常に立ち上がっていると思われるし停止シーケンスもきちんと働いた。

堀川:年度内の打ち上げは可能か

岡田:それを目指します。

読売新聞笹本:SRBに電気信号を送るシステムの異常?

岡田:そこがまだわからない。一段の制御用機器が異常を検知したのは事実。検知のトリガーにSRB-3への信号送出を行わなかったのもこれ。異常がどこで起きたのかはこれから調べる。制御用機器の異常はないと考えている。

笹本:電気信号を送らなかった異常ではなく、異常を検知したから信号を送らなかった?

岡田:いろいろなところからの入力信号がある。その中のなにかが原因になったと思うが具体的には調査中。

笹本:LE-9はおそらく正常に立ち上がったとのことだが

岡田:自分自身が全部のデータを見ていないため確定的なことは申し上げたくなかったが、正常に立ち上がったことは検知している。ロケットはそこは正常だったと認識している。

笹本:自動車部品が9割入っているとのことだがここも?

岡田:自動車部品を使っている装置ではある。

KYT磯脇:LE-9の立ち上がりからSRBへの点火の間の中止ということで、SRBに異常があった?

岡田:まずないと思っている。SRBに信号が送られなかったために点火しなかった。

磯脇:第一段部分の制御機器について。ほかの段も制御する?

岡田:おもに第一段を制御する。

磯脇:異常は第一段のどこかで間違いない?

岡田:そう考えている。

朝日新聞玉木:何らかの異常を検知したとのことだが、どこに異常があった可能性が高いのかなど分析は進んでいるか

岡田:まだそこまでは至っていない。検討中。

玉木:つながっている電子機器の数は

岡田:ひと箱を1と数えると5から10くらい。大きい箱も小さい箱もある

玉木:それぞれ可能性を分析し調べていく?

岡田:全体がシステムとして構成されている。ここに異常が検知されるのはどういう状況が考えられるのか、エンジニアは回路図を見て危機のつながりを想定し当たりをつける。箱を開けてみるわけではなく回路を見る。自分は電気は専門ではないが、一般的にはそうする。

玉木:予備期間の中で打ち上げるのが目標?

岡田:それが第一歩。

毎日新聞垂水:SRB-AからSRB-3への変更点で接続部分の簡素化で点検が減ったとのことだがそれが原因としてありそうか

岡田:そこが原因ではないと考えている。接続の方法などはあるかもしれないが、設計を変更したからということはないと考えている。

JSTサイエンスポータル草下:一段エンジンに着火後燃焼も始まっていた?

岡田:その通りです。推力が立ち上がったところを検知している。エンジンは正常だったとみている。

NewsPicks中居:中止で機体や衛星への影響は

岡田:衛星に影響はない。機体も損傷はないし今回の中止を除けば健全とみている。

中居:機体はどうなるのか

岡田:燃料を抜いたあとでVAB(組立棟)へ戻し点検。燃料の抜き取りは今日の午後いっぱいかけて。機体を移動する処置(接続配管の解除など)をし返送は夜8時か9時ごろと思う。

中居:組立棟の中で点検?

岡田:まずは設計的にみて、何が起きているのか追えるのでまずそこを。ハードウェアを見なければならない状況なのかはその次のこと。

共同通信七井:LE-9エンジンは正常に着火し燃焼したとのことだが再打ち上げで使える?

岡田:こういうことも想定して設計してある。打ち上げが一度中止しても次に使える設計。点検はしてその結果次第だが今のデータ的には問題がなく、次も使えるものと思っている。

NHK鹿児島放送局平田:延期で機体が長く置かれていたことの影響はあるか

岡田:原因がわからないのでなんとも言いにくいが、種子島に来てからきちんと保管されているし機器の保管期限を決めている中で待機しているため問題はないと考えている。原因の究明次第。

共同通信社鎮目(しずめ):中止と失敗について、モヤモヤするので。一般的に、意図的に計画を途中で止めることを中止という。飛ぶはずの機体が飛ばない、意図しない異常による中断、中止は一般的にいう失敗ではないか

岡田:こういうことはときどきあるが、こういう状況で失敗とは言わない。

鎮目:みなさんの中では失敗とは言わないが、失敗と言われることも甘受しなければならないのではないか

岡田:解釈は受け止め方がある。ロケットは安全に止まる状態で設計している。設計の範囲内で止めている。「意図しない」は設計の範囲を超えること。想定している中の話なので失敗とはいいがたいと思う。

鎮目:システムで対応できる範囲内の異常で止まったということか

岡田:検知できる異常によって安全に止まっているという状況です。

鎮目:それを一般に失敗という。ありがとうございました

日刊工業新聞加藤:エンジンを一度着火した。安全なところで止まった?

