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更新履歴的日記:更新履歴更新/GPS新時代

元記事:更新履歴更新/GPS新時代】

GPSの民間向けスクランブルが解除されたので、このページを更新。

GPSは、アメリカが軍事目的で上げたいくつかの衛星から発信される電波をもとに自分の居場所を測定するシステムで、民生品としてはGPSユニットやカーナビなどが発売されている。ただこれまでは、民間向けのGPSの精度はわざと低くなるように調整されていた。GPSの電波は全世界が等しく浴びているため、アメリカの敵国(具体的にどの国かはその時で異なる)でもGPSを利用できる。そのため、米軍以外がGPSを利用するにあたっては、低い精度の情報しか得られないようになっていたんである。

さて、ここに日本電素工業が発売していた(現在は完売)パソコン用GPSユニット、GPSR-5200がある。PCカードでノートパソコンと接続すれば、パソコンで自分の居場所を測定できるというものだ。これにソニーのカーナビソフト、Navin' Youを組み合わせれば、車内に持ち込んだノートパソコンとGPSユニットを使って市販カーナビに優るとも劣らない…いや、実のところ測位の精度に関してはけっこう劣っていたんである。というのは、車載専用のカーナビはGPS衛星からの電波に加えて、DGPS(ディファレンシャルGPS)というFM電波による補正機構を併用しており、すでに測位の誤差は数メートルにまで上がっていた。さらに車載型の場合、車のスピードやハンドルの切り具合などを参考に、より精度の高い測位が可能になっているのである。一方GPSR-5200はあくまでGPS衛星からの電波だけをもとに測位する。これだと、50〜100メートル程度の誤差が出る。実際、一本隣の道路を走っていると勘違いすることはしょっちゅうだ。以前車を1時間ほど駐車している間、測位を続けてみたことがある。電波の受信状態が悪い場所だったせいで何度も測位し直したという事情もあるが(普段は、一度測位すればそこからの相対的な移動速度や移動距離も測位に利用できるため精度が上がる)、止まっているはずの車が200メートルほどの範囲をうろうろしているという結果が出た。DGPSを使わないGPSでは、精度はその程度だったのだ。

それが先日から、民間向けのGPSでも誤差が10メートル程度と、高い精度の情報を得られるようになった。敵国など、特定の地域にのみ精度の低い情報を送ることができるようになったためで、GPSの利用者には福音である。さっそく車にノートパソコンとGPSユニットを持ち込み、そのへんを走り回ってみた。確かに精度は上がっている気がする。いったん衛星を見失ってから再度測位したときに、走っている道がずれてしまうということがまったくない。今日は電波の受信状態が良かったし、ルートガイド機能を使わず現在位置の表示機能だけを使ったから、もしかすると状況によっては印象が変わるかもしれないが、ひとまずここまで高い精度の位置情報が得られるとなれば、利便性や安心感がだいぶ高くなる。GPSを使ってのドライブがさらに楽しくなりそうだ。