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雨の日の花粉情報と受け手への気配り

今日の南関東は、雨と強い風で気温が低い。こういう日は杉花粉はあまり飛ばないから、テレビの天気予報でも花粉情報そのものを省略したりしている。

でも「今日は花粉は少ないです」とはっきり言ってほしい。わかっていても、あえて言ってもらって安心したい。

そうか、これって本を作るときなども同じだ。

ブログを読んだり本の原稿を拝見したりしていると、たとえばこんな表現を見ることがある。

「以上のことから、賢明な読者にはもう答えがおわかりだろう。」

これを書いたら、その続きには答えをはっきり書いてほしい。賢明じゃなくてもいいから書いてほしい。文章をちゃんと読んでいれば確かに答えは明らかなんだけれど、そこをあえて書いてほしい。

クイズ番組だとそういうことはなくて、「答えはもうおわかりですね! そう、2番の『カニの一種』です!」のようにちゃんと答えを言ってくれる。クイズ番組なんだから当たり前か。でもほかの状況では、「わざわざ答えを書くまでもなく、はっきりしている」になってしまうこともある。その手法が効果を上げることもあるかもしれないけれど、基本的にはわざわざでも答えをはっきり書いてほしい。

本の付録として、なにかデータをまとめて載せたりすることがある。本文を全部読めばわかることでもあえて、ある視点からまとめた一覧表を作ったりする。

一番わかりやすいのは索引だ。全ページを読めば、どこにどの単語が出てくるかはわかる。でも索引がないと、全ページを読まなければどこにどの単語が出てくるかわからない。編集者は自分の担当書を何度も何度も読んでいるから、「あの話はこのあたりに出ているな」とけっこう把握していたりする。でも読者の利便を考えて、たいていの本では索引を作る。ある編集者は「小説にも索引をつけてほしい」と言っていた。作品によっては、索引があるほうが理解を深める小説もあるかもしれない。

このあたりは、本文に注をつけるか、またその説明をどこに入れるかという話も似たようなところがあるだろう。

花粉は少ないことをご存じでしょうからと花粉情報を省略するかどうか、「賢明な読者はもうおわかりだろう」ですませてしまうかどうか、索引や注釈、その他の付録の作り方、入れ方も、受け手への気配りをよく考えて決めてほしいし、自分自身もよく考えて決めていきたい。

と、花粉が少ない雨の日に考えた。

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