岡田:安全に止まるよう設計していてエンジンは通常通り止まった。止める信号が機体から来て、止まるべくして止まっているため問題はないと考えている。ロケットの打ち上げ中止はひと通り点検しその中で判断する。

南日本新聞五反田:一段の制御用機器やその他の機器で、H-IIAとの違いは

岡田:なかなか一言では説明しづらい。ロケットの機能はだいたい決まっている。それをどう一つの箱に機能を割り当てるか、どういうつなぎ方をするのかなどの違いはある。一段エンジンの舵角を振る、首振り運動をさせる機器はH-IIAでは油圧だったがH3は電動という違いがある。全体にいろいろ違っている。

五反田:電気信号を送るところに省電力化などはあるのか

岡田:それが今回の現象とどうつながるのかわからないのでどう答えればいいか難しいが、
機器の機能の配分を変えている、電動の制御装置がつながっているなどの違いがある。

アラフネ計画荒舩:今回の不具合はロケットを打ち上げする状態に組み立てて初めて起こることという理解でよいか。また、SRB-3を着火する際のチェック項目は何項目くらいあるのか

岡田:模擬的に負荷をかけることはこれまでもあった。シーケンスを流すのは何度かしているが実際に現物で動作させるのは初めてのところもある。だいたいのところは模擬できていると考えている。SRBに信号を送るところで止まっているためSRBそのものに原因はないと考えている。詳細は原因を究明しつつ。
チェック項目の数はどう答えたらいいか…カウントダウンシーケンスは順次進んでいく。LE-9の立ち上がりがどこまで進んでいるか、推力がどのくらい立ち上がったかなどを見るし各機器の状態も見ている。オールグリーンならSRB-3の着火に入る。その間に割り込みで信号が入ってくる。

読売新聞渡辺:再打ち上げについて改めて。予備期間のうちにとのことだが少なくともどのくらい時間が必要なのか。数日か数週間か、現実的にどのくらいかかるものか

岡田:原因次第。ロケット本体を外に出して、燃料を充填したあとでも再打ち上げは数日でできる。原因によって日程が見えてくる。原因究明中なのでわかり次第考えていく。

渡辺:新規の1号機だが信頼性への影響はどう考えているか

岡田:原因がどこかをはっきりさせた上で、信頼性が高いH-IIAの後継機なのでそれ以上にしていきたい。原因を究明してから評価していただければ。

産経新聞伊藤:異常検知部分、第一段ロケットを制御するシステムの中で異常が起きたということ?

岡田:広い意味で全体の機能を制御する中で異常があった。

伊藤:検知されるべき異常はどういうことが対象として考えられるのか

岡田:たとえば回路内の電圧の問題、来るべき信号が来ない、電気的にはそういうこと。

伊藤:第一段の動作がおかしいなども検知されるのか

岡田:機能動作をチェックしている

伊藤:エンジンの噴射口の向きの制御のほかには

岡田:エンジンに電源を供給している部分、つながっている電池からどういう系統で回路がつながっているかなどを見ている。第一段ロケット全体をコントロール、エンジンのノズルの向きを制御する、エンジン自体にも搭載されている電気箱(エンジンの中のバルブをコントロール)などがつながっている。

伊藤:異常を知らせる信号の中に「どこが悪い」という情報は乗っていないのか

岡田:たどっていかなければわからないこともあると思うがわかると思う。エンジニアが回路を今たどっている。ここに異常を検知した、その原因はなんなのかを調べている。
設計者自身が見ているのでなにもわからないわけではなく、技術者同士で議論している。
1秒の1/100単位で動作している回路の中でなにが起きているのか、タイミングも見ていかなければわからないところがある。データを追いながら分析している。

フリーランス鳥嶋:LE-9の立ち上がりは正常だったとのことだが性能の100パーセントまで達していたのか

岡田:100パーセントに近いが100パーセントではない。

鳥嶋:離床に問題のないところまでは来たのか

岡田:はい。機体で判断する限りLE-9は正常です。

鳥嶋:ホールド解除されたのか

岡田:解除されている。ホールドダウンはSRBがないと必ずしなければならない。SRBがついていれば本当の直前でなくてもよく、今回はカウントダウンで18秒前に解除。

鳥嶋:SRBの重みで安定している?

