おとといの日曜日に、遠い=古い銀河を探したりしている、銀河天文学の谷口先生をお招きしてお話を伺う。時間的にも空間的にもスケールが大きい内容を、面白く話してくださった。
興味深かったところは:
- 銀河どうしの衝突は、宇宙では珍しい現象ではない。銀河の衝突をシミュレートした10秒たらずの動画では銀河どうしが次々衝突していたが、そのタイムスケールは10億年程度。
- 一般的な銀河の星間密度は「太平洋にスイカ2個」。だから銀河どうしが衝突しても、恒星どうしが衝突することはまずない。
- 銀河どうしの衝突で、銀河から放り出されてしまう星が出る。しかし星にとっては、銀河内にあるか銀河に属さず孤独に生きるかで大きなメリットやデメリットがあるわけではない。
- 50億年後には銀河系も含めて多くの銀河が「楕円銀河」になってしまう。今はさまざまな形態の銀河をたくさん観測できる、ある意味幸せな時期である。
- すばる望遠鏡は視野が広く、満月を1ショットでとらえることができる。しかし月を撮影することはない。すばるのシャッタースピードが最短2秒なので、月のような明るいものを写したら真っ白になってしまう。遠銀河の観測ですばる望遠鏡が狙う銀河の明るさは30等級前後。
「1012年後にああなって、1017年後にこうなって」などと軽ーく話してくださるのだが、この2つには105=100000倍の開きがある。数字はlogで考えるのが基本、つまり0の数で比較、のような世界。スパンがあまりに広くて、スケールの大きさに頭がくらくらしてきた。ありがとうございました。
参考図書
生れたての銀河を探して―ある天文学者の挑戦 (ポピュラー・サイエンス)
- 作者:谷口 義明
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: 単行本
書影の似顔絵がそっくり!
絶版の模様。文庫になってほしい。