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小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(レーザ高度計と近赤外線分光計の初期観測結果、リュウグウの形状モデルなど)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、およびリュウグウの観測状況等について説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(18/08/02) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年8月2日(木)15:00~16:00

登壇者

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(image credit:JAXA

左から久保田/平田/北里/水野/吉川

中継録画と配付資料

小惑星探査機「はやぶさ2」のリュウグウ近傍における運用状況

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本日の内容


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目次

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はやぶさ2」概要

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ミッションの流れ概要

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.レーザ高度計の初期観測結果

LIDARによる形状測定

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p44参照

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近傍に来なければ観測できない。

クレーター地形

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クレーター仮番号6は写真の左端、仮番号12は写真の右側

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3.近赤外分光計の初期観測結果

装置概要

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マーチソン隕石は水分含有量が多く、反射スペクトルは特定の波長で吸収がある

装置の状態と観測実績

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観測被覆率

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探査機の首振りを利用して小惑星全体を観測する。色つきのところがNIRS3で観測済みのところ。赤いところはよく観測している。白いところは未観測

現時点のおもな結果

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4.リュウグウの形状モデル

(平田先生から)

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このページ↑のリュウグウは立体モデルデータ

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会津大学SfM法、神戸大学はSPC法

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2つともよく似た形状であり、写真から推定するリュウグウの地形がおおむね正しいとわかる

リュウグウの南北

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(動画)

リュウグウは地球と逆回りに回転しているので、地球の北極とリュウグウの北極は逆の位置にある

リュウグウの四面図(リュウグウの北極が上)

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リュウグウの断裁陰影地形図

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標高が高いところは赤、低いところは青

コマやそろばん玉のような形、赤道が出っ張っている、ボルダーが散らばっているなどが形状モデルからわかる

5.ミッションスケジュール

(吉川)

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BOX-C運用概要

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BOX-Cでの画像

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1pxが60センチメートル。数メートルのボルダーが見えている

中高度降下運用概要

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現在上昇中。順調に進行中

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中高度降下運用概要とBOX-C運用の比較

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高度はほぼ同じだがほかはいろいろ違うということ

中高度降下運用において撮影されたリュウグウ

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Twitterに公開した画像を並べたもの

重力計測降下運用概要

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約1.4キロまで降下する

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6.共同研究

(久保田より)

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JST科学技術振興機構)と共同で進めている

vSLAMについて

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はやぶさ2」への技術的貢献

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共同研究成果【その1】株式会社アイヴィス、株式会社ビュープラス

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共同研究成果【その2】株式会社コンセプト、株式会社モルフォ

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はやぶさ2」取得画像の処理結果

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(image credit:JAXA

左端と右端ははやぶさ2チームが作成、左寄りは会津大学、右寄りは探査ハブが作成

吉川「色には特に理由はない。右端のは黒く塗った。これが一番実際の色に近いのでは」

探査ハブの共同研究

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7.今後の予定

(吉川)

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参考資料

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質疑応答

宇宙作家クラブ上坂:リュウグウのモデルデータはいつごろ公開になるか

平田:現在も新しいデータが得られるたびモデルを更新中。今は赤道上空から撮ったもの。南極や北極からのデータは不十分。
観測を続けてリュウグウの形状についてわかったとなるが公開を考えたい。科学的解析のデータとして最終的にはアーカイブとして公開される。それはかなり先のこと。
その前にどうするかは検討。需要があることは十分承知している。

上坂:画像から自分たちもモデルデータを起こしている。それはナンセンスと思う。20キロからのデータを公開しないか

平田:検討したい。

共同通信すえ:北里先生へ。表面の水について。今は水は見つかっていないのか

北里:その通り。ほぼ0パーセントに近い水分量。

すえ:地下にあるかもとのことだが深さの見立ては

北里:そこは難しい。表面は宇宙線によって風化していたり、太陽光の熱で蒸発していると考えられる。その深さは数センチレベル。人工クレーターを作れて水があれば観測できるだろう。

時事通信かんだ:極域に水があるかもとのことだが極域からNIRS3で観測?