岡田:はい。

鳥嶋:あとはVABに戻す前に固定する?

岡田:いえ、固定せずに戻します。それは問題ありません。

フリーランス大塚:さっきの質問と同じだが、異常が見つかった場所はログを見ればすぐわかるわけではない?

岡田:かなりの短時間でいろいろな信号のやりとりがある。ていねいに追いかけていかないと見誤ることがあるかもしれない。機体の中のデータを吐き出して分析しながら原因がわかってくると想像している。

大塚:ログはまだダウンロードしていない?

岡田:ログはあるのでそのログと回路やロジックを付き合わせながら、おおもとの原因を探っていく。

大塚:どの機器で異常があったかは数日でわかるか

岡田:電気の専門家ではなく感覚で申し上げられないが、こういうことが起きたときの経験では、ある程度の追い込みはわりと短時間でできていたと思う。今回も期待している。

ニッポン放送畑中:カウントダウン0のときに出ていた煙は正しい現象?

岡田:正しい現象です。ロケットエンジンが燃焼するときは煙道に水を噴射していることもあり、高温のガスと水が混ざって全体が雲のように出てくる。

畑中:エンジンには魔物がというがエンジンだけではないのか

岡田:ロケットというのはエネルギーが凝縮されているシステムであり複雑な現象も起こりうる。だからこそ打ち上げの瞬間まで、ぬかっているところはないかとエンジニアたちが考えている。その結果としてこのような事実がある。■

サイエンスポータル草下:打ち上げシーケンスについて。Xマイナス6.3秒がLE-9のスタート、SRBがXマイナス0.4秒といった計画値だったが、今回の速報値は出ているか

岡田:今はまだ出ていない。信号なので計画値からずれることは考えづらい。

草下:LE-9はエンジンスタート、SRBは点火となっているが理由はあるのか

岡田:特にない。液体燃料エンジンに「点火」とは言わないのでこう書いている。「着火」なら使う。

草下:点火と着火の使い分けはあるのか

岡田:なんとなく使い分けている。火薬系は点火と書きたい。

読売新聞笹本:LE-9着火からSRB点火までの間に何かがあったと思うが今わかっていることは

岡田:いつかわかると思うが今はわからない。

笹本:CFTで問題が見つかって修正されている。制御機器は動きも見ると思うが事前点検でどこまで見るのか

岡田:CFTでは今回と同じ現象は起きていない。CFTとの違いを含めて、どんなことがあったのかこれから究明する。

笹本:CFTではどんなところまで見るのか

岡田:シーケンス、コンピュータをどこまで動作させるのか、変な動作をしないのかはいろいろなパターンでチェックしている。ただ実際に着火しているわけではないし、本番と同じだけの電気的負荷はかかっていない。そのあたりも原因究明の材料になる。

ネコビデオNVS金子:機体移動から打ち上げまでの作業について。6時間の余裕を見ているとのことだったが順調だったか

岡田:まあまあ順調だったと思う。1つのマイルストーンとして…ロケットは燃料を充填しつつ機能点検をする。それをレビューするタイミングがある。そのタイミングはずれなかった。おおむね順調だったといっていいと思う。

日経クロステック斉藤:過去に日本の宇宙開発で、今回のようなSRBが点火せず延期になったことはあるのか

岡田:一番近いパターンはH2ロケット2号機。メインエンジンは着火したがSRBに点火しなかった。ただしどこから信号が出るかなどは設計が違う。パターンとしては似ている。

斉藤:1994年8月くらいと思うが

岡田:その年の後半ですね。初号機が年初だったので。

毎日新聞池田:説明図で確認したい。第一段制御用機器がその他の機器で発生した異常を検知して着火信号を出さなかった?

岡田:異常が発生した部位は特定できていない。第一段制御機器本体かその他の機器かは特定できていない。全体に網をかけながら分析していく。両方の可能性がある。

池田:対一段制御用機器は姿勢制御や電源制御の機器?

