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H-IIBロケット3号機/こうのとり3号機打ち上げ経過記者会見(第一部/第二部)

第一部登壇者

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(ひな壇)

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(右脇)

経過報告と挨拶


立川:打ち上げ経過について。若干の雨が降っていたが時刻通りに打ち上げた。こうのとりの運搬を目的とした打ち上げであるが軌道投入も正確にできた。今の段階では成功裏に推移している。

古川:打ち上げの成功を心からうれしく思う。我が国がISSの運用に大きな役割を果たすものと期待している。H-IIBが3回連続で成功したことをもって我が国のロケット技術の信頼性の高さを示すことができた。宇宙政策委員会や宇宙戦略室も立ち上がった。今後も積極的に推進していきたい。

神本:まず文部科学省として打ち上げ成功を喜ばしく思っている。関係各位にお礼を申し上げたい。3機連続、H-IIAも含めれば18機連続成功。我が国のロケット技術の着実な発展と信頼性向上を示すもの。無事にISSへ結合するよう見守りながら万全を期していきたい。

質疑応答

鹿児島テレビにし:打ち上げが成功した率直な気持ちは
立川:毎度打ち上げはたいへん緊張する、今回も例にもれない。雨を若干心配したが射場はそれほど降らずうまくいった。この成功をもって民間移管をしたいと考えているのでうまくいって喜ばしい。

NHKやなぎはら:物資の輸送はほかにロシア、アメリカの民間輸送船もある。こうのとりを打ち上げる意義と今後の課題は。また中国が独自の宇宙ステーションを立ち上げている。日本の長期的な目標は
古川:スペースXにもこうのとりの技術が使われているときく。日本がリードしているといえるのでは。我が国は宇宙開発を国際協力の中で続けていく。宇宙基本法をふまえて宇宙戦略室が設置された。宇宙政策全体を考える宇宙政策委員会もできた。これらを中心に政府として中長期の宇宙開発利用、政策を実行していきたい。課題についてはきびしい財政事情もある。どう宇宙関係予算を効率化しつつ戦略的に進めていくかが大事と思っている。

テレビ東京宇宙ニュースいわお:H-IIB打ち上げ成功に対して宇宙戦略室の位置づけ、イプシロンとの関係、H-IIIロケットなど後継機についての考えを。有人飛行も関係してくるだろうが大臣の考えていることを
古川:H-IIBは3回連続成功、H-IIAも連続成功している。日本の技術の信頼性の高さを示している。前回の打ち上げでは韓国の衛星を打ち上げた。技術をいかしていきたい。今後どうするかは宇宙戦略室やその下の宇宙政策委員会で考えていく。有人についてはISSへの参加や宇宙探査は将来の人類の活動範囲を広げたり宇宙の謎の解明につながる。国際協力の中で参加していくのが重要。ISSは世界15か国共同、日本はアジアでは唯一。国際的協力関係の中で有人も長期的展望にもとづき進めていきたい。
いわお:有人ロケットを日本で開発する選択肢は
古川:もちろんそういう技術は開発していきたい。今回大気圏再突入にあたってデータを取るi-Ballというようなものも載せている。日本も当然有人技術を将来的には開発していきたい。

西日本新聞のむら:民間移管後、三菱重工にどんな運用を期待しているか。またJAXAのサポート体制について
立川:H-IIAはすでに移管した。打ち上げ能力は静止軌道に2トンほど。大型化している放送衛星などはH-IIBなどがよい。バリエーションを増やしていただきたい、打ち上げもしていただきたいという考え。イプシロンについてもうまくいけば品揃えとして大中小があればよいので民間に移管してあらゆる衛星打ち上げが可能になるのがよいと考えている。

日経ビジネスよしの:HTV-Rや有人飛行はいつまでに実現したいか
古川:長期の戦略をこれから検討し方向性を出していきたい。

南日本新聞よしなが:H-IIBを民間移管した場合開発中のロケットはイプシロンだけになり主力ロケットがなくなる。今後開発に本腰を入れていくのか。純国産ロケットを開発するプロジェクトは完了か
立川:仮称としてH-IIIを考えている。宇宙戦略室で決めていただくことになろう。H-IIAは使ってもあと10年。それまでに次のロケットを用意するため研究に着手したいと持論として持っている。実現に向けてがんばっていきたい。
古川:今後検討していきたい。