北里:そのつもり。

かんだ:赤道域に水分がなく、極域にあるということはあるものなのか

北里:今後論文を書く関係上、ここは多くを申し上げることはできない。

かんだ:まだ極域を見ていないから含水好物があると期待しているのか、今見ているところにないから極域も同じ程度とみているのか

北里:NIRS3ではなくONCで見たとき南極の大きい岩はちょっと違っている。NIRS3で見ると違う結果が出るかも

かんだ:水や有機物の由来を探る場合、含水鉱物がなかったとしても有機物が存在しうるもの?

北里:リュウグウの特徴に反射率がとても低いということがある。それを説明するのは有機物の存在。水と関係なく存在しているのではないか。

ライターあらふね:クレーターのふちの高さはなにを基準にしているのか。ふちの高さはぶつかった天体の大きさや速さに由来するのか

水野:ふちの高さは周辺の平均な面からどのくらい盛りあがっているか。測定データを積み重ねて正確にしていく。
ぶつかった天体はすぐ知りたくなるが地形データは取り始めたばかり。これから積み重ねていく。

あらふね:はやぶさ2が接近するとき水や有機物があるだろうという話だった。観測で予想と違っていたことは

北里:リュウグウのようなC型小惑星はほかにもある。比較的大きいC型小惑星は地上から数十個観測できていて8割くらいから水の吸収を見つけていたので確率的にはリュウグウにも水が存在するだろうと考えた。その予想は外れたが「当たり」だと思っている。水の吸収がなくてこの低い反射率は隕石などにもない。初めての種類のものをサンプルリターンできそう。

あらふね:タッチダウン地点は絞れてきているのか

吉川:工学とサイエンスのチームがそれぞれ検討中。工学チームは安全にというので平らなところ、ボルダーが少ないところを調べている。候補地は現在十数個。サイエンスのチームはさまざまなデータから科学的に面白そうなところを探している。8月末に決定。今後の接近観測の結果で変わってくるだろう。
平らなところも20キロのホームポジションからが中心なのでそこにもボルダーがあるかもしれず今後変わる可能性も。

あらふね:9月や10月のタッチダウンに遅れはないのか

吉川:ランダー、ローバーの着陸やタッチダウンは予定通り進めるつもり。

毎日新聞永山:北里先生。水の枯渇状況について。アエンデ隕石との違い

北里:水の量としてはアエンデ隕石と同じ程度。ただしアエンデ隕石は反射率が比較的高く10パーセント。リュウグウは2パーセント程度でかなり低い。アエンデ隕石と同じ物質はないだろうと予想。

永山:水が多いC型小惑星との違いは

北里:水の吸収がなく反射率が決まっている小惑星がないので今はなんともいえない。

永山:形状データは今後わかる細かいボルダーも含めた再現をするのか

平田:はい。形状データを作るには画像で見えているもののいろいろなパターンを照らし合わせて復元する。画像と同じ解像度の形状モデルを作るのは難しい。現状得られている画像の解像度の数倍くらいの解像度で形状がわかっている。
SPC法はステレオ視に組み合わせて明るさの変化を追うことで細かいレベルまで凹凸を調べられる。これらの方法で細かいデータを作れるだろう。

永山:2種類の方法でモデルを作る理由は

平田:1種類だけではそれが実際そうなのか確証が持てない。異なる方法で作って同じなら信頼性が上がる。
一方の方法がダメになったときのバックアップとしても。方法が違うので得意な点、不得意な点があり補い合える。

