数日前、裁判員になるかもしれない人にその通知が発送された。
「裁判員の候補になった」という話は、ブログのネタとしてはとてもおいしい。でもそのことを書いちゃっていいんだろうか。
そういうことはたぶん通知の中に書いてあるんだろうなと思っていて、でも現物を見ることができずもやもやしていた。
でも現実はもっと簡単に先を行っていた。「通知が来たよー」をブログやmixiで明かしちゃう人がたくさんいるそうだ。
裁判員制度の候補者名簿に登録された人が、通知が届いたことをインターネットのブログで公開するケースが相次ぎ、中には候補者の氏名を特定できるブログもあることが分かった。
裁判員法は候補者の個人情報を公にすることを禁じており、匿名のブログなら大きな問題はないが、個人が特定できるものは罰則はないものの、同法違反と見なされることになる。
通知書が各家庭に届き始めた29日以降、ネット上では通知書を受け取った感想や、封筒の写真を載せたブログが次々に現れた。ブログで氏名や顔写真を公開したうえで「通知が来た」と書いた男性もいた。
(2008年12月1日03時03分 読売新聞)
「裁判員通知来た」ブログで公開相次ぐ…氏名・顔写真も : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
「裁判員法は候補者の個人情報を公にすることを禁じており、匿名のブログなら大きな問題はないが、個人が特定できるものは罰則はないものの、同法違反と見なされることになる」
ここがポイントで、ハンドルネームしか使っていない「仮名」状態であるなど、個人を特定できなければ公表に問題はないようだ。でも誰だかわかっちゃう人が「来ました」と書いてるケースも多いらしい。
うっかり違法なことをしちゃったとしても、書きたくなる気持ちはよくわかる! どういう抽選方法でも「選抜された」のはうれしいし、それが裁判員制度というホットな話題であればなおさらだ。
でもそのことを公表していいかどうかは別の話で、これは「ブログやmixiにどこまで書いていいか問題」の嗅覚を持っているかの検査にもなったと思う。
自分が知った情報をどこまでそのまま書いてもよいかは、ネット上に文章を書く上でとても慎重にならなければならない。しかし、誰が読むかわからないのに犯罪の報告をネットに書いちゃう人もいるくらいで、特に20代以下のネット公表意識は教えれば上がるが、教えなければ無頓着という雰囲気のようだ。
(「魔法のiらんどには、サイト内を巡回し、啓発活動や警告・削除などを行うサイト監視制度「アイポリス」がある」。その運営をしている人にいわく)
「初めて携帯電話を持つ子には、個人情報は出しちゃダメと伝えたい。ネットだから、何でも書いているとプライベートなことが世界に公開されちゃうかもと教えてあげたいですね。携帯電話はパーソナルツールなので、世界につながっているということが子どもにはわかりにくいのです。子どもたちは、メールを書くように掲示板に書いてしまうという間違いを犯しやすい。掲示板が見られているということがわからないのです。だから、『友だちにしかURLを教えてないのに変な書き込みがあるのはなぜ?』という質問があったりします。」
10代のネット利用を追う: 子どもはわからないから問題を起こしているだけ〜「魔法のiらんど」に聞く<前編>
誰でも見られるところに秘密の話を書いちゃう恥は、早いうちに小さいことで体験しておくのがよい。「サイゼリヤのピザ返金で小遣いかせぎ」なんて書いちゃって、悪い意味で話題になる前に。
ネットに文章を公開する前に、「この文章は誰が見るか」「これはそのまま書いたら各方面に迷惑がかかるかも」といったん立ち止まるセンスを、無理なく多くの人に身につけてもらうことが大事なんだな。
でも相手が子供だと、社会のルールを教えるのが早すぎになるかもしれないし、なかなか難しいとも思う。高校生くらいなら、少し叩かれて強くなるくらいでいい。ただ不正な儲けネタなど、違法行為で手痛く学ぶようにはならないでほしい。