(東京会場へ)

読売新聞:世界需要の取り込みとH-IIIについて。アメリカではロケット開発を民間移管して低価格化につなげている。日本ではどうか。コスト面での国際競争力が課題とされている
古川:先日の法改正で民間にJAXAも協力できるようになった。国としても協力してコストダウンをしていきたい。コストを下げることは需要を掘り出すことにもつながる。日本の技術で衛星を打ち上げたいという需要を求めていきたい。
立川:国の方針としてロケット開発をしてきた。アメリカでは民間でできるということで移管している。H-IIAは民間移管した。H-IIBも移管する。H-IIIは国と民間どちらが開発するのか宇宙戦略室が決めていくだろうが協力関係を模索していきたい。

ニッポン放送はたなか:ISSには星出飛行士がいる。こうのとりをキャッチすることについての思いは
古川:こうのとりはエンジンも国産になり日本の技術が詰まっている。星出さんが待つISSに向かっていくことを誇りに思う。きちんと活用されることを期待したい。星出さんにはわたしたちに大きな夢を与えてくれている。特に子供に。宇宙政策を進めていくためには国民の夢とサポートが必要。宇宙のすばらしさ、宇宙の利活用がわれわれの将来生活にいい影響を及ぼしていくことを期待したい。

読売新聞ほんま:民間移管について。打ち上げ機会の拡大のために国はどういうサポートを具体的にしていくのか
古川:宇宙でない分野では日本の技術をパッケージで売り込んでいこうという大臣会合を2年ほど開いている。宇宙にもそうやって売り込んでいく位置づけをさせていただいた。民間にも参加してもらい官民挙げて売り込んでいきたい。宇宙にかかわる技術を官民挙げて努力をしていきたい。

(つくば会場へ)

NVSかねこ:イプシロンの民間移管について。どの程度まで具体的に話が進んでいるのか。イプシロンIHIの製品だが三菱重工とは別になるのか
古川:現在開発中なのでなんともいえず2、3回飛ばしてみないと手が挙がらないだろう。IHIエアロスペースにいくだろうが民間分散はいいことであろう。

種子島会場へ)

NHKはるの:宇宙戦略室や宇宙政策委員会は宇宙基本計画の改定で予算の順位づけをするだろう。宇宙はさまざまな分野があるがどこに重点を置くのか大臣の考えをききたい
古川:バランスがきわめて重要。実用準天頂衛星など生活に直接メリットを与えるものがある。国が進めているエネルギーの構造改革、翌日のエネルギー需要を予測するなどには気象衛星が大切。快適かつ効率的な生活のために宇宙の利活用は必要。しかし時間もかかる。優秀な人々が宇宙に入ってくることが大切。子供たち、若い人が宇宙に夢や希望をもつ環境を作ることも大事。星出飛行士がISSにいるし今日はここに野口飛行士がいる。宇宙でがんばる姿をみせたり、はやぶさに象徴される世界から賞賛を受けるような日本の技術。宇宙の起源を探るような夢や希望も大事。どうバランスをとっていくかが大事。宇宙政策委員会や宇宙戦略室はバランスを考えながら進めていく。

(フォトセッションへ)

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(第一部終了)

第二部登壇者

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  • H-IIBプロジェクトマネージャ 宇治野功
  • HTVプロジェクトマネージャ 小鑓幸雄

打ち上げ経過の報告

宇治野:非常によい性能の結果であった、第2段の制御落下も機器の性能が着実に作動していることを確認し想定域に落下させミッションは100パーセント達成した。
小鑓:投入軌道は我々が求めるちょうどまん中。HTVが使う燃料は少し減るのでは。心配していた3軸姿勢の確立もうまくいった。今後は今日の夕方高度調整マヌーバ、2回目は21時前でこのときメインエンジンを使うので国産スラスタの最初の利用となる。