NHKふるいち:水野先生に。クレーターの大きさと深さが新しくわかったことについてどうとらえているか

水野:改めてレーザー高度計で直接的に、より正確に求めることができた。小惑星の形成の科学について有意義なデータが得られている。

ふるいちリュウグウ全体の大きさに対してこのサイズはどう思うか

水野:大きさや形は測定を重ねて議論の対象にしていく。

ふるいち:着陸という面ではどうか

吉川:着陸はボルダー、岩塊が少ないことが大事。クレーターの中がそうなら着陸候補地点になる。
熱の問題もあり、深いところだと周囲から熱を受けてしまうかもしれない。
斜面に下りるとなると太陽電池パネルが傾くのでよくない。
現状、クレーターの中も候補地点にはなっている。

NVS斎藤:北里先生へ。NIRS3のデータが出始めている。リュウグウに含まれている岩石の種類やバラエティはどうか

北里:今のところ特徴はほとんど得られていない。

斎藤:極域に反射率が高いところが見つかっているが(音声途切れる)

北里:(音声途切れたまま)

吉川:(音声途切れたまま)

朝日新聞はまだ:水の可能性について。初期観測の結果だそうだが今後どのくらい観測するのか

北里:定期的に観測を行う。予定としては重力計測降下運用のとき、より低いところへ下りるのでさらに解像度が高いデータを得られるだろう。BOX-Bで極域の観測を行う。先のことだがインパクターでのクレーター実験で地下内部の観測もしていきたい。

はまだ:表面に水を含む鉱物がある可能性はあるのか

北里:そう信じている。

はまだ:水野さんへ。わかっている範囲でクレーター仮番号6はあの一番大きなクレーターか

吉川:直径210メートル。全体を見たとき一番大きなクレーターではない。クレーターといってもインパクトクレーターか単なる陥没かはわからない。クレーターができた原因も含めて解析していく。
一番大きなクレーターは経度90度で正面に来るもの。直径300メートルほどあり6番ではない。

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一番大きなクレーターもLIDARで観測はしている。

はまだ:300メートルクラスの一番大きなクレーターは考えられていたリュウグウの成り立ちからありうるものなのか

吉川:サイエンスチームは今まさに議論になっている。インパクトクレーター、他天体がぶつかったものだとするとどのくらいの大きさの隕石がぶつかったのかなどを解析する。表面物質の性質や全体の構造、ラブルパイルかどうかも関わる。サイエンス的には面白いポイント。結論はまだいえない。
一番ありそうなのは隕石の衝突だが、リュウグウの自転が遅くなったことと関係があるのかなど、いろいろな可能性がある。今後の可能性で解明していく。

ニッポン放送はたなか:13ページの「科学的な解釈」について。「(2)二次的な加熱による脱水を経験した」なら望みがあるということか

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北里:その通り。

はたなか:水がないことについて吉川先生からも

吉川:ある意味意外で、C型だから水の吸収が当然見つかると思っていたらそうではなかった。初めて行く天体ではなにが起こるかわからず、面白いデータ。どういう意味があるのかを突きつめていきたい。

はたなか:降下運用は順調か

吉川:はい。中高度降下運用は小惑星を確認しつつわりと速く下りていって上昇できた。

はたなか:さらに表面近くへ下りることでの注意点は

吉川:重力測定も無事できるだろう。1キロほどとさらに下りるのでさらに慎重に。

毎日新聞いけだ:クレーターについて。見た目一番大きなクレーターはまだLIDARで観測していない?

水野:観測しています。
今この場ではデータがないので申し上げられないがデータは取っています。

いけだ:深さと直径の比率が重要なデータなのはなぜ?

水野:その比率で、惑星を構成する材料やクレーターが過ごしてきた環境がわかる。

いけだ:北里先生に。実際に観測された反射率がどのくらいというのはいえるのか

北里:だいたい2パーセントくらい。

いけだ:「二次的な加熱」にはなにが考えられるか

北里:太陽光で照らされて暖かくなる。今は最高でも100℃だが過去にはもっと太陽の近くを回っていた可能性がある。

(以上)