先ほどHootSuiteにアクセスしたら、こんなダイアログボックスが表示されました。
HootSuite(http://hootsuite.com/)は、ブラウザベースの高機能なTwitterクライアントです。予約投稿機能があったり複数アカウントのやりくりが楽だったりして便利なんですが、「ow.ly」ドメインとして提供される短縮URL機能はちょっとねえという意見もありました。
というのは、「ow.ly」の短縮URLにアクセスすると「bit.ly」などと違い、ブラウザの表示領域の最上部に「ソーシャルバー」が表示されるのですね。ほかに何人のTwitterユーザーがこのページを見ているかなどがわかるもので、便利な人には便利なのかもしれないんですが、その機能と引き替えにブラウザのアドレスバーが「ow.ly」のままで、もとのURLがわからないという問題がありました。
アドレスバーの表示が「ow.ly」のままだと、表示されたページが偽装されていても気づきにくくなってしまいます。
たとえば、asahi.comを装う嘘ニュースのページを作り、そのURLを「ow.ly」で短縮してTwitterに流したとします。その投稿を見て短縮URLにアクセスした人は、転送先のページを見てasahi.comの記事だと勘違いしてしまうかもしれません。このとき、アドレスバーには「ow.ly」の短縮URLがあるため、偽装ページを見せられていることに気づきにくくなってしまうのです。
asahi.comで嘘ニュースをつかまされるだけならまだしも、ログインして使うサービスのログインページを偽装されていたらどうでしょう。アドレスバーには「ow.ly」が表示されたまま、うっかり偽装ページにIDとパスワードを入れてしまうと、偽装サイトに大切なパスワードが盗まれてしまいます。これは危険です。
そういう意見が多かったようで、HootSuiteのソーシャルバーには先日、「ソーシャルバーを表示しない(=アドレスバーに転送先のURLが表示される)」というオプションがつけられました。それでもHootSuiteを使う限り、「ow.ly」で短縮されたURLにアクセスすると一度はソーシャルバーを目にしなければならない状態でした。
今回の変更で、「ow.ly」ドメインの短縮URLにはソーシャルバーが表示されなくなりました。ソーシャルバーは新たに設けられた「ht.ly」ドメインの短縮URLに表示されるようになります。
ここでHootSuiteがとても偉いと思うのは、新しい「ht.ly」のほうでソーシャルバーを表示するようにしたことです。押しつけ気味のソーシャルバー機能は「ht.ly」に逃がし、「ow.ly」からアドレスバーを全面解放してくれたのです。これを逆にしてリリースすることもできたわけですが、ソーシャルバー機能にこだわりすぎてHootSuiteの評判が落ちることを避けたのでしょう。その決断ができたことはたいへんすばらしいと思います。
自分自身、ときどきHootSuiteからTwitterに投稿しています。でも短縮URLが「ow.ly」なのが嫌で、「bit.ly」へ行って自分でURLを短縮してから投稿するなど、ちょっと手間がかかっていました。今後は安心して「ow.ly」の短縮URLを投稿できます。HootSuiteのURL短縮機能を使って、「ow.ly」ドメインの短縮URLで投稿しようと思います。
今までのようにソーシャルバーが出る短縮URLを投稿したい場合は、記事冒頭のダイアログボックスで「ht.ly」を選ぶか、設定(「Settings」−「Preferences」)で変更できます。でも、他人に提供する短縮URLであることを考えると、ソーシャルバーが出なくなった「ow.ly」を使うほうがずっといいんじゃないでしょうか。
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「ow.ly」のソーシャルバーについての記事。
- ow.lyのリンクをクリックしたとき常に元ページを開くように設定する方法 - 頭ん中
- http://www.msng.info/archives/2010/04/always_hide_the_owly_social_bar.php
偽装サイトの可能性はふとしたところにありますよという警鐘記事。
- 高木浩光@自宅の日記 - はてブiPhoneアプリでログインしてはいけない
- http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20100223.html
短縮URLつながりで「bit.ly」について。
- bit.lyの転送先URLを知るには「+」をつける - Imamuraの日記
- http://d.hatena.ne.jp/Imamura/20100223/bitly