質疑応答

朝日新聞やすだ:ロケットについて。打ち上げ時竹崎は雨がかなり強かったが射場の様子はどうだったか。打ち上げに与える影響はあったか。雨の打ち上げは今まであったか
宇治野:打ち上げの制約として降雨量は8ミリ/時間。フェアリング先端の断熱材が雨滴の中を飛ぶと壊れることがあるため。天候制約についてはロケット側では見ていないというか打ち上げに専念しており総合指令棟(RCC)でコントロールしてもらっている。カメラで見ていてかなり大粒の雨があり私としてはハラハラしどういう判断を下すのかなとX-10分のあとも安心せずシーケンスを進めていた。雨の打ち上げは以前もあった。

時事通信まつだ:アビオニクスの更新についてどういう評価か
宇治野:フライト前にテレメータの電源を入れるなどしてアビオニクスの機能確認を行った。その段階ではアビオニクスそのものではなくセンサーの断線か短絡のようなアンプの不具合などあったがフライト制御に使うものではないという判断で、データがひとつ足りなくなるが別のデータで評価できるとした。アビオニクスの再開発にともなう問題はなかったと考えている。不具合はアビオニクス機器としてはたくさんあるチャンネルの中で1つだけあったということ。

南日本新聞廣庭:打ち上げが成功した感想を
宇治野:ちょっとこう、疲れたところもあるが歓喜を分かち合い非常に充足感がある感じ。

西日本新聞のむら:打ち上げの民間移管でひと区切り。プロマネとしてはどういう感想か
宇治野:ロケットとしての基本性能が確認されたということ。確認事項、評価事項を持っている。わたし自身詳細データを見ていない。それを見た上で開発を終えた実感を得たい。

産経新聞おの:こうのとりは星出さんに送ることになるが宇治野さんは役割を果たしたことについてどう思うか。小鑓さんはこれから正念場、星出さんにメッセージなど
宇治野:大事な輸送機を我々としてはとりあえずいわれたぴったりの軌道に投入できて安心している。あとはこうのとりのほうで、ぜひともISSに本物の荷物を届けていただきたいと思っている。
小鑓:輸送屋であり運んでナンボなのでこれまでが第一ステップ、これからが第二ステップ。荷物の中に小型衛星の放出機構やAQH、MCEなど重要なものを運ぶ。国際的にも重要な輸送機としていきたい。ぜひ星出さんにつかんでもらって、そうすればHTVも喜ぶのではないか。宇宙遊泳のミッションも成功させてほしい。

NHKはるの:アビオニクスについて確認。予定通りに飛んだので問題ないということか
宇治野:地上で確認できるデータがある。テレメータで送ってくる。それをクイックに見ることである程度のことはわかる。機能としてはまず制御システムであるコンピュータであるとかセンサーユニットなどはちゃんと機能したから目標軌道に入ったということ。シーケンスもぴしっと決まっている。ミッション達成ということで問題ないということは示されている。内部のことは今後ちゃんと確認する。

(東京会場へ)

(つくば会場へ)

NVSかねこ:今回の打ち上げについて他機関から視察に来た方はいるか
小鑓:HTVの関係でESAやロシアのVIPが。
かねこ:HTVが初めて積んだ生物の荷物がクモであることについて感想は
小鑓:子供たちからの公募ミッション。いい映像が撮れるとよい。

種子島会場へ)

(…):キャプチャはオリンピックの開会前?
小鑓:開会時間をちゃんとは確認していないが開会式のちょっと前かと思っている。

南日本新聞廣庭:今まで技術者として開発してきて今回はプロマネ。これまでの歩みと今回の成功をどう思うか
宇治野:がむしゃらにさまざまな問題に対応してきた。短い時間で成果につながるような問題解決をするかバランスをうまくとることについて多くのスタッフの意見を取り入れながら時間内にうまくいった。チームワークとしてうまくいった。

(東京会場へ)

(つくば会場へ)

種子島会場へ)

宇治野:先ほど正式にプレスリリースしていない情報を言ってしまった。この会見は打ち上げ結果についてのもので、第2段の制御再突入についてはまだリリースしていない。
広報坂下:今後正式にご案内したい。

(終了)