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日本科学未来館へ行ってきました

10月5日に「日本科学未来館へ行こう」のオフ会を開催して、行ってきました未来館

未来館といえばやっぱりプラネタリウムメガスター」であって、設置から数年たつ今でも休日だと開場直後に整理券がなくなると聞いていたため、がんばって早起きして開館1時間前の9時に着いてみると。

人、少なっ!

でもどんどん人が増えてきて、開館前には確かに100人以上の行列になってました。

オフ会のメンバーも全員揃って、メガスターの整理券をゲット。では上の階から見ていきましょう。

LE-7A。これはH-IIAロケットの1段目に使われているロケットエンジンなのじゃ。東京駅丸の内北口にある商業施設「オアゾ」の中にはJAXAの広報施設「JAXA i」があって、そこにもLE-7Aが置かれておるぞ。(JAXA iのオープン当初はH-IIAロケット2段目のLE-5Aだったのが、あとでLE-7Aに入れ替えられたのじゃ)

JAMSTECが誇る深海調査艇「しんかい6500」。実物大です。

人が入るところは開いていて、実際に中に入ることができます。狭ーい。

係の人(インタプリタさん。聞くとたいていのことは教えてくれます)に「トイレはどうするんですか」と聞くと「ありません。がまんします」とのこと。でも1回の探査に8時間かかることもあるそうで、潜る人は前日から水分をあまり取らないようにするとのこと。また深海だと水温が3度くらいになるため、外壁から冷気がしんしんとしみ込むそうです。ひえー。

スーパーカミオカンデの水槽内にある光電子増倍管。右下のは現物です。これをたくさーん並べて、ニュートリノを検出します。

ここで「メガスター」の上映へ。演目は「偶然の惑星」。

わたしたちの地球や生命は、たくさんの偶然が重なって今ここにあるという内容。メガスターIIの500万個の星空はまったくの引き立て役になっていて、そこはちょっと残念かも。

今は千葉の科学館に、星の数が2000万個(!)になった「スーパーメガスターII」があるので、そちらも狙いたいです。

これは国際宇宙ステーションの居住棟。個室やシャワー室などの様子を見ることができます。ここでうまいなあと思うのは、床が少し傾いていること。体がふらついて、ふつうの1G重力下にいながらほんのちょっと無重量気分を味わえます。館長の毛利衛宇宙飛行士が発案した由。

ASIMOのデモがありました。走るタイプです。キュイキュイとサーボモーターをうならせながら出てくる様子を見ると、なんとも不思議な気分。走る姿は見ていてさらに楽しい。

んですが、果たしてこれをこういう見世物小屋でない場所でなにに使うかというと、なかなか難しいよなあとも思うわけです。メカ的な性能はすばらしいんだけれど、ほかの用途(ってなんだろう)で使う場合、ヒトの形をしている必要ってあるのかなとか。

いやまあ、ここでこうして見ている範囲では制御すごいねえホンダがんばってるねえとただただ感心するばかりなわけですが。

「インターネット物理モデル」。5つある端末で「どこへデータを送るか」「どんなデータを送るか」を各8ビット、計16ビットからなる1パケットを作り、ネットへ送り出します。1ビットは白か黒の玉で表され、16個の玉がひとつのパケット(ネットを流れる「荷物」)となるつくりです。途中に10台ほど置かれたルータはパケットの「どこへ送るか」のデータを読み取り、適切な方向へ流します。

そうするうちに、パケットはデータの目的地(ほかの端末)に着きます。パケットの後半8ビットには文字データが1文字入っていて、端末の受信機にはその文字が表示されるしくみです。

よく考えると、端末は5つなので行き先指定には8ビットもいらないのではとか、まあいろいろありますが、機械とセンサーでパケット通信のしくみを可視化しているのはすばらしい。中学生くらいならこれがなにかをしっかり理解して楽しめるでしょう。小学生以下のおともだちは、文字が別の端末に送られることはわかっても、ルータの概念がちょっと難しいかも。

わたしはこれを試してみたかったんですが、子供たちが次々とやってきてなかなかできない。よし最後の一人だ、早くこの子のデータを流してしまえと説明をしていると、その子の友達がやってきて「次やるー」。しょうがないから次の子にも説明をして、ほれさっさと流そうよ。あれ、また別の子が…とやっていたら、整理券をもらっていた国立天文台の「4D2U」の開始時間に遅れてしまい、自分だけ見ることができなかったのでした。ああー。

ほかにはこんな展示も。

ライトペンで台に図形を描くと、その形状に応じてさまざまな反応を見せるインタラクティブ展示。しばらく見ていると、どんな図形がどんなふうになるかがわかってきますが、自分でライトペンを手に取ってやってみるとこれが面白い。図形を描く(入力)とそれに応じて変化する(出力)というのは、根源的な楽しさがあります。

そうそうそれから、八谷和彦さんの展示もありました。「よくできた科学は魔法と区別がつかない」というA.C.クラークの言葉をもとに、魔法を扱ったいくつかの物語をモチーフにして作品を複数展示するというもの。それはたとえば「星の王子様」であったり、佐藤さとるコロボックル物語五十嵐大介の「魔女」「海獣の子供」であったり。

その中に、「メガ日記」という10年くらい前のプロジェクトを用いた展示がありました。100人が100日間日記を書き、それをひとつにまとめるという、今からすると牧歌的ながら、人々がネットの可能性を模索していた時代らしい企画です。

その「メガ日記」で収集された日記が、壁に電光掲示板のように投影されている展示がありました。といっても肉眼では文字は読めず、特殊な箱を通して見て、初めて文字として読めるようになるしくみです。

そして箱を手にとって壁を見て、最初に目に入った日記を読み始めたらびっくり。出てくる言葉や内容が、どうもわたしの出た大学のことを書いているようなのです。いやこれは確かにそうだ。同窓の人が「メガ日記」に参加していて、それから10年を経た今、ここで自分がその日記を読んでいる。そう考えると、とても不思議な気分になったのでした。

最後に見たのが、これもJAMSTECが誇る地球深部探査船「ちきゅう」のドリルの先っちょ。青いのが柔らかい地層用、赤いのが硬い地層用。どちらもタングステンカーバイド製! でもタングステンカーバイドってなんですか? いやたぶんすごいものなんでしょう。

そんな調子で、朝から夕方までみんなで楽しく見て回ったのでした。

日本科学未来館、お台場にあってちょっと遠い感じがしますが、行けばまる一日遊べます。みなさんもぜひ行ってみてください。