岡田:エンジン制御、電池もぶら下がっている、…詳しいものに聞いてあとでお答えします

池田:センサーに異常があった可能性は

岡田:今のところそこまで識別はしていなかった。可能性のないものは調査から外していく。
(紙が差し入れられる)
先ほどの質問。ロケットの第一段には推進系というバルブがついている。そのコントローラー、エンジンを動作させるコントローラー(制御機器)、首振りのためのコントローラーが第一段制御用機器には入っている。

南日本新聞山田:一号機の打ち上げ費用はいくらくらいを見込んでいたのか。また今回のミッション未達成によって生まれる損失額の見積もりがあれば

岡田:一号機は開発品で、これ自体を開発しながら組み立てている。第一段の打ち上げ費用を切り出すのは難しい。直接的には消費した燃料、打ち上げ単位の費用などが追加になっていく。金額は今のところなんとも申し上げられない。

山田:H-IIAの打ち上げ費用は100億円。それより小さいとはいえないか

岡田:本体だけで申し上げると安くなっていると思うが、試験機一号機にはこれ自身をやってきての今の機体なので一号機だとお答えしづらい。

フリーランス林:H-II2号機が同じパターンで停止した。スペースシャトルにも同じような停止があったと記憶している。止めることができたのは(なにも問題なく打ち上げられるのが最善だが)損失を防いだとも考えられる。ロケットエンジニアとしての考え方、「打ち上げ失敗」とも報道されるが聞かせてほしい

岡田:打ち上げの間際まで、いかに安全な状態で、いざとなったら停止させるかということにかなり気を遣っている。何度もいろいろなパターンで訓練したり停止のしかたを検証したりしている。H3の停止は設計通りと考えている。
だからいいと考えているわけではなくしっかり受け止めて次に臨みたい。

林:CFTのときはSRBは燃焼させなかったが、SRBが働いたと考えられる時間まではリハーサルをしたか

岡田:CFTの前のリハーサル? CFTそのものか

林:CFTはエンジン燃焼まではしたと思うが、それ以前のリハーサルでも行われているのか

岡田:やっている。いつどんなコンフィギュレーションで試験したか見直したい。模擬的な止め方、正常に流すといったことをくり返した。今回なぜこのような現象に至ったかをまずは見極めたい。

林:今までは今回のような不具合はなかった?

岡田:ありませんでした。

読売新聞笹本:CFTではSRBに点火信号を送ることに関しては実績があった?

岡田:いえ、その前に止まっています。

笹本:過去のCFTではSRBが燃焼しないとしても点火信号を送っていた?

岡田:おそらく送っていなかったと思う。点火信号を送るのは今回初めてではないが。

笹本:異常の検知タイミングは

岡田:正確なところはまだわからない。次回お伝えしたい。

笹本:第一段の機体システムのどれかが異常を検知したということで…

岡田:異常を検知したのは第一段の制御用機器。異常がどこで起きたかは特定できていない、という状況。
回路内の電圧値がどうだったのかなども含めて詳細に分析しなければいけない。そんなに時間はかからないと思う。

笹本:システムが変わったこと、新規開発のところが原因かはまだわからない?

岡田:電気関係はH-IIAとH3はほぼ違う。新規開発だが新規開発したがために今回の事象に至ったかはわからない。
開発ものはあちらこちらが新しいもので、新しいからどう、継続使用だからどうという見方はしない。

共同通信須江:事象の程度の評価、受け止めは。深刻なものなのか

岡田:ロケットの打ち上げ中止は大きなことと受け止めている。原因が何かはまだ調査中。根深いものがあるのかは次回ご説明の際にはお伝えできると思う。今はなんとも言えない。

須江:第一段と第二段を合わせて第一段という表記を資料で見たことがあるが今回の異常はどこなのか

岡田:第一段と第二段で重なっている部分がある。第一段と第二段の区分けが難しいところもある。場所的には第一段の中でもエンジン部、図の中で拡大しているLE-9周辺で起きている。
まだ原因が特定できていないのでなんとも言えないが、搭載機器はだいたいここなのでここと思う。

須江:SRB-3に点火する自動チェックの中で異常を検知したのか、

岡田:異常を検知したあとSRB-3の点火信号が送出されるタイミングになったため信号を送出しなかった。

NewsPicks中居:LE-9を止めるための装置は一段目制御用機器にないのか

岡田:何かが起きたとき、SRBに点火しないと自動的にLE-9を停止するしかけになっている。短時間の燃焼試験をしたような燃え方になっている。

中居:H-II2号機の中止のときも「失敗」とは言わなかった?

