恵比寿の東京都写真美術館へ。展示のボリュームは少ないと思ったが、あまり疲れずにすむのはいいかも。
噂の、「ファミコン全ソフト一挙展示」は圧巻。そして、時代を下るごとにパンチのあるゲームが少なくなっていく様子もはっきり体感できる。一部のゲームにはちょっとした解説がついているが、それがメジャーなタイトルだけでなく『ヒットラーの復活 TOP SECRET』にもあったりして、マニア受けもある印象。
一方、ハードウェアの発売年表も出ていたが、ファミコン発売前の時代は、ゲーム&ウォッチ以外はまったく言及されていなかった。カセットビジョンやらアタリやらは、先史時代のゲーム機ということか。こういう場所に出品できるような「勝った」メーカーが歴史を作る、というつもりはないだろうし、家庭用テレビゲームはファミコンが最初、と誤解する人がいるとも思わないけれど、ちょっと気になった。
会場内には、宮本茂、堀井雄二、中村光一、田尻智、杉森健、小島秀夫、中裕司、糸井重里のインタビュービデオが流されているが、内容そのものは図録『ファミリーコンピュータ 1983-1994』(ISBN:4872338030)に収録されているものの抜粋。一部の人はあまり通らない声質で、ゲームの音がにぎやかな会場では聞き取りづらいところもあった。でも、本人が実際に話している様子を見ることができたり、インタビュー中に適宜挿入される映像としてMSX2版「メタルギア」だとか、ドラゴンクエスト各作品のタイトル画面を見たりできるのは、なかなか貴重な機会なのではないだろうか。
プレイアブルになっているゲームの中には、「ポートピア連続殺人事件」も。10分クリアの手順を覚えていって、即エンディングにしちゃうと面白そうだ。いや迷惑か。(参考:google:ポートピア 10分クリア)
今回の展覧会は、あまり広くない会場にソフトやハードを並べただけ、ともいえる内容で、2000年の水戸芸術館での「BIT GENERATION」(d:id:Imamura:20031010:p2で言及)と比べるとパンチに欠けていた。しかしよく知られているように、今回の「ファミコンソフト全部展示」にあたっては、ソフトの著作権者の洗い出しが行われた(→記事)。
将来的には、ゲーム機がなくても古いファミコンのゲームを遊べるよう、エミュレータのような形で再配布されるようになるだろう。その流れは、『MSX MAGAZINE 永久保存版』(ISBN:4756142109)や「Project EGG」などですでに始まっている。
今回の展覧会に際して、各ソフトの著作権者がかなりはっきりしたことは、ファミコンソフトでそういった展開をするための大きな資産となるはずだ。
(個人的には、ゲームキューブ用のゲームボーイプレーヤーのような、「ファミコンソフトプレーヤー」がそのうちに出るのでは、と思っているのだが、それはまた別の話)