目の前にすでにあるものを縦横無尽に組み合わせ、刺激的な推理を組み立てる面白さは十分。ただし話の組み立てや語り方は「ノンストップ・サスペンス!!」のようなキャッチフレーズが似合いそうで、まことに映画化向きで忙しい。一気に読ませる牽引力はあったけれど、おすすめ度はまあまあと感じた。
小説を読んだのは、実は数年ぶり。ずっと「ぼくは小説がよめない」だったのはたぶん、世間のすべてを相手にする今の仕事のせいだ。そういう仕事だと、他人の脳内につき合う余裕がなかったのだった。現実にあるものをもとにした小説だから大丈夫かなと読んでみたら、ちゃんと読めてほっとした。