岡田:はい。安全に停止して原因を突き止めてリベンジしたと記憶している。

中居:最初の質問のとき感極まっていたようだが、失敗と受け止めた方もいると思うが失敗ではない?

岡田:失敗したらこんな気持ちにはならないと思うんですけど、打ち上げミッションを待っていた方、一緒にがんばっていただいた方に残念な思いをさせてしまったことが一つと、天気の関係でこの2日間延期したとき、種子島宇宙センターには多くの応援して頂いている方がいらしていていろいろ話もする。…そういうお子さんもいらっしゃいまして、ごめんねという気持ちですかねこれは。すみません。(涙を拭く)

フリーランス秋山:衛星について。だいち3号(ALOS-3)をいったん下ろすのか。その場合衛星分離機構はいったん外してもまた使えるものなのか

岡田:再打ち上げまでの期間によると思う。そういう大きなインパクトがないように備えたい。だいち3号は環境のいい状態でロケットに搭載し次の打ち上げを目指したい。
分離機構の再利用は原理的には可能。

日経クロステック松浦:今後の標準的なトラブルシューティングの手順を教えてもらえますでしょうか。まず機体をVABに返送する。それと並行して電気系の検討を図面レベルで進める。必要に応じて機体の検査を行い真の原因を突き止めて必要に応じて対策を行う。その後に次の打ち上げ日を設定する、というような理解でよろしいでしょうか。

岡田:おおむねその通り。いかに並行して行うかがポイント。

時事通信神田:先ほどの質問で第一段の制御用機器に問題があるかそのほかに問題があるのかわからないとのことだが、異常の誤検知の可能性もあるのか

岡田:その可能性も残しながら検討する。突き詰めていくと誤検知ではなく実現象と見えてくるかもしれない。なんともいえない。その検証はそんなに時間がかからないと思う。
これまでもシーケンスを流して確認しているし、網は広くかけてつぶせるところはつぶしていくのが我々の進め方。急ピッチで進めたい。最初に排除すると見落とすかもしれない。

神田:トラブルの洗い出しに、SRBといういったん点火したら止められないものがからむことは関係するのか

岡田:SRBは主要な登場人物ではないと思う。LE-9も。

日刊工業新聞飯田:打ち上げの予備期間が終わったあと、次の打ち上げ期間はいつなのか

岡田:だいち3号ははやぶさのようにこの期間に打ち上げなければミッションを達成できないものではなく、地元や関係者との調整の中で打ち上げ期間を決めている。技術的にはいつ打ち上げてもよい。

飯田:3月10日以降に延びる可能性はあるのか

岡田:予備期間は決められており、その中で打ち上げを目指す。

宇宙作家クラブ渡部:数字の確認。火工品点火からのシーケンスは

岡田:Xマイナス6.3秒でLE-9エンジンスタート、Xマイナス0.4秒でSRB-3点火。

渡部:LE-9のエンジン停止のコマンドはいつ送出されたか。

岡田:Xプラス何秒で停止のコマンドが入っている。

JAXA広報:今後の予定。原因の究明と対策を鋭意進める。次の説明会がいつになるかは具体的な情報がなく、適宜お知らせしたい。

(以上)

超小型探査機OMOTENASHIの運用状況に関する記者説明会(11/22)

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超小型探査機OMOTENASHIの運用状況に関する記者説明会(11/18)

日時

  • 2022年11月22日15時~

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超小型探査機OMOTENASHIの運用状況に関する記者説明会(11/18)

超小型探査機OMOTENASHIは、現状、太陽捕捉が完了せず、通信が安定しないため、姿勢の安定、電力の確保、通信の確立の為の運用を継続して行っております。
OMOTENASHI の運用状況についての記者説明会を開催しますのでお知らせします。

日時

  • 2022年11月18日15時~

登壇者

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中継録画

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(0分25秒に開始)

参考:OMOTENASHIチームのツイート

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