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99/03/17 (Wed.)

元記事:夜の記憶−99/03/17 (Wed.)】

宮部みゆき『魔術はささやく』読了。3つの自殺から語り始められる、贖罪と赦しの物語。と書くと語弊があるかな。でもこの表現が、自分にはぴったりだ。
 物語そのものは、ページ数に対して、話を進めるために作者が用意するものごと(登場人物たちが持っている能力や過去、友人知人など)がやや多く、必要以上に複雑な話になっているという印象。そのせいか「自分や他人の過去とどう向き合うか」みたいなテーマが浮き上がりすぎていたように思えるけれど、少なくとも読んでいるうちはそのことが逆に魅力になっていた。今の自分は、物語を物語として楽しもうとするより、その向こうに見える「人間のしょーもなさ」のようなものを見せてもらいたいという気分が強いのかもしれない。
 ところで、いつも宮部みゆきの本はすぐに読み終わってしまう。文章が圧倒的にうまいから、スルスルとよどみなく読めるのだね。大したもんです。